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見えざる第三者  作者: ザ・ディル
一章 二〇一六年
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十五話 私と親友、二人いれば最強


 私は泣いていた。泣き崩れていた。さっきまで。先ほどまでは。


 「それで、ライムはなんで泣いてたの?」


 今、目の前にいるのは私の親友で、そして泣いている顔を見られた澤山紗良。

 ……今は私の部屋で対面になってテーブル越しに座っている。


 「…………」


 「ライム。どうした? 何があったの?」


 「…………」


 「…………」


 紗良は私のことをよく知っている。……よく、私が黙ることが多いが、それは別に話したくないからではなくて、うまく言葉にできなくて何も言えないことが多いから。

 ……私は頭の中で気持ちを整理する。

 今日私が起きて、神崎さんの家に電話。最悪の事態を聞かされて、私は絶望した。そしてそのまま無意識に私は犯罪者のような気持になって、落ち込んで、落ち込んで、自分を責め続けた。


 「…………」


 改めて出来事を振り返ればこの程度のもので、されどこの程度のもの。そして自分を勝手(、、)に責め続けた。その結果が何も助けようとしなくて蹲っていた無責任な私。

 あの時の自分がバカバカしい。……。バカバカしいから、そんなことなら、自身の心の中に抑えなくてもいい。


 「実は私、昨日……今日の深夜って言ったほうがいいのかな? その時間に神崎さんと約束して、ミマ高校に行こうとしてたんだけど、昨日の夜は異常に眠くて深夜にミマ高校に行けなかった……」


 「深夜にミマ高校に行こうとした理由はやっぱり幽霊?」


 「うん。幽霊を見ようとする約束を神崎さんとした。そして多分、私が来なかったから神崎さんは一人で行って……それで多分……」


 「最後まで言わなくていいよ、ライム。……なるほどねー、ライムは神崎ちゃんとの約束をすっぽかして、しかも神崎ちゃんは幽霊を見た結果、病んじゃったと。……それで泣いてた……。一応酷なこと聞いちゃうかもだけど、その確認は取れてる?」


 「本人から聞いたわけじゃないけど、朝頃に電話して神崎さんのお母さんから聞いたから……間違いないと思う」


 「……幽霊はやっぱりいるのかな?」


 「……いるんじゃない? 神崎さんがそうなったんだし……」


 正直言って、この目で幽霊を確認したわけではないから、確認したかどうかで言えば微妙だけどそれでも神崎さんは家に閉じこもってしまった。その事実に嘘はない。


 「よし! ライム。今日は勉強はいいから、神崎ちゃんのもとに行こう!」


 「……えっ?」


 「ライムは罪悪感が残ってるんでしょ?」


 「……そりゃあ私が約束守らなかったってのもあるし、そもそも約束さえしなければこんなことにはならなかっただろうし……」


 「じゃあ決まり! このまま神崎ちゃんが立ち直らないならライムは一生自分を責めるでしょ?」


 「……そうかもしれないけどさあ……--」


 そうだけど。そうなんだけど。それにしたって、


 「--紗良はこの件に何も関係ないよね?」


 「そうだねー」


 「ならなんで、この件に首を突っ込もうとしてるの?」


 「決まってるでしょ? 私の大親友が涙流すほどに困っていたからだよ」



 ……。忘れていた。彼女は、澤山紗良という私の親友は、私のヒーローでもある。それほど大切なことを忘れていた。








 *****










 「ごめんくださーい」


 紗良は、神崎さんの家に着き、私に何も聞かずにチャイムを鳴らした。

 私の親友はどうしてこうも躊躇がないんだろうと、つくづく思い知らされる。


 そして、数十秒経って出てきたのは神崎さんのお母さんだ。

 ドアを開きながら、


 「なんでしょう?」


 精気の宿っていない瞳で、そう言った。


 「あの、神崎ちゃんとお話したいんですけどー、いいですか?」


 紗良は人見知りを全くしない。だからこうして初対面の人間と出会っても怖気づくことは無く、グイグイ迫ることができる。


 「……、ああ……娘のことね。……申し訳ないけど、今は--」


 「--解ってますよ、神崎ちゃんのお母さん。それでもいいので中に入ってもいいですか?」


 普通なら、ダメと言われてもいいシチュエーションだと私は思ったけど、


 「…………ええ、いいわよ」


 なぜか、そういわれた。……疑問には感じるけど、今はそんなことなりふり構っていられない……よね。

 そして、私たちは神崎さんの部屋まで母に案内された。

 そして母は何故かいきなり泣く。……いや、泣いている大体の理由は予想できるけど。


 「私はもう、娘の姿を見れない……。でも……もしも……もしも娘を治すことができれば私は貴方たちに感謝しきれないほど感謝するし、なんでもしてあげていいと思ってる。……それじゃあ…………」


 そう言って、神崎さんの母はリビングに戻った。


 「さーてライム。今回説得するっつーか、幽霊の呪いから解き放つ方法を見つけ出さないと神崎ちゃんは助け出せないんだけど、無策で行く? それとも作戦会議でもするか?」


 「決まっているでしょ? 紗良と私が二人いればどんなことでも解決できる。だから--」


 「そうだね。当たり前のこと聞いて悪かった。無策のまま、それでも解決する、そうだよな?」


 「ええ!」


 神崎さんの部屋のドアを開けた。

 どんな困難があろうか知るか!!

 そんな困難、ぶっ飛ばしてやる! 

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