初めての盗み
「『物理無効のマント』に『光宝玉』だ。これで攻略間違いなしだな!」
「抹殺。積年の恨み。ここで晴らす。」
「もうレベルカンスト近いじゃんよ! やってやるじゃんよ!!」
「街の人たちから魔王城の場所教えてもらったでヤンス」
「「「行くぞ!!」」」
「もう嫌でヤンス……」
(またか。光の宝玉を鑑定……『あらゆる障壁を無効化する』魔王専用のアイテムか。研究したいな)
(博士……勇者一行きました。)
ダンジョン『エリオット博士』1F
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――――― ――――
|☆| ☆⇔勇者
|〇| 〇⇔仲間
|〇| ■⇔落とし穴
|〇|
「浮遊靴っと。なんだ? 人? メイド服?」
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| ★ |
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| ■〇■ |
| ■〇■ |
――――― 〇――――
| | ☆⇔勇者
| | 〇⇔仲間
| | ■⇔落とし穴
| | ★⇔ミドリ
「勇者……。勝負…………。『スティール』」
「こんな可愛い女の子を攻撃……あっ…しまった。」
――ミドリは勇者から光の宝玉を奪った。
(そしてポチッと)
(今回は短いな)
――天井の壁に壁ドンされた。勇者達は穴へ突き落された。
――物理無効及び浮遊靴の効果により1Fへ戻ります。
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――――― 〇――――
| | ☆⇔勇者
| | 〇⇔仲間
| | ■⇔落とし穴
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「いなくなっている? どういう事だ。」
「わからないじゃん。4階まで行ってみるじゃん」
「思考無用。クリア目前。」
「『光の宝玉』盗まれたのは無視ヤンスか……」
ダンジョン『エリオット博士』4F
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|☆| □⇔階段
|〇| ◎⇔モンスター死亡中
|〇| ◆⇔ワープゾーン
|〇|
「ワープゾーンは浮遊口でスルー出来るけど……どうする?」
「目標、完勝。徹底的に調べる。」
「まあ、楽勝じゃん。ワープしてみるじゃん。」
「罠はないみたいでヤンス。ワープが正解の気がするでヤンス」
――勇者は魔王城にワープした。魔王城は牢獄脱出が使えない。
「此処は一体……」
「MAPを確認するでヤンス。……此処は魔王城でヤンス」
「博士のダンジョンはどうしたじゃんよ?」
「魔王討伐。負けてもあの街の教会で復活。」
~~~~~
「マスター。時間稼ぎ出来ました。」
「魔王は『光の宝玉』がないと倒せないからな。時間が惜しい。『光の宝玉』を研究だ。」
「あの……マスター…………」
「どうしたミドリ?」
「私の出番……これだけ…………?」
「時間が惜しいと言っているだろ!!」
~~~~~
教会
「………………」
「おお勇者よ。死んでしまうとは情けない。戦士は950G、盗賊は990G、魔法使いは970Gで蘇生可能です。蘇生されますか?』
「お願いします。」
ダンジョン『エリオット博士』4F
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|☆| □⇔階段
|〇| ◎⇔モンスター死亡中
|〇| ◆⇔ワープゾーン
|〇| ★⇔ミドリ
「君は……『光の宝玉』を返してくれないか?」
「勿論……お願い…………ある。」
「なんだなんだ? 聞くだけ聞いてみるじゃん?」
「今から……魔王討伐…………行って欲しい。」
「相談無理。博士攻略。第一優先。」
「お願い……魔王討伐してくれたら…………なんでもする。」
「何でもでヤンスか? 今なんでもするって言ったでヤンスか? 勇者! 魔王討伐行くでヤンス! すぐ行くでヤンス! さあ行くでヤンス!!」
「…………何か事情があるんだね。いいよ。僕は勇者。困った者の味方だ。但し、君の名を教えて欲しい」
「私の名前は……ミドリ…………」
「じゃあ行ってくるよ。魔王を倒したら事情を聞かせて欲しい。」
「うん……行ってらっしゃい…………」
――勇者一行は魔王城へ旅立った。
「マスター。いよいよですね。」
「うむ。勇者の魔王討伐が終わったら――――引っ越すとしようか」
「マスタ……レベル上げた意味…………」
「ミドリさん。既に私達のレベルがカンストを超えているのも内緒ですよ。」
「集まれ。やるぞ。」
エリオットは『全ての研究成果』を使用した。
~~魔王城~~
ワープゲートで魔王城へと移動した勇者一行。既に1度魔王の元まで攻略しているのでその足取りは軽い。
「ミドリさんはいったい何者なのだろう。」
「後で教えて貰えばいいじゃん。」
「魔王討伐目前。思考不要。」
「なんか嫌なフラグがたった気がするでヤンス。」
勇者一行は再び魔王の扉の前にいる。いよいよ決戦の幕開けである。勢いよく扉を開ける勇者。
――――バンッ!
「魔王。貴様もついに年貢の納め時だ!」
『また来たのか。懲りない勇者よ。吾輩の前に全ての攻撃は無意味だぞ。』
「『光の宝玉』でヤンス」
――魔王の障壁が無くなった。
「必勝。先制攻撃。|灰となれ。塵とかせ。殲滅の炎よ!!《ヘルフレイム》」
魔王に 500のダメージ
「ダメージ通るじゃんよ! 連続切りじゃん!!」
魔王に 500のダメージ
魔王に 500のダメージ
魔王に 500のダメージ
「よし! やるぞ皆!!!」
~~3日後~~
『見事だ勇者よ。私を倒すとは……』
「強かったぜ。皆の力がないと倒すことはできなかった。凄い奴だよお前は。」
『フフフ……まだ終わっていないぞ』
「嫌な予感がするでヤンス」
『吾輩は大魔王様のサブでしかない。大魔王様がいるダンジョンへの入口は……エリオット博士の研究所5Fにある。』
「やっぱりじゃん! やっぱり最終決戦の場所はあの研究所だったじゃん!!」
『持っていけ。『最後の結晶』だ。これをエリオット博士の研究所5Fにある培養槽の中に入れると|最後のダンジョンの入口が《ワープゲート》が開かれる。』
「納得。約束。大魔王討伐。」
「……嫌な予感がするでヤンス」
無事に魔王を討伐した勇者一行はエリオット教授のダンジョン5Fへ。
すると、既に部屋の中心にはワープゲートが開かれている。その前には手紙が1通だけ置かれている。
「これは……ミドリさんからの手紙?」