竜酔夢 ハジマリ
昔々、ある所…ではなく天界に、仲の良い兄妹の竜がいました。
生まれた日も同じで、生まれた日から兄竜が結婚するまで、寝るときも食べるときも片時も離れることはありませんでした。
ある日、兄竜のお妃様が、あまりの仲の良さに怒り、妹竜の竜珠を取り上げてしまいました。
すると、妹竜の竜珠が砕け、散ってしまいました。
その竜珠は、妹竜のではなく、兄竜のものでした。
兄妹竜は、互いの命の象徴たる竜珠を交換するほど仲が良かったのです。
竜珠が砕け散り、下界へ落ちた時から、兄竜は昏睡状態になってしまいました。
今も、妹竜は兄竜の竜珠のかけらを捜しています。
下界で幾度も生まれ変わり、兄竜の竜珠のかけらを捜しています。
妹竜を心配した妹竜の友達も、下界へ下り、同じように生まれ変わり、妹竜のそばにいます。
もし、竜の加護を受けすぎている人が身近にいるならば、もしかしたら、妹竜かもしれません。