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帰り道

七「……あのう、大賢者様」

賢「なんや」

七「忘れ物してませんか」

賢「してるかもわからん。

今日はどうも忙しなくてなんか気が落ち着かんねん。

忘れているものがあったら言うておくれ。

……別に何も忘れてない様な気がするんだが」

七「わすれてまんがな。いつも大賢者様とここら辺を通ったら、

甘味屋に寄って何時もわたいにケーキおごってくれはって

自分も甘いものを食べに行きはりますがな

足りなかったらもっと注文してええて、

何時もいってくれますがな

今日は言うてくれはらしませんので、

ひょっとして忘れてるんかと思いまして。

大賢者様もご都合がありでっしゃろけど

甘味屋でなくても、ドーナツ屋でもかましませんのです」

賢「はははははははは。

いやいや、忘れてはなかったが、よう気いついたな。

今日は遠くまで歩いたさかいお前も腹が減ってるやろうと、

さっきから気付いてはいたんやがな、

今日は気がかりな事があってな、

また、今度連れて行ったるさかい、今日は辛抱しておき」

七「何がそないに気がかりです」

賢「お前が番をしてたらええんやが、

八が王子様の張番をしてるやろ、

あいつはよく居眠りをする癖があるので、

ひょっと王子様が抜け出してしまう事になると、

今日はわしは王様に対して

誠に申し訳ない事をしたことになるよって

それで急いで帰ろうと思う」

七「へえーそないに急いで帰らはって、ひょっとしてたら八、

居眠りして王子様でていってしまった後かもわかりまへんで」

賢「そやさかい気が急くやないか」

七「そんな……、なんぼの間でもおまへんがな、

ちょっと珈琲一杯飲みはるぐらい」

賢「さあさあ、今日は……、

落ち着いて飲まな、珈琲も美味しくないから、

早く帰っておちつこう、また今度や」

七「そないしても、大賢者様急いで帰らはっても、

もう、まず王子様はいてはらしませんわ」

賢「いや、そやさかいに心配やから帰ろうというのや」

七「そないに慌てはったかて、

もう今頃、八が丁度居眠りして、

王子様を出してしもうた頃やと思いますわ」

賢「……そんなにけったいな頃あるか」

七「いやいや、もう、わてには解ります。

王子様はいてはりしません」

賢「……七、お前だしたな」

七「いやあ、わては出しませんで、そんなの出したりしますかいな、

わたいはそんな、しっかりしてますねん。

八やったら二十万金貨もろてだすかもしれまへんな」

賢「貴様……、ははは、そうか、いやいやそうやな、

お前は賢いからそんな阿保なことせえへんわな」

七「へい、わたいそんなことしません。

誰もが賢いって言うてくれます」

賢「そうやな、お前は賢い、八はどもならん。

ああー、あいつは本当に王子様から

二十万金貨もろうて出してしまったやろ」

七「其れに違いおまへん、ちょっと甘味屋に行きましょ」

賢「ああ、行こう行こう。そやけどなお前賢いよってに、

これが当たるかどうか考えてみ。

王子様が八を騙して、抜け出はったら何処へ行くと思う。

それが当たったらもう、

チーズケーキだけやないで、あいすくりんに珈琲もええで」

七「へえー、ほんまにあのあいすくりんと珈琲いいんですか」

賢「ああ、二つともとってもええで」

七「さよか、はなわて考えますさかい、

ほんまにとってくれますのや。

王子様が出張ったら、まず中町のお茶屋さんに行って、

そこで踊り子さんたちが一杯いてはりまして、

それから南町の料亭へ遊びに行きはったに違いおまへん、はい。

あいすくりんと珈琲」

賢「ああ、待て待て。よし、

ほんならわしは其れがほんまかどうか見てこよう」

七「見てこんでも大丈夫」

賢「いや、ちょっと様子を見てくるよってにな、

お前は一足早く先に帰って。

王様には大賢者はちょこっと他所へ一軒、

寄り道をして帰りますと言うて、

その他は要らんこと言うでないぞ。

さあ、黙ってそれだけ言うたらええねん。先に帰りなはれ」

七「ほんならあいすくりんと珈琲は」

賢「見てきてからの事や」

七「ほんまかいな、……頼りないな。

なんやったらタバコでも預かって行きましょうか」

賢「阿保なことを言い腐るな、早く帰り」

護衛の七を先に帰して、南町の料亭へ行きます。



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