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転生魔王はのんびり暮らしたい。~私が勇者の指南役? ご冗談を  作者: 九條葉月


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エピローグ はじまり



 なんかシンシアちゃんは気絶していたけど、すぐに意識を取り戻した。さすが勇者候補ね。


「ちょ、ちょっとお父様に報告してきますね……」


 フラフラとした足取りで訓練場を出て行くシンシアちゃんとフレヤちゃんだった。大丈夫かしら? 付き添いしてあげたいけど、親子水入らずの会話を邪魔するのもなぁ。それにHPは満タンだから大丈夫でしょう。


 訓練場から出て行くシンシアちゃんたちを見送っていると、


「――あ、あの! エリカフィアーネ様! ありがとうございました!」


 年若い女性騎士が近づいて来て、私に頭を下げた。えーっと……たしか私が『回復』してあげた騎士だ。とはいえフレヤちゃんのための回復魔法で巻き込んだ(?)だけだけど。


 なんかあのときは気づかなかったけど、バケモノの拳で殴り潰されて跡形もなくなっていたらしい。そりゃ気づかないわ。


「気にしなくていいのよ~。ゆっくり休んでね~」


「し、しかし……。いえ、そうですよね。エリカフィアーネ様からすれば大したことはありませんか……」


 ちょっとだけ『しょぼーん』という顔をしながら女騎士さんは騎士団長だという男性の元へ駆けていった。これからドラゴンで押しつぶしたバケモノの死体を検分するそうだ。


 見学しているだけなのは気が引けるけど、さりとて何の知識もない私が手伝っても邪魔になるだけ。


 とりあえずドラゴンの死体をどかしてあげるかなーっと考えていると、ティナがジロリと睨み付けてきた。


『あなたはアホですか?』


「おう、事実陳列罪」


 ティナが一番不敬ではないですか? 怖いから口にはしないけど。


『何をいきなり死者蘇生しているのですか? アホですか? アホですね?』


「いや、私も死者蘇生まではするつもりがなかったのだけど……巻き込んじゃったのだから仕方ないじゃない?」


『仕方なくないですね。なぜいきなり最上級回復魔法を使っているのですか?』


「ほら、フレヤちゃんが死にかけてたし? 回復魔法は使ったことがなかったからどのくらい回復するか分からないじゃない? じゃあ一番効果が高いものでいいやーってね?」


『これだから無自覚チートポンコツは』


 その言い方だとポンコツがチートみたいじゃないですか?


 このままではお説教が激化してしまうと察した私は、言い訳することにした。


「それにほら、原作では死者蘇生(カルぺ・ディエム)なんて誰でもできた(・・・・・・)じゃない?」


 いわゆるコンテニュー。戦闘で誰かが死んでしまったあともガチャ石を割ることで蘇生させることができるし、教会でお祈りをすることで死んだキャラも復活させることができたのだ。


『……よろしいですか?』


 ティナは深く深くため息をついて、


『ゲームと現実の区別は付けましょう』


「言い方よ」


 実際蘇ったのだからむしろゲームの方が近いのではないだろうか? 怖いからツッコミはしないけど。





 騎士たちのためにアース・ドラゴンの死体を空間収納(ストレージ)に収納したあと。私たちはガンちゃんに呼び出された。


『公爵ごときがエリカ様を呼び出すとは不敬ですね。()りますか』


()らない()らない」


 ティナを宥めつつガンちゃんが待つ部屋へ。

 シンシアちゃんから訓練場での出来事は報告されているだろうから、私は森で起こった出来事を簡単に説明したのだった。結界を破って~、不審者を殲滅して~、神父が自分で召喚したドラゴンに踏みつぶされて~っと。


「いや~、私も一人くらい生け捕りにしたかったのだけどね? まさか自分で召喚したドラゴンに踏みつぶされるとは思わないじゃない?」


 私がそう言い訳すると、ガンちゃんはちょっと顔を引きつらせていた。きっと魔王信奉者が現れたことで心労があるのでしょう。可哀想に。


「は、はは……それもそうですな……。さすがのエリカフィアーネ様でも、魔法復活を企むような愚か者の軽率さを計り知ることはできませんでしたか」


 ごほん、と。気を取り直すようにガンちゃんが咳払いをした。


「――エリカフィアーネ様。あの神殿にいたのは魔法信奉者で間違いないでしょうか?」


「えぇ、そうね」


 魔王を召喚するって自分で言っていたのだし。まず間違いないでしょう。


「そうですか……。やはりウロボロスが……」


 ウロボロス?

 どこかで聞いたことがあるような……。なんだっけ……?


 あぁ、ゲームに出てきた敵組織だ。色々な事件を起こしてくれるシナリオ的に便利な存在――じゃなくて、許されざる平和の敵だ。最終的にはウロボロスの手によって魔王も復活させられるのよね。


 ん? となると、これもイベントだったのかしら?


 シンシアちゃんとウロボロスというと……。シンシアちゃんが王太子から婚約破棄され、一旦故郷に戻ったときにウロボロスと戦闘になるというイベントがあったはず。裏話としてはシンシアちゃんが邪魔になった王太子がウロボロスを使ってシンシアちゃん暗殺を企むというものだ。


 まさか王太子が?

 いやしかし、まだ勇者学校も始まっていないし、それはないかしら? だって勇者候補として自分より有名になった(と勘違いした)王太子が嫉妬に狂って――というのが話の流れだし。今の時点ではシンシアちゃんと王太子は『家と家が決めた、ほとんど交流のない婚約者』でしかないはずだ。


「エリカフィアーネ様。森の中にあるという神殿の調査ですが……」


「え? あぁ、ガンちゃんに任せてもいいかしら?」


 そもそも私には調査の仕方なんて分からないもの。


「なんと、我らにも手柄を……。有難き幸せ。すぐに騎士団と調査隊を編成して向かわせます」


「一応あそこにいたウロボロスの連中は殲滅したけど、増援とか来るかもしれないから気をつけてね?」


 油断したところに敵の増援。原作ゲームでの定番だ。


「なるほどその可能性も……騎士団にはよく言い聞かせておきます」


 よしこれで面倒くさいことは押しつけることができた。やったぜ。

 と、私がほくほくしていると、


「ものはご相談なのですが」


 ガンちゃんがひときわ真剣な顔をこちらに向けてきた。え? 真面目な話? まさか訓練場の修理費請求とか? アース・ドラゴンの素材売却金で一つ……。


「実は――近々王都に設立される、勇者学校の指南役にエリカフィアーネ様を推挙いたしたいのです」


「……指南役?」


「はい。シンシアから話は聞きました。エリカフィアーネ様の御指南のおかげで、我が娘とフレヤは命を繋ぐことができたと」


「買いかぶりすぎだと思うけどねー」


 いやマジで買いかぶりすぎでは? 私なんて気持ちよく魔法をぶっ放していただけですよ? リアルの爆炎って楽しいよね? だから真面目に指南役をやれと言われてもなぁ……。


「エリカフィアーネ様も最初からそのつもりだったのかもしれませんが」


 いやいや、ないですよ? なんで最初から指南役を狙わなきゃならないのか。ガンちゃん、考えすぎじゃない?


「エリカフィアーネ様に御指南を賜っている間、我々がウロボロスの情報を集めます。戦闘能力ではエリカフィアーネ様の足元にも及ばない我らですが、長年張り巡らせてきた情報網は必ずお役に立てるかと」


「そ、そうねー、頼りになるわねー」


 いや正直ウロボロスとかどうでもいいんですけど? 魔王(わたし)がここにいる以上、アイツらがどんなに頑張っても魔王は復活しないのだし。


 でもガンちゃんはやる気だし、なぜか知らないけど私が断るとは考えていないような気がする。


 私が?

 魔王が?

 魔王が勇者を育てるの?


 まぁ私としては魔王をやるつもりはないから育ててもいいのだけど……いいのかしら?


(よろしいのではないですか?)


 と、部屋の隅に控えていたティナが念話で話しかけてきた。


(いいの?)


(はい。どうやらエリカ様には関係のないところでウロボロスは動いているようですし。ここで勇者学校の指南役になれば変に疑われることもないでしょう)


(なるほど)


 まさか魔王が勇者を育てているだなんて誰も思わないしね。


(さらには公爵の手のものが情報を集めてくれれば、|魔王グルグラスト13世《エリカ様》の名前を騙る不届き者も殲滅できますし)


 情報を得たら一人で勝手に殲滅に向かいそうよねティナって。


(……それに、未来の勇者の実力や手の内を知っていれば、いざというときに倒しやすいですし)


 なんか腹黒いことを言っていた。このメイドさん、こわい。


 まぁ、でもそういうことならいいんじゃないかしら?

 それにシンシアちゃんやフレヤちゃんのことも心配だしね。一緒に王都へ行けばいざというときも守りやすいし。


「指南役とは何をすればいいのかしら?」


「おぉ、ご興味を抱いてくださりましたか! いやなに、シンシアやフレヤにしていただいたような指南を他の子にもしてくださればよいのです! 国王にはこちらから話は通しておきますので!」


「あまり厳しくすると逃げ出しちゃう子もいるかもしれないけど……」


「それは仕方ありません。逃げ出す者など勇者に相応しくないですからな。よい選別となるでしょう」


「まぁ、そういうことなら……」


 流されるままに。

 私は、勇者学校の指南役を引き受けることにしたのだった。


 まぁ、原作ゲームで育成は経験済みだし、何とかなるんじゃないかしら?




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中途半端で終わってしまった(泣) 続き求む!
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