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巨人たちの肖像   作者: 山本 友樹(yamaki)
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第5話 学校と剣道の少年

学校へ着いた。

大田中学校と名がついたこの学校は全校生徒の数が800を超えるマンモス学校であった。


「じゃ、ここでいいな。」


俺は学校の駐車場に着くとバイクから淳を降ろし、互いに違う目的のために学校の校舎に入っていった。






俺は校長室に通され、

「いやぁ~お待ちしておりました。隆さん!私は校長の岡崎です。どうぞ、よろしく。」


少しごますりをするような校長、岡崎さんに出会った。渡された名刺には「校長」という文字がデカデカと書かれていた。


「私は大久保隆です。今日1日この学校を取材させて貰います。」


俺も名刺を渡した。


「では校内を案内させて貰います。」


校長に連れられ、校内を歩く。




「ここがウチの学校で1番有名な場所であろう剣道部ですね。」



校長の自慢っぽい声と共に案内された道場に入ると部員たちが大声を張り上げ、竹刀を振るっていた。


「エエーイ!」


気合の入った言葉が道場を駆け巡る。


俺は圧巻されていた。剣道なんてものはもっぱら興味がなく、プロでもないため、上手い下手なんてものはわからなかったが、気合の入った声と竹刀を振るう姿は生徒も様になっており、いつの間にか圧倒されてしまったのだ。


「さすがは全国クラスの部活動ですね。」


俺は圧倒されたあまりそんな普遍的な言葉しか言えなかった。


実際にこの剣道部は一昨年は全国ベスト16、去年は全国ベスト8と着実に実力を伸ばしていた。


「いえいえ、これは生徒たちの努力の賜物ですよ。私はせいぜい微力ながらこうやってここに来ることしか・・・。」


謙虚なことを言うが校長も鼻が高そうでだった。


忘れないうちに俺は担いでいたカメラで風景を撮影する。動きが激しい為、なかなか躍動感のある写真がとれており、俺自身も鼻が高かった。



練習やめ!と道場のどこからか号令がかかり、全部員が俺の方を向く。


全部員が脱兎のごとく道場の中央に集まっていき、瞬く間に全部員が集まっていった。その姿まるで軍人を思わせるような隊列であった。


キレイに3列程に並んだ隊列から防具越しからも熱線を感じる。


「気を付け!礼!」


隊列の1列目の真ん中にいた高身長な少年が元気良く挨拶をかけ、礼をすると、それに並んでいた生徒たちも礼をした。そしてまた解散し、自分の持ち場へと戻っていった。



「挨拶をしていた彼は?」


俺は校長に質問する。


「彼は部長の大原秀樹君ですね。去年の大きな大会でも彼の尽力があって全国大会に進んだと聞いています。」


「そうですかぁ~。」


「そしてもう1人、うちの学校の若きホープ、結城淳君です。」


指をさした方向には俺の知っている少年が練習に励んでいた。


「彼はですね、小学校からにて剣道をしており、ジュニア大会で優秀な成績を収めておるのですよ。」


校長は最後にふぉふぉふぉと自慢を隠しきれない漏れた笑いをしてみせた。それほどまでに生徒のことを愛しているみたいだ。


そんなにすごかったのか・・・。と俺は淳を見直した。


(そういやあの青い巨人も剣を使っていたような・・・・。)





「今日の取材はここまでとさせていただきます。」


俺はその言葉を最後に校長と別れた。


剣道部の取材の後も色々な部活を見回り、もう夕暮れとなっていた。


「今日は色々とありがとうございました。これでいい記事が書ける!」


俺はかなり上機嫌だった。


下校時間にはとっくに過ぎており、校内に生徒はおらずこの学校に現在いるのは教師と俺だけだった。





駐輪スペースに置いてあった自分のバイクにまたがり、キーを入れる。轟音を響かせ、唸るエンジン。ヘルメットを被り、学校を出た。


少し違った道から通ろうと思い、人影の少ない道を曲がった。


そこには小さな公園があり、制服を着た少年が数人ほどいた。その制服は大田中学校のものであることはひと目でわかった。


「なんだ?あれ?」




俺は少し気になって乗っていたバイクを降り、その小さな公園の入口に生えているちょっとした茂みから覗き込むように見ていた。


「よ~し、やれ。」


先ほどいた剣道部の部長、大原秀樹君が何か指示を出していた。辺りが暗くてよく見えないが1人の少年を数人で囲んでいるように見えた。


俺はもう少し寄ってみる。


その目の前には羽交い絞めにされていた淳がいた。ぐったりしたその姿は今にも倒れそうっであった。

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