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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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いよいよ始まった研修旅行!最初の目的地は広島!まずは広島が誇る大企業の企業博物館を見学するぞ!

 無事、全員が新幹線に乗り込めたようだ。やれやれ・・・。私が席に着こうとすると、すでに新幹線は滑るように動き出していた。

 思えばNコン全国大会に行くために初めて新幹線に乗ったのが七月だった。今年だけで二回目の新幹線乗車かぁ。こんなに新幹線に乗る事になるなんて、高校に入った時には思いもしなかったなぁ・・・。

 それにしてもトンネルが多いなぁ・・・。東京に行ったときはこんなにトンネルが連続することは無かったような・・・。

「ねぇ、ドルフィンちゃん。お昼ごはん、楽しみだねぇ。」

 突然花音ちゃんが話を振ってきた。顔がにやけてる。楽しみで仕方が無いって感じだ。

「私、本場の“広島焼”って初めてなんだぁ。」

 うん。私も初めてだ。楽しみではあるが・・・やっぱり釘を刺しておいた方がいいかなぁ・・・。

「花音ちゃん、忠告しとくけど、現地で“広島焼”とか“広島風お好み焼き”って言っちゃぁ駄目だよ。」

「えっ?どうして?」

「広島の人は、“広島こそ元祖お好み焼き”って考えてるから、“広島焼”なんて言った日には食べさせて貰えないどころか、お店から追い出されるかも。」

「えっ!?そうなの?」

「私は判る気がするなぁ・・・誰だって自分の地元こそが至高だって思いたいもんねぇ・・・“郷に入れば郷に従え”だよ。とにかく、食べさせて貰えないのは困るから、絶対に“広島焼”とか“広島風”とか言っちゃぁ駄目だよ。」

 花音ちゃんは青い顔をしながらぶんぶんと顔を上下に振った。

「うん、判った。気を付けるよ。」

 花音ちゃんとの会話で判ったと思うけど、今年の研修旅行は広島方面だ。学年全員が一緒くたに行動するには人数が多すぎるため、1組・2組・3組のAグループ、4組・5組・6組のBグループ、7組・8組のCグループに分かれて、各グループが行き先を互い違いにして周ることになっている。だから、今回は響子ちゃんや紙織ちゃんと一緒に行動することは無いんだ。・・・ちょっと残念。

 そんなことを考えていると、チャイムの音がして、続けてアナウンスが流れてきた。

『今日も、新幹線をご利用いただき、有り難うございます。間も無く岡山、岡山に到着です。』

 あれ?もう岡山?まだ一時間しか経っていないのに。新幹線ってやっぱり速いなぁ。

 アナウンスの途中からブレーキがかかる音がして、新幹線はゆっくりと速度を落としていった。やがて岡山駅のホームが見えたかと思うと、新幹線は慣性が体にかかることも無くするするっと停止した。

 窓からホームの様子を見ていると、Aグループが大慌てで降りていくのが見えた。Aグループはここで“こだま”に乗り換えて三原に行き、さらに三原で在来線に乗り換えて忠海に向かうのだ。

 岡山での乗り換え時間は4分しかない。Aグループは急いで向かい側に停まっている“こだま”に乗り込んでいく。一方私達が乗っている“のぞみ”は一足先にするするっと動き出した。私達は窓越しにAグループの皆に手を振って別れを告げた。

 それから一時間もしない内に広島駅に到着した。私達も慌ただしくホームに降り立った。ここで、Bグループともお別れだ。Bグループは在来線に乗り換えて岩国へ。私達Cグループも同じく在来線に乗り換えだけど、まったくの逆方向だ。

 私達が向かうのは山陽本線で二駅戻ったところにある向洋駅だ。たった二駅なので5分で到着。一日の利用者数は広島県内で第7位の駅だと聞いてたんだけど、思ってたよりも小さい駅だなぁ。

 改札を出て歩くこと4分、ここが自動車メーカーのマツダ本社だ。私達はここ本社工場の中にある博物館“マツダミュージアム”を見学するために訪れたんだ。

 ロビーで整列して待っていると、ツアーガイドさんがやって来て説明を始めた。八十人もの生徒相手だから、携帯スピーカーを使っている。その間に受付を済ませた添乗員さんが入館証とパンフレット、案内用紙を私達に配布してくれた。

『東和高校の皆様、本日はマツダミュージアムにお越し頂き、誠に有り難うございます。皆様には、これよりシャトルバスに乗って頂き、ミュージアムがある宇品工場へと向かっていただきます。』

 えっ!?ミュージアムはここじゃ無いの?別の工場???

『シャトルバスは、マツダ本社の敷地内を走行してまいります。是非、本社工場の大きさを体感してください。』

 そう言われて、私達はロビーの入口前に停車しているバスに乗り込んだ。バスは延々と続く工場の横を走っていく。ミュージアムに到着するのにおよそ10分かかった。敷地内を走るだけで10分も掛かるなんて・・・大企業の工場って凄いなぁ・・・。

 さて、ようやくミュージアムに到着した。中に入るとマツダの自動車がずらりと並んで私達を出迎えてくれた。私は自動車に興味があるわけじゃないから、言うほど感動しなかったけど、男子連中は大興奮している。男の子ってほんとメカが好きだよねぇ・・・。

『皆様、ここは"タイムトンネル"と呼ばれております。まずは弊社の“モノ作り精神の原点”をご覧いただきます。』

 うん?見慣れない車?が通路の先に展示されている。バイクの後ろに荷台が接続されているようだけど・・・。

『こちらが弊社の現点となります一九二〇年に発売されました“三輪トラック”です。』

 えっ!?これってトラックだったの?私の中にあるトラックのイメージと程遠いんだけど・・・。

 他にも二台三輪トラックが展示されてる。こちらは戦後になってから発売されたものらしい。

『こちらが、弊社の創業者、松田重次郎です。松田は・・・。』

   三輪トラックの横におじさんの写真が飾られていた。このおじさんがマツダの創業者、松田さんだ。松田さんが作った会社だからマツダか・・・いや、当たり前か。トヨタもホンダも創業者の苗字だもんね。

 一頻り松田さんの説明を受けてから、“総合自動車メーカーへの歩み”と題されたゾーンに移動した。ここには沢山の自動車が並べられていて、スゴイナァ、とは思いました、丸。男子達は興奮してたけど・・・私はメカにはあんまし興味がないんだよねぇ。だから、ガイドさんの説明も頭に入ってこなかった。

 次のゾーン、“企業と技術の威信をかけた世界への挑戦”。ここでも男子は大はしゃぎ。でも、私にはモータースポーツは判んないし、そもそも興味が無い。まぁ、こればっかしは好き嫌いだから仕方ないよねぇ。

 “人を第一に考えるマツダのモノ作り”。このゾーンは現行のマツダ車に採用されている技術やデザインに関する展示だった。

『では、パワートレイン開発本部に在籍されてるスタッフさんにご登場いただきましょう。』

 作業服を着たおじさん?お兄さんかな?が登場した。

『今からエンジンについて説明します。』

 お兄さんは並べられたパネルを使って、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの構造の違いとそれぞれの燃焼の仕組みを説明してくれた。メカに弱い私は、この説明で初めてガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いが判った。

『では、続いて着火体験をしてみましょう。これはディーゼルエンジンの圧縮着火を実際に見てもらうための実験です。

 申し訳ありません。機材を人数分用意することは出来ませんでしたので、5,6人の班に分かれて体験していただきます。』

 目の前の机上には頑丈そうな分厚いガラス製の筒とその直径に合わせて作られた金属製の棒、それにコットンの切れ端が用意されていた。何だか理科の実験みたいだなぁ。

『ガソリンや軽油は危険ですから、今回はコットンの切れ端を燃料の代わりにします。』

 えっ?コットンが燃料の代わりになるの?・・・まぁ、ともかくやってみよう。

 まずは筒の中にコットンを入れて・・・続いて棒を筒に差し込んで・・・と、筒と棒の間に全く隙間が無い。だからか棒は少し入っただけで、それ以上は中まで入って行かなかった。

『棒はすんなりとは入らないですよね?これは空気もまた物体だからです。空気があるから棒は下に落ちて行かないのです。では、続いて棒を上から思いっきり押してみてください。』

「誰が押す?はい!押したい人!」

 私は班の皆に聞いてみた。うーん、しかし反応が薄い。

「皆消極的だなぁ・・・じゃぁ私がやってもいい?」

 皆はうんうんと頷いている。しょうがないなぁ・・・。

 う、うーん・・・これは・・・腕の力だけじゃぁ押すこともままならないぞ。腕をピンと伸ばして・・・全体重を棒に掛けて、と・・・うん、棒がぎゅっと圧し下がった。!!!その途端、コットンからパッと火の手が上がった。

「「「おおぉ!?」」」

 皆が一斉に声を上げた。燃料を使わずに小さなコットンだけでも着火することにビックリしたようだ。って、勿論私も驚いたけどね。

『どうでしょうか?上手く火は着きましたか?エンジンでは、こうやってガソリンや軽油に火を着けているのです。』

 こうして無事実験は終わり、皆でお兄さんにお礼を言って次のゾーンへ。今度は“皆様のクルマはこうして生まれる”だ。何と!実際の生産ラインを見学できるゾーンだった。写真撮影や動画撮影は禁止されてるので、自分の眼で見て記憶するしかなかったんだけど、私的にはここが一番興味深かった。実際に自動車工場の様子を見れるなんて、初めての経験だったからね。

 見学ルートの途中には輸送船へ船積みする場所を見学できるデッキもあった。

『皆様、ご覧ください。目の前に停泊中の輸送船に、北米に向けて輸出されるマツダ車が今まさに搭載されるところが御覧いただけます。』

 へぇー。こんな風に積み込まれるんだ。クレーンで積み込むのかと思ってたけど、自動車自身が走って船に乗り込むんだぁ。うーん、見てて飽きないなぁ。

 最後は“人と共に創る ”。アートワークを通じて生まれた作品だそうだけど・・・ごめんなさい。申し訳ないけど私的にはその凄さとか良さとかはよく判んなかった。

 ここまででざっと二時間弱。うん。研修旅行ならではだ。個人だったら多分一生来ることはなかっただろうなぁ。凄く勉強になりました。

『東和高校の皆さん、いかがでしたか。是非、弊社マツダのファンになって頂けたなら幸いです。本日はご来館、有り難うございました。』

「「「有り難うございました!!!」」」

 記念品まで頂いてしまった。私達はツアーガイドさんにお礼を言ってマツダ本社を後にした。


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