13-せこいやつ
‥‥
‥‥‥
あーっ!間がもたねぇ
"気にしなくていいぞ"
そういう問題じゃねーんだよ
あ、そういや教えてくれることってなんだ?
"あぁ。
俺についてだな"
というと?
"俺の扱い方というよりは概要だ
長くなる、横になって聞いたらどうだ?"
素直に横になることにする
そういや傷はねーけど、久々に動いたせいか
体の節々がホント、マジで痛い。
魔法で筋肉痛は治せないらしいな。
よし、オッケー
"まず、あの下婢が言った通り
ジェネシスというのは指輪でなく俺自身だ"
なるほどな
"そして俺は基本的に呼ばれたらいつでも応じる
加えて俺は、リョウタの心をいつでも感じることができる
だからこの間ピンチだと感じたときに助けたわけだ"
やっぱそうだよなー
便利だな‥ようは誰かに何か聞かなくてもお前に聞けばいいってことだろ?
"まあ、大体のことはそうだ。
でも俺にも知らないことがあることは忘れるな
前の主人達の知識が全てあるから、殆どないとは思うが。
だが今の時の流れはお前が聞いたことを通じて知った
それ以外は知らない。"
なるほどな、直接心を交したヤツ以外の心は
覗けないし、知ることができないってことか
"そういうことになる。
リョウタがなにかしたいと思うとき、この世界にはまらずに
お前自身の独自の、お前の世界の考え方で
新たなものを生み出すとき、俺はこの世界の考え方で力を貸すことができる。"
俺からみた新しい発想とお前からみた新しい発想で
更なる高みを目指そうってことか。
"ああ、そして俺はお前を気に入った
だからそうする価値があるとも思ってる"
なるほど、そりゃ光栄だ。
そしてタイミングよくノックの音が聞こえる
飯か。
「どーぞ」
「失礼する。
お主が女王から王専属騎士の称号とジェネシスを賜った者か。」
おいおいおいおい。
男とか聞いてねーぜ
あれこいつ見たことねーな
"コイツはユシルの婚約者のバーモンドだな弓隊の隊長だ。"
アーモンドみてーだなあ‥
まあ男なんて男の話題に上がらないから
スルーしてたのかもしれない。
いやまてよ?
バーモンド‥‥
カレーか?!
よし、今日からこいつの名前はカレーだ。
「カ…じゃなかった
バーモンド殿がこんなところに如何様で?」
ちょっと嫌味っぽくいってみた。
「ジェネシスを賜ることのできるということはかなりの実力とお見受け致す。」
いやどーだろうなー
セルフィにコテンパンにやられたばっかだしなー‥
「あーうん、それで?」
‥
間。
‥間。
‥‥間。
俺沈黙だめなんだって。
ふう、とひとつ溜息をつき、バーモンドは切り出した
「俺と手合せ願いたい。」
おいおいおい
魔法使えるようになって数時間、剣は使ったことねーし
俺にどんな勝機があんだよ。
"弓隊の隊長だ、弓を強化する魔法は使えるが弓しか使ってこない
だが射程が広い。
間合いをとることに苦労するだろうな。
まあ‥今のお前だったら頑張れば勝てるといったところだろう"
ずいぶんテキトーなこと言ってくれるじゃねーか
んー、まあ。
なんとかなるか。
「了解。」
「では、俺についてきて頂きたい。
弓隊調練室へ案内しよう。」
相手のホームで戦うのかよ
なんだこいつ、せっこ。