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ある記録

とうとうダメになったか。

できるだけ色々情報を集めようと思ったんだが、仕方がない。件の『母親』に会わなくちゃならないのだとしたら、骨がおれる作業になりそうだ。

鞄を持ち上げ、メモをその中へとしまいこむ。

「こりゃ一度戻って仕切り直した方がいいかな」

分からないことが多すぎる。世界に立ち込めている『霧』の正体と終息方法、その第一発生地点なら分かるだろうとか言ってたが、これじゃその調査もままならない。

作戦の再検討の必要性が出てきたという旨の要確認テキストを本部に送る。返答があるまではとりあえずこの元発電所の入り口まで戻っておくことにしよう。

そう決めたとたん、なんだか猛烈にほっとした。

この施設は全体的に異常な不気味さがあった。

床にホコリの一つも積もってないのに、壁はひどく汚れている。馬鹿げた話だが、昔から時が止まっているのだとしたら壁の汚れも昔からのはず。

あの映像では新品同様な真っ白の壁だったのに。映像が大分古いのだろうか。そもそもあの妙な映像が本物であるという保証もない。

「……いや、考えないでおこう」

今はとりあえず一刻も早くここを出よう。足早に歩き、コントロールセクターと書かれた部屋を出る。


「……ねぇ」


ん?

今声が聞こえたか?

霧を軽減する特殊マスク越しなのでよく聞こえない。

辺りを見回す。なにかがいる様子はない。

ふと、あの端末に表示された最後の部分が思い出された。

まだいる……って。

まさかそんな。

あの少女たちが、そのまま放置されていて。

死なず、歩き回っているとでも言うのだろうか。

「ありえない……いや、ありえないって……」

だめだ。余計なことを考えるから余計なことが聞こえるのだ。落ち着こう。ガスマスクをつけているから呼吸が足りないのだ。しかし取るわけにもいかないのでガスマスクを着けたまま深呼吸しよう。

強い石鹸のかおりがした。

「えっ!?」

ガスマスクをつけているはずなのに、鼻孔を直撃しているのは霧の匂い。マスクが壊れたか?

そう思ったが、違う。

視界の、その真ん中に何かが立っている。

いや、近づいてきている。

背丈は少女ほどで。

少女ほどの歩幅で。

その顔には、少女の笑顔が浮かぶ。

そう視認した瞬間に。

その少女は、少女らしき何かは。

破裂した。

赤黒い血肉が水っぽい音をたてて四方へ撒き散らされる。そのうちのいくらかを浴びてしまった。

より強く石鹸が香る。酸いと甘いとがまざりあった匂いとあまりの光景に吐き気を覚えるが、こらえる。状況を見るに、今吐くと溺れてしまいそうだった。

俺は呼吸もせずに走り出した。

辺りにはたくさんの少女らしき影。

次々に破裂するそれらを見ないようにしながら。


「うおっ!?」

何かにぶつかった。派手に転がる。

温かくて、少しグニッとしている。

ソレと、目が合った。

「ねぇ、ねぇ、聞いてよ……」

そう聞こえた。

ああ、だめだ。

こいつも破裂すーーー

もう辛かったのでいったんこれで完結。

途中から物語が書きたかったものから遠ざかっていってしまい、執筆を通して学ぶことは多かったものの自身の経験不足を痛感しました。

これにて筆を折ろうという気はありませんが、今回の物語の続きを書く、あるいは同じ設定で書き直すことは当分ないと思います。

ではここで。感想などお待ちしています。

また、よければほかの作品も読んでいってくださいね。

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