芸歴を異常に気にする関西芸人
関西から東京にきた芸人のハクション中西が、関東の芸人が気持ち悪がるぐらい芸歴を気にする関西芸人の心の闇を描いた作品です。知らんけど。
むかしむかし、関東芸人たちが仲良く、楽しくお笑いをやっているところに、関西芸人がやってきました。
関西芸人は、芸歴を異常に気にするということで、関東芸人たちから気持ち悪がられていました。
「おはようございます」の「おは」ぐらいで「何年目ですか?」と関西芸人は聞いてくるのです。
早くタメ口で喋りたい。早くタメ口で喋りたい、と彼らはバイクでいうところの、ブルーン!!ブルーン!!の状態で常に芸歴を気にしているのです。
ある日、関東芸人がスキューバダイビングをしていた時のことです。
海の中に関西芸人がやってきました。
芸人同士は、不思議な能力があり、スキューバのカッコをしていても芸人だと分かるのです。
“海の中なので、芸歴を聞けない”
そう思った関西芸人は、関東芸人の腕をつかみ、水中から海の上に出ようとジェスチャーしました。
そして、海からザパンと顔を出した瞬間に、こう言いました。
「ぷはーっ!!誰と同期ですか?」
このように、関西芸人たちは、自分たちでは、礼儀を重んじる集団だと思っていましたが、逆に行儀が悪いと、関東で評判になっていきました。
そして自分のほうが先輩だと分かると「まあ、でも僕なんて芸歴ギュッとしたら3ヶ月とかっすわ」と言ってくるのです。
散々、芸歴を気にするくせに、相手が後輩だと分かった瞬間に放り込んでくるこの謎のコミュニケーションに、関東芸人たちは、吐きそうになるのでした。
とある関西芸人の白雪姫は、関東芸人の王子様にキスをされ、眠りから目覚めた瞬間に、王子様にこう聞きました。
「大阪のNSCで言うと何期ですか?授業で習ったキスですか?」
関東芸人の王子様は、「東京のNSCの10期です。授業では習ってません」と答えました。
すると白雪姫は「あ、じゃあ、大阪NSCで言うところの27期とかかな?わたしは大阪NSCの25期とかなんで」と言いました。
すると王子様は「あー、じゃあ先輩ですね」と言いました。
すると白雪姫は「いやいや、全然全然、わたしなんて、ネタも一本も書いたことないし、芸歴ギュッとしたら3ヶ月ですよ」と言いました。
王子様は、何も知らないけども「いやいや〜、そんなことないでしょう〜」と言いました。
白雪姫は「東京10期って誰がおるん?」と聞きました。
王子様が「フルーツポンチ、はんにゃとか、ですかね」と言うと、白雪姫は「わたしは、ジャルジャル、銀シャリ、プラスマイナスとかやわ。
東京で言うところのジョイマンとかもかな。スリムクラブも同期らしいけど、あいつらはもともと沖縄でちょっとやってたみたいやから、ホンマは先輩かも」と言いました。
王子様はそろそろ話を切ろうとして「なるほど〜、また何かあったらよろしくお願いします」と言いました。
すると白雪姫は「わたしは、NSCの最初の授業で大工先生に褒められた」と言いました。
王子様が帰りたそうに黙っていると、白雪姫は、「お前の芸歴をギュッとすると、3秒になる。わたしは、“人の芸歴をギュッとすることによる核反応”で、新しい爆弾を作るねん」と言い出しました。
王子様は、とんでもない女にキスしてしまった、と後悔しました。
自分の芸歴をギュッとする奴はたまにいますが、人の芸歴を勝手にギュッとする奴は見たことがないのです。
白雪姫は続けました。
「オール阪神・巨人の芸歴を0.05秒までギュッとする技術はもうすでに出来てるねん。もうすぐ新しい爆弾ができるねん」
王子様は、これ以上話すのは危険だと思い「また、何かあったらよろしくお願いします」と言いました。
白雪姫は「爆弾って言うても、人々を幸せにするウィルスを世界中にばら撒く爆弾やけどな」と走って逃げている王子様の後ろ姿にウィンクをしました。
そうなのです。
関西芸人も一応、みんなを幸せにしたいとは思っているのでした。
みんな、仲良くしてね。
東京在住の関西芸人より愛を込めて。
芸人、ネタ作家、短編小説家。“理系の変な奴”は自分で髪の毛を切ります。それが私。ついでの用事が二個ないとお墓参りに行かないです。
Twitter、noteなど色々やってます。




