3章7 すれ違えない二人
今回もセクシャル回です。
俺はフランに自慰行為を見られてパニックに陥っていた。
親父にも見られた事無いのに。
思わずこの状況から逃げ出したくなった。
俺はフランに背を向けて走り出そうとした。
「待って、逃げないで!」
俺の背にフランの声が掛かった。
でもその前に俺は走れるような状態じゃ無かった。
立ち尽くしていると後ろから抱きしめられ、俺のアレを両手で包み込まれてしまった。
「逃げないでください。恩を返させてください」
恩ってなんだ?
パニックで頭が回っていない。
「あなたはコボルトからもゴブリンからも助けていただきました。私はあなたが居なければ生きてはいない女なんです」
えっ、俺がいないと生きていけない?
誰もそんな事は言っていない。
「私を求めてください。2度も助けられて恋に落ちない女だと思いますか?」
そう言うとフランは俺の背後から前に廻った。
俺を見上げてくるフランの目に溜まった涙に釘付けにされていた。
その涙が遂に零れた。
その時何かが俺の中で変わった気がする。
何かスイッチが入ったような、何かのピースがカチリと嵌るような変化だった。
「もう我慢なさらないでください。お辛い時には私におっしゃっていただければ……」
いつの間にか裸になっていたフランは俺の右手を取って自らの胸に導いた。
「私にだって欲はあるんです、惚れた男に抱かれたいという欲が……それ以上は求めません」
最後のピースが嵌められた。
俺は自分の狡さを知った。
俺はフランをキレイだと思っていた。
良い娘だと思っていた。
でもそこまでだった。
まだ俺の中に美樹がいる。
無いとは分かっているがここに美樹が現れたら……
元の世界に戻ることになったら……
俺はまだこの世界で生きてはいないだけだった。
中途半端だった。
それが俺を縛っていた。
吹っ切る!
地に足を付け前を向いて歩く。
帰れると考えて生きていけるような世界じゃないなら俺はこの世界で生きていく。
気が付いたら俺は貯めていたスキルポイントを全て『性交渉』スキルにつぎ込んでいた。
レベル41の『性交渉』スキルがDTの俺をテクニシャンへと押し上げる。
何となく何をすればいいのかが分かる。
……一時間程が経った頃、傍らでフランがくたっと気を失っていた。
「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを」
俺は周りに『浄化』を唱えてフランに余っていた毛布を倉庫から取り出すと包んでその枕元付近に腰かけた。
『サーナリアさん、俺は元の世界に帰る事が出来るのだろうか?』
……
返事はしばらく待ったが返っては来なかった。
それが答えのように感じた。
いつか帰ることが出来るかもしれない。そう考えていた。
帰ることがいつも頭のどこかにしこりの様にあった。
それが行動に制約を掛けていたように思える。
いつか俺が居なくなっても構わないようにと……
今回のこれはその制約を超える行為だ。
その意味を自分の中で理解しようとフランの顔を見つめた。
頬に掛かった髪の毛を掃う。
この世界で生きるのも悪くない。何故かそう思った。
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2人が2人の世界に入り込んでいた頃、実はそれは2人だけの世界では無かった件。
テレーゼは不意に目が覚めた。
何が要因だったのか分らなかったのだが、目が覚めて気が付いた。
一緒のテントで寝ていたはずのフランシスがいない。
毛布はまだ温かかった。つい先ほどまでここに居た事は間違いない。
自分の愛用の剣を掴みテントの外に出る。
外は静寂に包まれており、特に問題が起こっている様には感じられない。
(花を摘みに行ったのかしら?)
スケルトンを含めた足跡が雨でぬかるんだ地面の上、茂みの中へ続いていた。
いつもならそこで終わったはずの好奇心。
何故か確実な答えが欲しくなった。
地面に残された足跡を辿ると少し先に灯りが見える。
灯りに近づいて木の陰から光の下を窺うと……見ちゃいけない物が見えた。
人間とは度し難い生き物だ。
理性ではいけないと分かっていても、どうしても止めることが出来なかったりする。
大なり小なりそういう所がある。
禁止されるとやってみたくなるとかいうアレである。
狂言の『附子』とか一休〇んでも描かれている。
50歳を超えるダチョウ倶〇部でも止められない物を18歳のテレーゼが止められないからと言って責めることが誰にできるだろうか?いや出来まい。ちょっと意味合いが違う気もするが……押すなよ~っ……
テレーゼはその場を離れようとしたが、腰を抜かして動けなくなってしまい、見たくも無い……とは言えないが、見るつもりは無かった物を見続けることとなり、動けるように回復するのを待ってテントへ戻る事となった。
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フランは気を失ってしばらく経ってから再起動を果たした。
近くに人の気配を感じて目を向けるとある意味加害者のユウキだった。
毛布にくるまれた自分を確認したフランは毛布を胸元から離さないように上半身を起こそうとしたが、果たせず途方に暮れた。
服装を直すためにユウキの手を借りなくてはいけなかったのは恥ずかしかったが、いつまでもここで寝ている訳にもいかなかったから我慢した。
ユウキに肩を借りてテントに戻ると這って自分の寝床に戻った。
「ふうっ」
思ったより大きなため息が出た。
フランはユウキの様子からユウキがDTである事を見抜いていた。
手玉に取れると思っていたのである。
フランにとっての誤算はユウキのチートっぷりを知らなかった事である。
先程までDTだった男がすぐ後に人の限界を超えたテクニシャンになる事は普通無い。
チートの結果、手玉に取る筈だったユウキに翻弄されて溺れたのである。
ユウキにだって誤算はあった。
その為にこの後苦痛を味わう事になるのだが、これはのちの話と言ってもそう後の事でもない。
そしてフランにとっての最大の誤算は、先程の溜め息を自分以上に驚いて聞いた者がすぐ傍に居る事に気付かなかった事だろう。
テレーゼは息をひそめていた。
別に腹に一物とかがあった訳ではない。
ただ見ていた事を知られたくなかっただけだが。
フランが静かな寝息を立て始めた頃、テレーゼは張りつめていた自分を解放して一息ついた。
どうしてあの時藪の中に入ってしまったんだろう?考えても答えは無かった。
後悔しかなかった。
今日の事は絶対に秘密にしよう。そう心に誓うテレーゼだった。
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自分のテントに戻ったユウキは気が付いた。
「レベルが2上がってる」
ユウキは自分が今、渋い顔をしていることを悟った。
DT馬鹿にすんな。はぐれメ○ル並みとか酷すぎる。
この世界の理不尽に唾を吐いた。




