第8部 亜空に飛び交う無数の槍
注意!
この作品では相手を煽るような行為がありますが実際の試合はフェアプレイの精神で行いましょう。
「これが俺の必殺技だ!」
5 ー 7
サーブ権ミカエラ
私の特殊能力の弱点……
私の能力でコピーするには条件がいくつかありますの。
私がコピーできないものもありますわ。
まず、魔力を沢山使う技。
この技能簒奪は相手の技をほぼ真逆の性質にした後、自分の能力に合わせた技となって自分のものになりますわ。そのかわりコピーするのにはそれ相応の魔力を使いますわ。
つまり、魔力を沢山使う技はそれ以上の魔力が必要になりますの。
そんな強大な魔力を使うほど必要な必殺技は燃費が悪いのでコピーしませんわ。
もう一つは原理や詳細の分からない技ですの。
これはもうどうしようもないですの。
この目で見て構えや打ち方を理解した上で真逆の性質にして本家との差別化ができて初めてコピーした必殺技ができるのですわ。
「アスタロト…わらわの教えた技をあのように改善したとはな」
「ローラン様の技なんですかアレ?」
「アスタロトに空間を生み出す魔法を教えてやったんじゃが、自分も相手も遅くなる欠陥だらけの魔法があのように活用されるとはな」
「愚かな悪魔にしてはしぶといですわね」
「クソ天使のくせにあんま手応えねぇな」
お互いに睨み合う。
天使と悪魔は仲が悪くて当然なのかもしれないが今ではそうでもない。卓球革命が起きてから彼らは卓球を通じて交流を深めている。
だがやはり、昔のような概念を持ったままの者もいる。それが彼らなのだ。
「アクロバットショットですの!」
スマッシュが打たれる!
「甘いな!デスカルゴゾーン!」
ボールの動きが遅くなり、それを思いっきりアスタロトは振り抜く。
「まずいですわ!白き紋章!」
魔法陣にボールがぶつかる。
「砕けえええええぇ!」
パキィィィン!とガラスが割れたような音が響きアスタロトに点が入る。
「私の技がまた破れるなんて……」
6 ー 7
サーブ権ミカエラ
ラケットを顔の横に構えバックサーブの体勢をとる。
「せいっ!」
振り抜いた打球が飛んでいくが、アスタロトに着地地点を読まれてしまった。
「お前、フォアショートかバックロング辺りに打つ癖があるよな?悪魔は見通すぜ。お前の戦法をな」
「悪魔のくせに生意気ですわ!」
「そぃっ!」
カーブドライブをかけ、ミカエラは空振りしてしまった。
7 ー 7
サーブ権アスタロト
「空振りとは可愛いらしいじゃねぇか天使様よぉ」
「な、なんと無礼な!この悪魔絶対にコテンパンにしてやりますの!」
アスタロトがボールを空中に上げると
体を捻った。
「まさか!あれは!?」
「フリーダム・ロンギヌス!」
思いっきり振り上げるとボールが4個、5個と沢山増えていった。
(アイツ!デビル・ロンギヌスがサーブになっただと!?)
「デビル・ロンギヌスは1つだけではない。あのクセのある回転が無限の可能性を秘めているのだ」
放物線を描き空に舞うボールは戦場に降る無数の槍のようだった。
「……どれを打ち返せば!?」
カタン……
台の角、つまりエッジ部分に本物のボールが当たりイレギュラーバウンドした。
その他のボールは台の上で様々方向へと跳び、踊っているようであった。
9 ー 7
サーブ権ミカエラ
「ここで勝たせてもらうぜ」
「そうはさせませんの!」
ミカエラはフォアショートにフォアサーブを繰り出す。
ここでアスタロトは次に繋ぐ為のツッツキでボールを流した。
「貴方に裁きを下さなければなりませんわ」
体を捻った。
「あれは!デビル・ロンギヌスの構えだ!」
「まさか!?ミカエラのやつ最初のデビル・ロンギヌスだけでコピーしてしまったのか!?あの捻くれた技をよくコピーできるものじゃ」
貴方の技が捻くれ者なら私の技は正直者
……この槍は天命を司り、闇を貫く槍!
「マキシマム・ブリューナク!」