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夢の中の1話『少女』
俺は目を覚ました。
鳥のせせらぎ、外の車の音。何もかもが変わらない平凡な日常が始まる――…。
「って、ん???」
自分の息を殺す。
自分しかいないはずなのに、寝息がすやすやと聞こえてくる。親もいないはずなのに……。
ふと、スマホを探そうと左側に手をやった。
―――ッ!!
無いはずのものがあり、あるはずの無いものがそこにはあった。
「え?えええッ!?」
ってかコイツ、誰?なんで少女がッ!?しかも俺のベッド!昨日の出来事をヒトコマを思い出す……。やっぱ誰……?
あたふたしていると、少女の目がガッと開いた。
「くっ!!」
思わず声が出てしまった。
その間にも、彼女は体を起こし、クルッと上半身だけこっちを向いた。
「助けてくれてありがとうございます。お詫びに私の世界に来てくれませんか?」
突然の誘い。助けた?いつ……?
「あ、名前言ってませんでしたね?私、オルガニ王国立オルガニ魔法学校、一年、バニラ・チョコレートと申します!!」