第7部 千の技を持つ天使
4 ー 6
サーブ権アスタロト
(あのアスタロトが押されてるとはな……)
「レートは同じくらいだけど何でここまで差ができるんだろう」
「アスタロトはデビル・ロンギヌスを軸に戦法をとるがあの天使ミカエラは真逆じゃ。相手によって戦法をコロコロ変える戦法なのじゃ」
「なるほど、つまりワンパターンな戦法のアスタロトに対して沢山の戦法を持つミカエラは不利。ということですね」
「でも、何で切り札であり軸であるデビル・ロンギヌスを禁止させたんですか?」
「それはの…」
「上回転をかけようにも強打されちまう…」
アスタロトがサーブを繰り出す!
しかし、あっさりとドライブされ打ち合いに持ち込まれる。
「く、くそっ。このままじゃ押し切られる…」
「あら、その程度ですの?ではこちらから攻めさせていただきますわ!」
ミカエラはボールに合わせてバク転をするとボールが風によって上昇した。
更に反対側から跳躍し前へと回転する。
「決めますわ!アクロバットショット!」
「絶対に返してやる!」
「デビル・ロンギヌスはダメだ!どうすれば!」
「おいおい、ユキムラサツキ。俺がデビル・ロンギヌスだけの悪魔だと思うなよ」
アスタロトは空中にラケットで円を描くと魔法陣の様なものができた。
そしてミカエラが打ったボールは吸い込まれるように魔法陣に吸い寄せられた。
「黒き紋章!」
アスタロトは吸引されたボールを打つとが更に威力を増してミカエラに跳ね返ってきた!
「中々やりますわね。ですが貴方の技見破りましたわ!白き紋章!」
ミカエラが同じように魔法陣のようなものを描いた。
だが吸い寄せる黒き紋章とは違い、白き紋章は離す、つまりそのまま触れる事無く魔法のみで跳ね返す技だった。
「ちっ、シクった!」
4 ー 7
「て、てめぇ…この俺の技をパクったな!?」
「あらら、気付かれましたの。これは私の特殊能力
技能簒奪ですの」
「あの天使、まさかミカエラじゃったとはの…」
(ミカエラってそんなすげぇプレイヤーなのか?)
「大天使ミカエラ。千の技を持つ天使と呼ばれておる」
「千個も技覚えるの大変そうですね」
「やつの特殊能力は技能簒奪。相手の必殺技をコピーし自分に使いやすいよう真逆の性質に改善して自分の技にするのじゃ」
「なるほど、黒き紋章が吸い寄せるなら白き紋章はボールを跳ね返す技になるってことですね」
(じゃあデビル・ロンギヌスのコピーを避けるために禁止させたってわけか)
「じゃが、じきに打たねばならん場面に出会う。それを判断するのはアスタロト自身じゃ」
「負けるわけにはいかねぇよ!」
「私の技、全て破れます? それが出来なければ勝てませんの」
またもや、打ち合いが始まる……。
カタンカタンと亜空間に響く。
「アクロバットショット!」
ミカエラはまた空中へとバク転し、スマッシュを打つ。
「甘いな!二度通用すると思うなよ!」
アスタロトは左の拳を地面に叩きつけドーム状の空間を作り出した。
「はぁぁぁぁ!」
アクロバットショットによって加速したボールだが、その空間の中に入るとボールは遅くなっていった。
「デスカルゴゾーン!」
「あれは!わらわの教えた技とは違う!」
「あの状況で必殺技を作ったんだ!」
(デンデンムシみたいな名前の技だな)
「お返しだ!オラァ!」
しかし、打ったボールはとても遅かった。
フワフワと飛んでくるボールにミカエラは
「そんな遅いボール、打ち返してやりますの」
と余裕の体制で返そうとするが、
ボコォン!
「きゃっ!」
身体の軽いミカエラだったがなんとボールを打った途端に後ろに吹っ飛ばされたのだ。
「デスカルゴゾーンを舐めんなよ!俺の新必殺デスカルゴゾーンは空間の中でボールを減速させるだけでなく、その奪われた速さと引き換えに強大なパワーを持つ!」
「これが俺の必殺技だ!」
5 ー 7
いい試合してるけどいつになれば僕は帰れるんですかね……。