第3部 デビル・ロンギヌス
サツキは悪魔の少年?アスタロトに勝負を挑まれるが、圧倒的なパワーに押されてしまい1ゲーム取られてしまう。
しかし、サツキには隠された秘密があったのだ。
8 ー 10
アスタロトマッチポイント
サーブ権サツキ
「悪魔さんよぉ。教えてやるよ。人間様の卓球をな!」
ボールを高くトスすると、
「構えが違う!?」
しゃがみこみ同時にラケットを振り下ろしボールを横から切った。
「ぐっ、速い!だが、追いつくっ!」
しかし、ボールがアスタロトの前でカーブしドライブは空振りに終わった。
「しゃぁ!ナイスサーブ!」
9 ー 10
アスタロトマッチポイント
サーブ権サツキ
「クッ、ハハハハハ!いいだろう!人間!いやユキムラサツキ!俺にこの槍を抜かせた事だけは褒めてやろう!」
「お、乗ってきたじゃねーか!勝ち越しはさせねぇよ!」
サツキはしゃがみこみサーブを仕掛ける。
しかし、ボールの着弾地点を読まれてしまった。
「やべぇ!」
サツキが卓球台から下がる。
しかしアスタロトはドライブをするには深すぎるほどに体を捻っていた。
「あれは!?」
異世界人と戦った事のないサツキだが、なんとなくわかっていた。
あの構えは魔力を溜め、ラケットを最大まで振り上げる為だったのだ。
「これが悪魔の矛にして最大の槍!」
「デビル・ロンギヌス!!」
アスタロトは溜めた魔力を解放し、ラケットを思いっきり振り上げた!
天を舞い横回転するボールはまさに槍のようだった。
「く、来る!」
着地したボールは横に飛ぶはずがアスタロトの元に戻るかのように飛んだ。
サツキは取れるはずもなく、最後の点を取られてしまった。
ゲームセット!
勝者アスタロト
2 ー 0
1セット目
11ー 7
2セット目
11 ー 9
フィニッシュ技「デビル・ロンギヌス」
「ぐっ……こ、殺せ…」
「いや、ユキムラサツキ。俺は別にお前の命を奪いに来たわけじゃない」
サツキは「はて?」と首を傾げる。
アスタロトはサツキが勘違いしていた事に勘づき、「はぁ」とため息をついた。
「俺は試合をするまでお前の事を見くびっていた。だが、試合の途中でお前の中の何かを感じたんだ。まるでお前にもう1つ人格があるような」
「………」
黙り込んだサツキを見てアスタロトは何かを察し、本来の目的を話た。
「まあ、いい。勝負に勝ったから言う事を聞いてもらうぞ。俺の主人がお前に会いたいと言っていた。俺の主人の城に来てもらおう。絶対だ」
「なんだ、それならよかった」
サツキはホッと息をついた。
ラケットを腰の鞘にしまうと、アスタロトは振り返る。
「今から向かうんだが、ここからは遠い。だから魔法陣を描く。少し離れていろ」
アスタロトの言う通り、少し離れるとアスタロトはサツキには理解出来なさそうな詠唱を唱え魔法陣を空中に描いた。
「テレポート!」
アスタロトがそう叫ぶと2人は浮き上がり、一瞬にして消えた。
サツキは気がつくとRPGのラスボスが居そうな城の前にいた。
「気がついたか。ここが俺の主人の城だ」
「ここか、やっぱり大きいな」
キーキー、パタパタと蝙蝠達が空へと飛び、空中で舞った。
サツキの到着を歓迎しているようだ。
2人は城に入った。
その時にはもう、紅い月が蝙蝠の舞う空と暗き城を照らしていた。
魔王の部屋
今日はゲストを迎えたよ!
「アスタロトだ。よろしく」
アスタロトくんの必殺技「デビル・ロンギヌス」ってどんな技か、軽く解説するよ。
というわけで使ってる本人から聞こうかな?
「お前が解説するんじゃねぇのかよ…まぁいい、デビル・ロンギヌスは変則的なドライブをかける技だ。普通のドライブより、深く構え力と魔力を溜める。そしてラケットを振り上げて横回転をかける。すると投げ槍のように回転する事からこの名が付けられたんだ。そしてこのボールが着地すると横だけでなく、前に跳んだり、バックスピンをかけてこっちにボールが戻らせる事も可能だ。
こんなもんでいいか?」
はい!ありがとう!
次回もお楽しみに!
今日の一言
「これが悪魔の矛にして最大の槍!
デビル・ロンギヌス!」