第9部 光と闇の激突
「マキシマム・ブリューナク!」
アスタロトの前に飛んできたボールはまるで光を纏った槍のようだった。
ブロックを試みるが、着地する前に直角に曲がりフォア側の白いラインの部分に着地した。
アスタロトは追いつくことができず空振りしてしまう。
9 ー 8
サーブ権ミカエラ
「く、クソが!俺の技までパクりやがって!」
「貴方の槍はロンギヌスですけど私の槍はルーの槍、またの名をブリューナクと言いますの」
「なるほど、デビル・ロンギヌスが捻くれた回転ならマキシマム・ブリューナクはきっちり直角に曲がるという発想に至ったのか。やはり油断はできぬの」
ミカエラがバックサーブを打つ。
バック側に転がるがアスタロトは拾い上げることしか出来なかった。
「ふふっ。カモですわ。」
「来い!受け止める!」
お互い低く構える。
「マキシマム・ブリューナク!」
閃光の如くボールがアスタロトを襲う!
「これが最強の槍だぁぁぁ!」
ラケットを振り上げる!
「デビル・ロンギヌス!」
「はぁぁぁぁ!」
「うおおおぉ!」
光と闇が亜空間の中で激突する。
マキシマム・ブリューナクが勢いを失ってしまうか、
それともデビル・ロンギヌスが儚く破られるか。
力と力の押し付け合いである。
ドライブマンのような攻撃的な選手同士だとこういうことがどうしても起きてしまう。
その勝負を勝ち取るのは天使か悪魔か。
「……!いかん!試合を中止させよ!」
その時だった!
ボコォンと鈍い音が響き、ドーム状になっていた亜空間はだんだん崩れていく。
「大丈夫、ですよね…」
亜空間が崩れ去った後、ここは元の謁見の間に戻っていた。
「何が起こったんだ?」
「恐らく貴方と私の魔力がぶつかり合った事による爆発だと考えられます」
「流石は天使、その考えが正しいのかもの」
このまま続行すると魔力の爆発で被害を招きかねないのでミカエラとアスタロトの戦いは中止となった。
その日の夕日が沈むその前に3人は別れた。
「ただいまぁ……」
「あら、ユキムラちゃん。疲れた顔しちゃって〜」
「ご飯〜…お腹空いたぁ」
(あい変わらずだらしねぇなお前)
「今日は散々だったけど楽しかった」
(俺もだ相棒)
「何があったの?お姉さんにも聞かせて♪そのお話」
ローラン魔王城にて
「魔王様、来月の魔王杯。俺とそのメンバーでの出場でよろしいのですか?」
「わらわ想う故わらわありじゃ。異論は認めんぞよ」
「分かりました」
「絶対にこの戦いで勝利を掴み、世界に復讐する!」
天界では
「……こんな時間に誰ですの….?」
「ITAの者ですが……の事ですけど………はい………ほぼ決まってます……………………」
「え、私が!?でもそんな、なりませんわ!」
「女神様からの許可は頂いております」
「……分かりましたわ。荷作りもありますから明日そちらへ向かいますわ」
「感謝致します」
ひょんな魔王の考えから始まった卓球バトル。
あの後ローラン様から僕も卓球大会に出るように言われた。
もちろん、赤サツキが出るってうるさいから出場するよ。
天使や悪魔が僕を巡って争う。
僕にはそんな凄い才能があるのだろうか?
僕は、俺は
それを知らない。
ここはとある森の集落
「せいっ!はっ!せいっ!はっ!」
卓球革命が起きたのにもかかわらず、正拳突きの練習をしている少女と眩い光に包まれた妖精のようなものが1つ。
「師匠!私、絶対に勝ってみせます!」
またどこかで物語が始まる………
続く
今日の一言
「これが最強の槍だぁぁぁ!」
byアスタロト