第7話 傷ついた体で
巨人は戦っていた。
目の前にいる異形の怪物と。
青く光り輝く巨人の体は黒く濁った異形の怪物すら輝かせている様に見えた。
四つ足の怪物と取っ組み合いで押さえ付けようとするも巨人はなかなかマウントが取れなかった。
怪物の腹に蹴りを一発いれ、距離を取った。
怪物は大きな声を上げ喚いてみせた。
その内に巨人は剣を成形しようとした瞬間、異形の怪物は尻尾を振り回し、左肩に思い切りヒットした。
デアッ!とうめき声を漏らした巨人は肩膝をついた。そしてハァハァ・・・。と苦しそうに呼吸してるかの如く左肩を抑えていた。
(巨人はもしかして人間の時に受けてる傷をそのまま反映させて戦っているのか・・・?)
俺の予想は当たっていた。が、今はどうすることも出来ないのが現状だった。
ハァァァ!と巨人は覇気を捻出し、右腕から剣を形成した。
奇声と共に降りかかって来た尻尾を剣で受け止め、それを一刀両断した。
切れた尻尾の先端から血が溢れだし、緑の木々を真っ赤に染め上げた。
苦しみ悶える怪獣に巨人は容赦なかった。剣は怪獣の右腕を、左腕を、そして腹を引き裂いた。
そして距離をとり、手の先から光線を放ち、怪獣の存在ごと消去した。
何もなくなった地表にはいつも通りの緑があった。そして淳の姿も。
「大丈夫か?」
俺が寄り添っていくも、淳はそれよりも早く倒れた。
「おい!おい!」
俺のそんな声も届くはずはなかった。
「普通の病院に送るわけにもいかない・・・。どうすれば・・・・。」
俺は悩んだ。が、一つの結論にたどり着いた。
「あの研究所に送り届ければ・・・・。」
俺はとりあえず淳を研究所に送り届ける事にした。
「あいつらなら・・・。なんとかしてくれるかもしれない・・・。」
そんな思いを胸に俺は淳をバイクに乗せ参道へと走らせていった。




