職場説明そのいち
木造内装から休憩室を挟んで逆側は非常に豪華な作りだった。
更には中央には転移ゲートが設置されており、あの無駄に長くボロい廊下も歩かなくて良いらしい。
左右には扉が20個ぐらいだろうか?計40個ぐらいの部屋があるようだ。
そして真正面には大きく【課長室】と書かれたプレートがついた扉があった。
その扉の前まで歩いて行く。
「今日からこちらに配属になった新人さんを連れてきましたよ~」
「うむ、入ってくれ」
中から威厳のある重低音な声が聞こえ、私たちは扉を開け中に入った。
「失礼します!」
中は思ったよりも広くなく、特に豪華な調度品などが置かれているわけでもなかった。
どちらかといえば最初の方のボロボロの木造よりの内装だ。
キョロキョロとしていると課長はニヤリと笑った。
「思ったほど中は豪華じゃなかっただろう?」
「い、いえ!?そそそんなことはないです!」
「ははは、気にしなくて良い。大体みんな同じような反応をする」
(しまったぁ・・・いきなり偉い人相手に大失敗だよ・・・)
しょんぼりしていると課長は本当に気にしていないと大きく笑ってくれた。
「ミュー。案内ありがとう。君は戻ってくれて構わない。
―――ああそうだ。あとからちょっと訪ねさせてもらうよ。
百聞は一見に如かずというだろう?
説明は聞いてもらうが、最後にどんな感じか見てもらうことにするから」
「了解しました~。では戻りますね~」
「ミュー様!ありがとうございました!」
いえいえ~と手を振って退出していった。
さて、といって課長はこちらへ向き直す。
「異世界転生課の課長をやっている、オルランだ。よろしく」
「第512期生、異世界転生課に配属となりましたシャロンです!
よろしくお願いします!」
「うむ、元気があってよろしい。教官共から優秀だって聞いているぞ。
異世界転生課は欠員が出た場合しか募集はしていないからな
なかなか新人ってのは入ってこないんだ」
私はコクコクと頷く。
「ああ、自由に話してくれて構わない。
どんなことでもわからないことがあれば聞いてくれ」
「わかりました!」
「よし、じゃあ説明を始めよう」
「まず異世界転生課が出来たのがいつからか知ってるか?」
「はい!10年前、天界歴6044年からです」
「その通りだ、さすがは主席だな。
では仕事内容は?」
「・・・人間界から死んでしまった人を違う平行世界などに送るとだけしか・・・
申し訳ございません、勉強不足です・・・」
「いや良い良い、学校でもその程度しか教えていないはずだ
うむ、大体はその解釈の仕方で問題ない」
「ありがとうございます」
「詳しく説明するならば、自分の生命力を分け与え
死んでしまった人を違う世界へと転生、または転移させる。
ここでは力を与えた者を転生者、転移者と呼ぶんだが
その者たちがそこで生活したり、活躍すると転生させた天使に力が宿る。
極端な例を挙げるならば、魔王を倒したりすると物凄い力が来るぞ」
(えっと・・・これって結構危険なんじゃ・・・)
「すみません、生命力を分け与えるといいましたが
それって無くなったら・・・?」
「死んじゃうね」
「やっぱり!」
私はダラダラと冷や汗をかき、涙目になった。
そんな私を見かねてか、慌てて声をかける。
「とは言っても1万人を転生させたとしても生命力は尽きることはないよ」
「え!?あっ!そっそうなんですか!?」
「うむ。ただ能力を与えるとなると+αで生命力を分け与えることになる。
・・・欠員が出たと言ったが、彼は昇進する同僚に焦ったんだろう・・・
分不相応の能力を付加させてしまった。
転生者がそれで活躍すれば良かったんだが・・・あっけなく・・ね」
「・・・そうですか」
「君ももし何かに迷った時は必ず相談してくれ」
「・・・わかりました!」
「さて次だが――」
ここまでのオルラン様の話をまとめよう。
・自分の生命力を分け与え、転生者または転移者を別の世界へと創造出来る。
・この時更に生命力を使い、特殊な能力などを付加させることが出来る。
・自分の創造した転生者または転移者が活躍などすると生命力や天使の力が返ってくる。
・その活躍は大きければ大きいほど凄い。
・生命力を使い切ってしまうと天使は死んでしまう。
今のところはこのくらいだろう。
私は瞬時にまとめ、オルラン様との会話に頭を戻した