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11-ドSなメイド

「んー‥‥

なんか教えることないよねぇ

ぶっちゃけ自分より強い相手に教えろって方が無理だと思うんだよぉ‥」

少しうなだれながらユシルが呟く。


あれか、自分より成績いいやつに勉強教えろっていわれるくらいの

しんどさっていうか惨めさねーよな、ってことか。


「こればかりはユシルと同意見ですわね‥

あとはリョウタさまの慣れというより経験を積まれることが一番ですわ。」



‥こんな可愛い子二人にべた褒めされて調子に乗らない男がどこにいるだろうか。

きっと世界中の男だって俺と同意見のはずだ。



「よし、んじゃセルフィ、俺と手合せしてくれ。

いきなりセシルじゃちょっとな‥‥」


そしてこの判断が後の大後悔を生むことになるわけである。





「リョウタさま、お立ちください!」


いやぶっちゃけ痛い。

何回攻撃食らってるかわからない。


小学生相手に大学でやるような勉強を教えているも同然の状況

つまり実力以上を求めるメイド。


右手で光剣‥って名前だった気がする光を圧縮し剣に形成したものをもって

風を纏って俊足で右に移動する。

俺初心者なのにすごくね?


こんな技を自力で習得しなければならない状況におかれているわけである。



‥‥?!

先ほどいたところがいつの間にか抉れている。

どんな魔法なんだそれは!


「さすがですわ、リョウタさま。

何も教えずとも風纏の魔法を自分で編み出されるとは‥。

普通は魔法書で覚えるものなんですわよ?

それにその光剣、難易度Aランクの魔法ですわね‥‥」


魔法には難易度ってモンがあるらしい。

魔法力が高けりゃ習得しやすいんだろうか、それは。


悠長に喋りながら右手と左手を交互に差し出し

次々に攻撃を放ってくるセルフィ。


そして突然1mの間もないほど目の前に巨大な火の玉が出現した。


「くっそ‥!」

やべえ‥これじゃ避けられねーじゃねーか‥‥!


「ちょっと、セルフィやりすぎだよっ‥‥!」




眼前に迫る火の玉。

あーこれ死ぬんじゃね?

つーか11話で死ぬ主人公ってどういうことだよ。



"我が主よ、我が導くままに動け。"



なんかどっかから声が聞こえた気がする。

気のせいか?どっちでもいいか


意識を俺の制御下に置くことをやめ、

どっかからマリオネットのように、自分の体を何かが動かすことを

第三者かのように冷静に見守っていた。



ヒラリ、と華麗にバク宙を決め、火の玉との間合いをとる

そして左右から風を起こし火の玉をセルフィに押し戻した。


「‥‥?!」

セルフィが気を取られている隙に素早く飛び上がった。

足場として光の道を作り、セルフィのところまで空を走る。


未だ気づかぬセルフィ。



真上まできたところで降下



光の剣を振り下ろす――――。


やめてくれっ‥‥!




「っあー‥‥」


寸前で取り戻した体を必死に右にずらし、

セルフィの元へ迫る火の玉を切りながら剣の軌道をずらして

なんとかセルフィに傷つけずに済んだ。


いや俺は地面に不格好に叩き付けられてめちゃくちゃいてーわけだが。


「りょ、リョウタさま‥‥!」


駆け寄るセルフィ。

ユシルはなんやら携帯っぽい小型通信機で外部と連絡をとっている

「闘技室1に治癒魔法を持つものを集めて!」


「リョウタさま、申し訳ございません‥!」


瞳いっぱいに涙を溜めるセルフィ

頬に手を伸ばしゆっくりと撫でながら「大丈夫」と告げる。


本音を言えば恐らく骨の一本や二本逝っててもおかしくない痛さ

平気なわけがない。


が、ここは!男として!情けない姿‥は‥

つーかメイドドSすぎ‥


あれ、痛覚ねえ。

と気づいた瞬間、俺の視界は暗闇に閉ざされた。





"我が主、我は如何様な場合にでも応じ、力を貸すことができる。

目覚めたとき、先程の現象が何か知りたければ、我に語り掛けるがよいだろう。"


ユシルとセルフィの声が遠くで聞こえるような気がするなかで

ハッキリと語り掛ける声。



ああ、そうだな。

とりあえず‥あとで。

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