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見えざる第三者  作者: ザ・ディル
一章 二〇一六年
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十七話 可笑しくない可笑しくない


 神崎さんの家に訪れて大体一カ月が経った。

 あの後の神崎さんとの関係は今までとは変わらない。今まで通りの関係にしてほしいという旨を伝えた。だから彼女は今までのポジションを保ったまま、問題なく学校に通っていた。もしも説得しなくても神崎さんは助かっていたんじゃないかと考えてしまうけど、あまりそういうことは考えるべきではない。


 ……。それより……、そんなこと考えている暇があるなら勉強しろと、私の親友が言いそうだ。


 私の偏差値は五程度しか上がっていない。まあ、この数カ月で偏差値が五上がるのはかなりいい進捗なのかもしれないけど、私の行きたい大学は地方国公立大学なので、およそ五十の偏差値がいる。それに対して私は三十五の偏差値。

 あと夏、秋、冬という短い間だけで偏差値が十五も上がるのか? 私は私に問いかけたくなる。いやまあ、すでに問いかけているんだけど、答えは出ているけど、……考えたくない。

 最近はそんな考えが頭の中を渦巻いて少しナイーブな私だった。













 *****












 <七月十一日月曜日。放課後>



 「じゃあライム。また明日ねー!」


 「うん」


 紗良は手を振りながら教室を去っていく。今日は月曜日だから、用事の日。

 用事と言っても大体はバイトだったりする。紗良は現在貧しい家庭状態になっている。その理由は両親が亡くなったから(正確には行方不明だけど)。その結果、祖父母のもとで過ごしてはいるけど、貧しい生活を余儀なくされている。

 よく、私の家に入れるのは晩御飯の提供をしたりして紗良に楽させるため。私の両親が私を助けれずに困っていたところを紗良が解決することがよくあったので、両親はお礼としてそのようなことをしている。さらに両親は食料提供もしたりしている。まあ、それがギブアンドテイクになるのも些か不思議だけど、だから紗良はよく私の家にいるのだ。

 閑話休題。




 今日。私は放課後自分のクラスの教室にいる。

 それがどういうことかって?

 簡潔に言えば私は今日、二者懇談がある。多分、耳が痛くなることしか言われない。……お腹も痛くなってきた……。


 だからと言って、行かないわけにもいかないので時間が来るまで待っている。今日も勉強しているけど……飽きるし。でもやらないと間違いなく目標の大学に行けなくなる。

 ……少し、不思議なことがある。いくら二者懇談だからと言って私以外教室に誰もいないことなんてあるんだろうか? いやない!

 と、そんな一人漫才は置いといて教室全体を見渡すけど誰もいない。でもまあ、気にするほどでもないか……。


 ----。


 ふと、カーテンから人が見えたような気がする。まあ、幻かなんかだと……、


 「……いる」


 ふと、そんな声が漏れてしまう。

 窓のカーテンに誰かが隠れている。

 この高校の生徒でこんな素っ頓狂なことをする人を私は知らない。もしいるとしても紗良ぐらいだ。私はどうしても見たくなり、そのカーテンに近づく。そしてそのカーテンに誰が隠れているかを見ることに--、




 --……いない?


 誰もいなかった。完全に誰かいることが解っていたのに、カーテンから人影が見えていたから間違いなくそこに誰かがいたと思ったのに。誰もいない--、


 「じゃーあとはライムおねーちゃんに期待しておくよ。せいぜい、足掻いてほしいなー」


 ……ライムおねーちゃん?


 その言葉を発するのは一人しかいない。


 「メイザスちゃん?」


 しかし、この教室にはメイザスちゃんはいない。いるのはただ一人、私だけ。


 *彼女はあまりの出来事にポケットに入れられた物に気づくことはない*


 ……おかしい。カーテンの人影にいたのはメイザスちゃんだとしても、カーテンをめくったらいなくなる。そんなことがあるだろうか?


 もしかして私は幻覚や幻聴の症状が出ているのかもしれない。

 そんなありえなさそうな予想を立てる。……いや、本当に可能性としてはあるのかもしれない。


 だってこれを証明できるのだろうか。

 

 私が可笑しくなっている証拠を私が見つけることは難しい。だけど、他の人ならその判断はできる。もっともそれが正常に私の目に映るかは微妙なとこだけど。

 ……。

 ……、もう二者懇談の時間……。


 とりあえず、このことは後回しだ。あとで医者にでも診てもらったら分かるはずだ。

 そして私は担任の先生のもとへと向かう。


 途中で、窓から生徒会室に向かう小野先生が見えたけど、別に紗良もいないし話すこともない。それでもあの先生が生徒会室の裏に行くのは少し不可解に、可笑しく感じた。


 「どうでもいいや」


 私はスキップで鼻歌混じりに二者懇談の行われる教室に移動した。


 *桜田ライムは不気味に不敵な笑みを浮かべる。本人は気が付かない*

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