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第3話 一大イベントへの道

遅くなりました。

「それじゃ定期テストの総合結果返すぞー。30点未満の科目があるやつは補習だからなー。」

ついに来た。来てしまった。テストの結果が_。


この学校では点数と順位が1枚の通知表にまとめられて返却される。答案は各教科の授業で確認済みだ。

「10番〜、11番〜……」

担任は淡々と返却する。

「16番篠部〜、17番白雪〜。」

受け取ってすぐに俺は結果を確認した。

_学年240人中135位。まあ勉強量の割にはいい方だろう。

「まあ十色君に'しては'頑張ったんじゃない?」

後ろから囁くような声がした。

「ぬあっ!…なんだ白雪さんか。そ、そう言う白雪さんはどうだったんだよ。」

「そんなに気になるなら見せてあげるよ〜。」

白雪さんは満面の笑みで通知表を差し出した。

(この人が勉強してるのあんま見たことないからね、実は少し悪かったりして……なっ!?)

(学年15位!?こんなに頭良かったのか。)

「十色君、そろそろ紙裏返してくれない?数字見過ぎて頭痛くなってきた…。」

「え、ああ、うん。」

満面の笑み以上の自慢はせずに白雪さんは席に戻った。てか見せてきたのそっちだろ。


「次、来月の文化祭の話進めるぞー。」

担任がそう言うと、クラスがざわつき始めた。

「法理、百木(ももき)、2人で進めてくれ、俺は一旦職員室に戻る。」

「はーい!」

法理さんは元気に返事をして副委員長の百木喬椰(ももききょうや)と前に出る。

「それじゃあ、クラスの出し物決めまーす!意見ある人ー?あ、飲食系以外ね。」

文化祭は楽しみだが、出し物をするとなると面倒だな。そういえば部活の先輩が文化祭は準備期間が一番楽しいって言ってたっけ。

「はい!俺、お化け屋敷やりたい!」

最初に意見を出したのは俺の隣に座る垣浦康晃(かきうらやすあき)だった。

「お化け屋敷か〜!いいね康晃、センス抜群!では喬椰君、書きたまえ!」

喬椰は無言で板書をとる。心做しかムスッとした表情に見える。嫌なのかな?

「他にある人ー?」

「はい!私フォトスポットがいいと思い…ます!」

次に意見を出したのは真面目アニメ好き女子の

一番ケ瀬(いちばんがせ)なつだ。

「フォトスポットもいいな〜!では喬椰君、書きっ…」

既に字は書かれていた。見事なまでの教科書体で。なんで教科書体?そして喬椰は微笑んでいる。どうやら手間がかからないものの方がいいらしい。

他にもたくさんの意見が出た。が…

「20対18!うん!じゃあこれで決定〜!」

選ばれたのは、フォトスポットでした。一部不満そうな人もいたが多数決だったのでしょうがないだろう。

<放課後>

「十色〜帰ろうぜー!」

話しかけてきたのは康晃と喬椰だ。

「うん。帰ろうか。」

俺らは草の茂った川沿いを歩いていた。康晃が口を開く。

「てか喬椰さァ、お化け屋敷とフォトスポットでリアクション大分差あったね。」

「ああ、準備が楽なものの方がいいだろ?早めに準備して余った時間遊びたいからな。」

喬椰が言う。その発言に俺が返す。

「でもお化け屋敷でも問題ないんじゃない?時間かかると言ってもそこまででは…」

「いや…。」

(ん?空気が変わったような…。)

「問題あるよ!準備に時間かかるしお化け役やらされるから当日忙しくなるし学生が作るお化け屋敷(笑)のクオリティなんてたかが知れてるし!」

「文化祭のお化け屋敷に親でもコロされたのかな?」

康晃が困り顔でつぶやく。

「それに比べてフォトスポットはいいぞ!準備は楽だし友達と簡単に写真撮れるし定番だから安定だし!」

(熱くなってるなあ。)

自分がいいと思ったものは全力で肯定し、だめだと思ったものは全力で否定する。これが百木喬椰の青春なのか。

『じゃあなー!』

俺らは十字路で別れ、今日を終えた。

どんな文化祭になるかな。








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