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見えざる第三者  作者: ザ・ディル
一章 二〇一六年
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一話 君は誰かが見ているから


 狂人は--否、狂者は今日も『そこ』を支配しようか迷い、いたずら可笑しく怠惰さを浮かべながら『そこ』を見渡す--見下ろすと言ったほうが正しいかもしれない。辺りにあるもの--目下にあるものといえば、人、ひと、ヒトヒトヒトヒトヒトヒト。飽きったれるようなほどの普遍さがあり過ぎる人間の多さに--、


 「はあ…………」


 溜息を溢す。


 --どうして人ってのはこんなにもつまらないような(つら)してんだか……。死んだほうがまだ面白味があるわよね。私を感心させる発言をする人間がいるなぁと思ったら、哲学的に話そうとしているヤツ。そんな奴は論外、論外オブ論外。呆れる、というよりも呆れを通り越して溜息しかつけないわね。でも私も今から似たようなことしようとしているんだけど。私的すぎるようなことなんだけど。


 その考えは人間的な考えに似ており、彼女自身もそうなのだと、理解はしている。

 ……そもそも私的に動くのは誰だろうと可能だし、実行してしまうのだ。例えば神、神様だってそうなのだ。ギリシャ神話云々は大体、神様の私的な考えによって物事が進む。とある神が私的な事情で他の神を殺すことは神でさえ日常茶飯事のようにあることなのだ。私的に動くのは誰でも、どんな人でもできるのだ。

だが、現在の人間は傍若無人に自由奔放に動いているようには見えない。『私的に動くのが異端である』、そう世間一般からは見られている、だからしない。出来る限り普通でいたいと思う人間の(さが)なのだろうか。最近は天才でさえも普通にいたいと、過ごしたいと、そんな人間が多すぎる。

 だから、彼女はそれを、異端である人間を、そんなものをただただ見たかった。そして、ただ○○をしようと考えていただけだった。



 とある期限は刻刻と、着々と近づいていく。それは彼女にとっては護らなくてはならなくて、破ってはいけないもので。


 「うーん、誰かいないかな。面白く、おもしろく、そしてオモシロイ人間は」

  

  

 そんなことを口にしている彼女はある者に聞かれていたらしく、その者は気軽に、気ままに軽いスキンシップを取りながら彼女に向けて喋る。


 「アラムっちー! おっひさー! 元気してたー? 今日は暇でアラムっちに協力しようかなって思ったんだよー。そしたらまぁまぁ、いっしゅんでアラムっちの目的と思える人材を発見しちゃったんだよー」


その相手は金髪のショートヘアーを(なび)かせながらも、他者から不思議で仕方ない言葉を発していた。


 「本当なの、ラギム?」


 「うん。マジマジ、超マジだよ。信じてよ、私の言ってることだよー。このラギム様の言ってることだからマジよー」


 あまりにも言葉が軽すぎて、そして態度も軽すぎたラギムの言葉に彼女は--アラムは溜息しながらも(うなず)きながら、


 「分かったわ。アンタの言葉、信じるからね」


 そう言葉として、しかし言葉になんら意味を求めないラギムにそう言った。






  *****






 ヤバい。これはヤバい。どうしようできないし、どうにもならないかも。

 ライム()は慌てながらも必死になって頭をフルに回転させて何かいい方法はないか模索している。だけど、見つからない、見つけられない、あるはずの解決策が、あるはずの解法の仕方が。


 「……どうした、ライム。分からないのか?」


 私が今、敵として戦う相手は眼前にいる先生……ではなくて、先生の奥に立ちはだかっている、黒板--そこに書かれている数式だ。

  私は今でも頭をフル回転させているのだけど、答えが、解を探し当てることができない。

  だから仕方なく、


  「すいません。分かりません」


  この程度の問題がわかっていないとダメなのに、私はわからなかった。


  「…………そうか。じゃあ、ライム以外の人たちにも言っておくと、この問題は--」


  先生がその数式の解法を説明し始めた。

  その解説を聞きながらも、ほとんど何を話しているのか理解できなかった。

  私は数学が嫌いというほどではない。だけれど自称進学校を謳っている普通高校であれば誰でも習うはずの初歩の公式が使えない。

 その理由は? と聞かれれば、答えは必然として、ある一つだけの答えにたどり着いてしまうのかもしれないけど、…………正直言いたくはない。だけど今後の私のためにもあることを戒めなければ、何度も自覚しなければならない。そうしないと現状を変えることもできないと感じた。だから、ここでしっかりと話さないといけない。


 私の偏差値が三十だからだ。だから先生が言っている意味さえ理解できない。


  結論として言えば、どの教科もそんなには苦手ではない。でも、客観的に見られてしまえばすべての教科がほとんど人並み以下、すべてが苦手科目のように思われる。だから先生からの期待値はゼロ、といったところなのかな。それほどに私は勉強が苦手だ。


 しかも私は昨夜、あることのために夜更かしまでしている。その代償からか、異常なまでの睡魔に襲われていた。

 だからかな? 意識が曖昧の境界線を引き始めていく。私はそれから脱出を試みるために奥歯を思いっきり噛みしめた。そして、眠りの曖昧な境界線から見事に脱出--とはいかなかった。

 確かに、一時的には脱出していたと思うんだけど、少し時間が経つころには先ほどの睡魔よりも強い睡魔に襲われて、私は眠りの悪魔にやられてしまった。

  

  

  

  

  *****

  

  

  

  

 ライムという、眠りの悪魔にやられた姿をまるで別の場所で見ているかのようにしている二人はその眠りを見ながら、それを話題の起因として話す。

  


 「ね! 良さそうでしょ、あのライムとかって名前のヤツ。如何にも世界を敵にまわしても()ったこっちゃねぇって感じでさー--」


 「--どうみてもアレはよくある頭の悪い人間が寝ているようにしか見えないけど…………」


 阿呆の度が過ぎるような発想を聞いて、嘆息しながらもそれにしっかり答えを返すアラムが、そこにはいた。


 「そうなのー? 結構狂人っぽくて面白そうに見えたんだけどなあ」


 さらにラギムの阿呆さが突出することがわかると同時に、少しの異常さが見え隠れしていた。それは会話の可笑しさから現れている。

アラムは顎に手を当てながら何か考えている様子だった。

 そして一拍おくように息を軽く吸ってから質問を、問いを投げかける。


 「……アンタがそんなことを言うなんて珍しいね。何か狂人っぽく、面白く見えた部分があったのかな?」



 「見えた部分があったかどうかだけで言えば何も見えてないよー。ただ、私が、ボクがそう思っただけ」


 「--!!」



ラギムの一人称の変化。それ故なのかは断定できないが突如、アラムは雷にでも打たれたかのような衝撃を受けていた。

数瞬後、その衝撃は解けたのだが、今度は激しく動揺しているようで、愕然としている。


 「どうしたー? アラムっちー?」


だが、ラギムが首を傾げながらもいつも通りの言葉でしゃべりかける姿を見て、アラムは安堵を掴んだ雰囲気を見せる。


 「アンタが、アナタがそう思うなら正解でしょう。そうね…………、暫くは彼女を…………ライムっていう名前なんだっけ? そいつに目星をつけるわ」


「おっ、決まったね! 誰をターゲットにしたのか。じゃあ、ひと段落したようだから私は自由だよねー。ちょっと遊びに行ってくりゅー!」


言葉がもはやしっかりしていないのか、幼子のような言葉が混じる。

だが、それをしっかりと聞いていたアラムは胸をなでおろす。同時に何に支配されたのか、笑っていた。それが何を意味しているのか、常人には到底わからない。故に不気味で異常で異端で、それらは狂いという名の象徴の一つ一つで。


 「さあ、決まったわね。ライム--貴方を、ターゲットの貴方を、貴方を……フフッ。考えただけでもう狂ってしまうわね」


 狂いの女王様は今日も狂う。





*****






 私は今、現実の意識が覚醒していない。だからここ(無意識の空間)(夢の場所として)で自己紹介。

 名前は桜田ライム。

年齢は十八歳。誕生日はつい最近で四月二十七日、そしてB型。

私はとあることで困っていた。それは進学のこと。

大学に通いたいと思っているけど、なんとこの間した模擬テストで私は三十の偏差値の持ち主ということが判明。おまけに私が行きたいと思った大学は国公立大学。理由としては、お金等の問題があるんだけど。そして、今の偏差値では国公立大学というもの相手にまったく太刀打ちできないというわけ。だから勉強を今から一生懸命頑張ろうという考え。今現在の私の現状はこんな感じで、絶望的状況。








 「きりーつ!」


 きりーつ、という学校でよく聞く悪魔のような号令を聞いて私の意識の覚醒は、それはもうマッハで、音速のように行われた。

意識の覚醒から一瞬にして状況を判断して席から立ち上がる。さらに状況判断、顔を動かさず目をキョロキョロさせた。どうやらクラスの何人かは私を見ていたのでそのクラスの人には寝ているのがバレてしまっているのだと思う。でも、先生とは目も合わなかったのでおそらく先生にはバレていない。だから私は安堵した。まあ、バレたとしてもあの温厚な数学の先生--小野先生だから問題ないとは思うけど……。


 「気を付け、礼」


 号令に従い、私は礼をする。

安堵したからか、どうでもいいことを考えてしまう。果たしてクラスみんなでするコレ(学校の号令)にはどこまでが人間の考えた部分なのか。もしすべてだとしたら、初めの人は、最初に号令を考えた人間は本当に気を付けをして礼をすることが授業後にすべきことだと考えていたのか、そんなどうでもいいような疑問。ネットで調べれば簡単に分かるのかもしれないけど、そんなどうでもいいようなことに時間を費やしたくない。だからかはわからなかったけど、そのどうでもいいことが退屈を生み出したのか眠くなってしまい、授業後に再び寝てしまった。














 「きりーつ!」


 私の意識は再び急激なまでの覚醒をされる。それはもう、強制的に眠りから覚める魔法でも使われたかのように。


 「気を付け、礼」


本能に従うように礼をする。


 「着席!」


そして、私は号令に従うままに着席をする…………。


 「…………?」


 何か大きな違和感を得ていた。意識の覚醒は行われても正直いえば相当眠い、そんな私がはてなマークを浮かべたんだから絶対に可笑しい部分がある。……なんかデジャヴ感あるな……。というか声もさっきと違ったし……。そう思い、辺りを見渡そうとして--、


 「やー元気してるー、ライムー!」


 私の友人--紗良が、澤山(さわやま)紗良(さら)が笑顔を見せながら話しかけていた。


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