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見えざる第三者  作者: ザ・ディル
一章 二〇一六年
8/21

八話 オープンキャンパス当日


 オープンキャンパス当日。私は紗良と大学の最寄りの駅(といってもそこから三十分は坂道をあるくけど)で待ち合わせしていたけど、


 「集合時間よりも三十分遅れるのは紗良にしては珍しい……かな」


 紗良は約束の時間よりも遅れることがない。それは約束の時間を破るということで、嘘をついてしまうこととなんら変わりのないことだと紗良が無意識に意識しているからだと思う。だから遅れるなら、いつもは連絡する。連絡すれば嘘にはならないから。それがないということは--、


 「ごめんライムー!!」


 ? なんか遠くから呼ばれた気が…………というかこれ紗良の声だよね?

 声のする方を向くとそこに紗良はいた。凄い勢いで自転車漕いでるので、まあ急いで来たのだと察することはできる。


 自転車に急ブレーキを掛けて私の目の前で止まった。


 「ライムごめん!! 今日、光輝の弁当を作るの忘れてて! それで遅れた!!」


 光輝、とは紗良の弟だ。年齢は私たちとは一つしか変わらない、現在高校二年生。

 彼も紗良と同じ血が通っているからなのかスポーツ全般巧かったはず。そして何よりも彼はテニス選手だ。それも関東大会には出場できる逸材。正直この姉弟、異次元な能力を持っているんじゃないかと私は錯覚してしまう。

 閑話休題。

 とにかく、紗良の遅れた理由がわかったし、その理由が家族のためなら、


 「……別に気にする必要ないよ。それで、弟の弁当はちゃんと作れたの?」


 「そこは……ちゃんと作ったよー……」


 いつもの元気な姿が見えない。当然それは、


 「ライムごめん。…………嘘……ついてて」


 自身が嘘をつきたくないから、あまりにも嘘をつかないように考えてくるからそんな感情が湧きたってくるのだ。……本当に人生というものは酷いものだ。どんなに優秀だとしても環境によって見えないチカラに押さえつけられてしまうのだから。

 ……とにかく。


 「別にわざと嘘を吐いたわけではないんでしょ? 紗良は?」


 「まあ、そうだけどさー…………」


 「ならいいんだよ。酷い嘘にならなかったんだし、私は遅刻したかぐらいだって思ってるんだから。あまり嘘をつくだけで落ち込まないで」


 本心だけど、おそらくは言ってはいけないことだったかもしれない。特に「嘘をつくだけで落ち込まないで」その部分は。

 だって嘘を吐くのは紗良にとってはいつも本意ではなかったし、彼女にとってみれば嘘を吐くこは死ぬと同等の言葉を表していると言ってもいい。

 もしも、「どうして嘘を吐くのが嫌いなの?」と問いかけをする人間が紗良の目の前に出たらどうなるのか分からない。紗良が壊れてしまうかもしれない。

 何故なら、




 嘘によって紗良は両親を亡くしているのだから。














 *****













 今は大学目指して坂道を歩いている、そんな私と紗良。

 あのあと、紗良を落ち着かせたらいつもの調子が戻ってきた。


 「オープンキャンパス楽しみだねーライム!」


 先ほどの落ち込みようはどこいったのやら。元気な紗良が話を振ってきた。


 「私は別に楽しみだとは言ってないでしょ?」


 「でも、こうして来てくれた! それなら少しぐらいは興味があるってことでしょー?」


 ……この場合の紗良が言っている意味は『興味がある』、だけだと少し語弊が生じる。多分、「私が誘えば行くぐらいには興味があるでしょ?」 つまりはそういうこと、かな。

 興味は特にないけど、紗良と一緒に行くのなら、行ける程度には興味がある。違うようで多少しか違わない。だから、


 「まあ、ね。興味はある」


 「でしょー? だから私はXperi〇」


 「…………ちょっと何言ってるか分からない」


 「えー知らないのーライムー? 今時そんなこと分からないのは時代遅れだよー」


 いや知ってはいる。2016年にもなって、Xperi〇知らない高校生はほとんどいないと思う。ただ、これは私を弄ってきている、いつものことなんだなと頭では理解している。

 私はXperi〇、ましてやiPhon〇なんて持っていない。当然他の機種も持っていない。

 要するに、つまり、なにが言いたいかと言えば私はスマホを、スマートフォンというものを持っていない。ただし--ガラパゴスケータイ、ガラケーは持っている。でもそれは、


 「からかっているのも分かってるけどさ、アンタもガラケーでしょ?」


 「バレたかー」


 私と紗良はスマホを持っていない。というのも、クラスの中でも浮足立って見えるような人間にわざわざLI〇Eを使ったりするわけがないから。どんなに紗良と仲がよくても、他に友達が作れるのかと言えば別だ。作れない。紗良が周りから疎まれているからこそ、私も自然と疎まれる対象に入っている。別にそれが嫌だとはあまり思っていないから私は紗良と一緒にいるわけだし。だけど、紗良がスマホにすることはないことを私は知っている。

 ともかく、私も今すぐにはスマホに変えることはない。


 「っと、そろそろつきそうだね」


 自転車を引っ張りながらここまで来るのは、紗良にとって堪えたんじゃないかと思ったけど、相変わらずの体力オバケで息一つ乱れずにここまでやってきた。むしろ自転車引っ張ってない私が疲れている。おかしい……。私の親友でありクレイジーサイコパスレズは体力無尽蔵ではないかと、そう思ってしまう。




 私と紗良は大学に入ってオープンキャンパスで様々な体験をするだろう。





 *呪いに魅せられ呪われる。しかしそれは呪いとも言い難い*

 *解呪は協力。しかしまだ誰も気づかない*

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