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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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文化祭本番突入!諸君!戦いはこれからだ!まぁ、今年の1年生なら乗り切ってくれるよね。

 メカ班の準備が整ったようだ。

「PA、OKでーす。」

 鯨山君が叫ぶと、それに呼応して生徒会役員が動いた。生徒会副会長の船津さんだ。

『それでは、本日午後からの舞台発表のリハーサルを開始します!出演団体は待機してください。なお、本番まで時間がありません。リハの時間は厳守でお願いします。』

 文化祭初日の舞台発表のリハーサルが始まった。

 昨年と全く同じ日程だ。生徒全員が観覧する開会式、吹奏楽部、合唱部、ダンス部、バトントワリング部の発表が行われる。

 因みに全体会の仕切りは生徒会が行うので、私達アナウンス・朗読班の出番は無い。だから、メカ班のお手伝いをすることになっている。

「先輩、先輩!」

「うん?神志山さん、どうしたの?」

「出番は、吹奏楽、合唱、ダンス、バトンの順ですよね?それなのにダンス部のリハが始まりましたよ。どうして順番通りじゃないんですか?それとも順番が入れ替わったとか?」

 あぁ、私も去年鯨山君に聞いたなぁ。ふふふ・・・ちゃんと理由は覚えているぞ。

「別に本番での順番は入れ替わったりしてないから安心して。

 理由は簡単だよ。合唱部はピアノの出し入れが必要、吹奏楽部は椅子と譜面台、楽器の出し入れが必要、だから順番を入れ替えて、吹奏楽部の準備ができた状態で開会式をやれば、その分手間がかからないと言う訳。わかった?」

 神志山さんはポンと自分の拳で自分の手の平を打った。

「なるほど。段取りの都合でリハの順番が入れ替わってるんですね。」

「そう言うこと。」

 そんな説明をしている内にダンス部のリハが終わった。

『ダンス部の皆さん、他に何か気をつける点はありますか?』

 メカ班の1年生がインカムでダンス部のキャプテンに確認している。去年は鯨山君がやってた役回りだ。メカ班も着々と後進を育ててるんだなぁ・・・。

『・・・OKですか?ではバトン部と交代してください。』

 ダンス部がさっと舞台からひくと、すぐに入れ替わりでバトン部が出てきた。ここら辺は流石部活動だ。きちんと判っておられる。

『・・・では、バトン部の皆さん。スタンバイOKですか?』

『・・・では、1曲目の出だしの確認をします。照明は全灯で、イントロが始まってから袖から出る、で間違いないですか?』

『・・・了解です。では、行きますよ。』

『照明OK、音楽オン。・・・タイミングOKですか?・・・OK!』

 ☆

 生徒会長と校長先生の挨拶は立ちマイク1本を舞台中央に設置して、終わった後にそれを舞台袖にはくだけ。吹奏楽部と合唱部は音響いらず。ダンス部とバトン部は曲を流すだけ。MCも副会長の船津さんがやってくれたから私達の出番は無し。去年と同じように、何事も無く文化祭初日は終わった。

「さぁ!いよいよ本番よ!」

 私が大声を出すと、1年生達がぎょっとしたようにこちらを見た。

「えっ?先輩、何を言ってるんですか?」

「さっき、初日の舞台発表は終わりましたよ?」

 私は顔の前で右手の人差し指を左右に振った。

「ちっちっち・・・君達、甘いな。むしろ、これからが私達放送部にとっての本番なのだよ。」

 響子ちゃんと紙織ちゃんが腕を組みながら、うんうんと頷いている。

「毅然とした態度で!ぶれることなく!粛々とリハを遂行します!」

 私の宣言に対し、怪訝そうにしていた1年生達も、いざリハが始まると、私の言葉の真意を汲み取れたようだった。

「代表者会議で説明したでしょ!これは“通しリハ”です!リハーサルとは違うんですから、早く退いてください!」

 あははは・・・デジャビュを感じる。去年は井鹿先輩が鬼神の如く叫びまくってたっけ・・・。今日は生徒会書記の相賀先輩が同じように叫んでいる。

「いえ、もう一度・・・もう一度だけやらしてください!」

「駄目です!“通しリハ”は、“本番と同じ進行手順で、最後まで全体を通して行う”ものです!“通しリハ”以降、勝手な演出の変更などは認められません!“通しリハ”は演者とスタッフ、双方の最終確認のためのものです。ここからは変更は認めません!」

「そう言わずに。もう一度だけ!もう一度だけでいいんです。」

「駄目です!どうしても、と言うのであれば、最後に回ってください!まだまだ沢山の団体が控えているんです!他の団体の時間を奪うことは許されません!」

 あははは・・・この遣り取りも去年とほぼ同じだな。まったく、度し難い。

「最後に回ると、何時頃になりますか?」

「予定通りだと19時頃です。・・・こうしている間にも、どんどん時間が押しているんです。自分勝手は許されません!さっさと舞台から捌けてください!」

「判りました。最後まで待ちます。」

「では、それまでにしっかりとクラスで打ち合わせをしておいてください。リハに入ってからのあーだこーだは許しません。そんな状態なら、すぐさまリハを打ち切ります!

 はいっ!では、次のリハ!2年5組、スタンバってください!」

「先輩、リハってまるで戦争ですね・・・。」

 新鹿さんが呆れたように言った。

「あははは・・・去年もこんな感じだったよ。無茶な要求をする奴には、毅然とした態度であたるのってことが大事なんだ。押せば我が儘が通る!って一度でも思われたら、もう収拾がつかなくなるからね。」

 一年生達が揃って頷いている。うん!こう言うことも、ちゃんと継承していかなくっちゃぁね。

 ☆

 文化祭二日目。私たち放送部員は朝7時に集合だ。

「おはよう、皆!」

「「「おはようございます、先輩!」」」

 うーん、心なしか皆眠そうだなぁ・・・無理もないかぁ。昨日は去年とほぼ同じ、二〇時を過ぎてやっとリハが終わったもんなぁ。

「皆、疲れてるだろうけど、まだ二日目だよ!張り切っていこう!」

「「「おぉーーー!!!」」」

 うん!まだ声は出てるから大丈夫だろう。

「やぁ、おはよう!皆揃っているかい?朝のミーティングを始めるよ。」

 生徒会役員の皆さんもやってきた。これから今日一日の打合せだ。

「今の時点では、変更等の連絡はありません。しかし、例年時間になっても集まらない団体が出てきます。時間になっても集合が完了しない団体に関しては、容赦なく緊急放送で呼び出してください。公演開始10分前になっても集合を完了しなかった場合、公演はさせないと代表者会議で伝えていますので。」

 うん、去年とほぼ一緒だな。まぁ、そうそう人間と言うものは変わらない、と言うことだろうなぁ。

「先輩、本当に今までにそんな事例はあったんですか?」

 神志山さんが小声で聞いてきた。

「呼び出しは去年もしたよ。流石に公演をさせないって事は無かったけど。」

「そうなんですね・・・今年も覚悟しておいた方が良いですね。」

「うん。いつでも放送を入れられるように、必ず一人は放送室に待機してるのはそのためだよ。皆、いざと言う時はインカムで伝えるから、すぐに緊急放送を入れてね。」

「「「判りました!」」」

 その後、二日目も無事終了。前日のリハと比べれば本番は楽なもんだ。スケジュール通りに進めればいいだけだからね。

 さて、これからは三日目の通しリハだ。

「先輩、今日も昨日みたいに長丁場なんでしょうか・・・。」

 新鹿さんがうんざりした表情で聞いてきた。

「あははは・・・昨日みたいなことにはならないと思うよ。」

「昨日みたいにはならない?・・・どうしてですか?」

 神志山さんが不思議そうに聞いてきた。

「今日リハをする軽音楽部は通しリハには慣れてるんだ。普段からスタジオを借りて練習したり、ライブハウスでライブをやってるからね。まったくの素人って訳じゃないんだよ。」

「そうなんですか?」

「まぁ、見ててごらん。」

 流石は軽音楽部と言うべきで、幸いにも私の言ったことは嘘にはならなかった。どのバンドもほぼセッティング表通りにリハが終了したのだ。

「明日はいよいよ文化祭最終日!皆疲れているだろうけど、あと一日だ!頑張ろう!」

「「「はい!頑張りましょう!」」」

 ☆

 今年もやっぱり最終日は盛り上がった。多くの生徒達が体育館に集まって軽音楽部のライブに熱狂していた。

 私自身はライブを見ながら、あぁ、これで文化祭も終わりなんだなぁ、って感慨に耽っていた。そう言えば去年も同じように感じたなぁ・・・そう、お祭りが終わる時に感じる独特の寂しさだ。・・・他の部員も私と同じ表情をしてるなぁ。感じていることは多分同じだろうなぁ・・・。しかし!!!

「さぁ、皆!まるで終わったかのような表情をしているけど、この後片付けが待っているからね!もうひと頑張りだよ!」

「「「えぇーーー!!!」」」

 あははは・・・予想通りの反応、有り難うございます!でも、片付けまでが文化祭ですよ、皆さん!


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