表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

第2話 金曜日の教室にて

バレンタインだね。

「あっ、忘れ物忘れ物〜。」

学校の玄関にいた俺はロッカーに忘れていた数学の課題を取りに階段をかけのぼる。今週末はために溜めた課題を消化すると決めているのだ。

タンッ、タンッ、タンッ。閑散(かんさん)とした校舎内に足音が響き渡る。

(しばらく運動してないからきついな…。)

そう思いながら教室へ歩いて行くと、小さな声が聞こえた。

「これは……に……という事かも……」

少し老けた感じの男の声だった。どうやら誰かがラジオを聴いているようだ。まあそんな事はどうでもいい。

(どうでもいいよね?)


教室に入ると、驚いたことにそこには誰もいなかった_。

「あ、十色(といろ)君。」


いた。


ラジオを聴いていた2人の女子生徒が座っていた席は、教室を後ろから入ってすぐ右の列にあった。机を挟み、向かい合って座っている。1人はこの間俺に忠告?をしてきた白雪泉(しらゆきいずみ)。もう1人はこのクラスの委員長で軽音楽部期待の新星と呼ばれている(らしい)少女、法理音葉ほうりおとはだった。

「珍しいね、十色がこんな時間に学校にいるの。忘れ物でもしたの?」

音葉さんが変にニヤニヤしながら問いかけた。

「ああ、そうだよ。よく分かったね。」

俺はロッカーを漁りながら答えた。

「十色も一緒にラジオ聴こうよ!どうせ暇でしょ?」

「うーん。いいよ〜、どうせ暇だし。」

(あ…)

無意識に承諾してしまった…。


こうして、ラジオを聴く会(仮)が始まった。内容はどうやらリスナーの恋愛に対するアドバイスのようだ。

途中、音葉さんが話しかけてきた。

「ねえ、泉のどこが変わったか気づいた?」

「変化?」

どこが変わったんだ……あ。気づくのに1分かかった。

「メガネか!」

「正解〜!」

そのとき真剣にラジオを聴いていた泉さんがこっちを見た。

「どう?変かな?」

確かにメガネが黒縁から赤縁になっている。

「あ、いや、うん、問題ないよ。」

ちょっとぼんやりしてた。

この会話をした数分後にラジオが終わった。


「何なの!あの専門家気取りの上から目線のアドバイスは〜!?」

突然泉さんが大きめの声を出した。ラジオのアドバイスが不満だったようだ。

「少ししかリスナーの話を聞いてないのに『お互いに配慮(はいりょ)が足りてないですねー』とか『私だったら普通に直接言いますけどねー』とか!なんかムカツク〜!」

「い、泉さん?」

「まず他人の恋愛に軽い気持ちで口出しするのは私的には〜ゴニョゴニョ……。」

泉さんが必死に語る中、音葉さんはまだニヤついていた。

「こうなるとなかなか止まらないんだよねー。」

「そうなんだぁ。」

そのとき俺はちょっと考えた。


(これが泉さんがいっぱい考えてることの正体?他にもっと考えてることがある?)


判断材料が少ないけどそんな気がする。そして初めて気になった。

(他人は何を考えているのだろう?)


「泉ーそろそろ帰ろうよぉー。」

音葉さんはもうバッグを背負っていた。

「え?あぁそうだね。帰ろうか。」

泉さんは慌てて準備を進め、音葉さんと教室を出ようとする。

去り際に音葉さんが言った。

「お互いにテスト勉強頑張ろうね!十色!」

「うん?」

「じゃあね!」

「十色君バイバーイ。」

教室から音が消えた。数秒後、俺はハッとした。


定期テストまであと10日。


俺はノー勉だった。
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ