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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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いよいよ学校行事が目白押しの2学期が始まった!ところで1年生諸君は県総文に参加するのかな?

 2学期が始まった。いつもの始業式が始まる・・・とはいかなかった。今回は、始業式に先立って行われる表彰伝達にて私達放送部員が表彰されるからだ。

 神倉先輩がNコン優勝、私がNコンと全総文で優秀賞、響子ちゃんがNコンで入賞プラス全総文で優秀賞、紙織ちゃんがNコン入賞。あとNコンテレビドキュメント部門での入賞もある。

「ご心配なく。今回の始業式の運営は俺たちでやっとくからさ。」

 鯨山君達がそう言ってくれてるから式典の運営自体は大丈夫なんだけど、式典中は舞台袖に居ることに慣れてしまっている身としては何やら落ち着かない。

「伝達を受ける生徒は、ここに並びなさい。並び順は、まずは放送部。神倉千穂、栗須入鹿、三輪崎響子、鵜殿紙織・・・。」

 いつものように担当の先生が点呼を取りつつ並ぶ位置を指示している。

「えーと、このテレビドキュメント部門は誰が賞状を受け取るんだ?」

「はい!私が受け取ります!」

 神志山さんが肩まで手を挙げて先生の呼びかけに答えた。実は、神志山さん、最初は表彰を受ける役になることを渋ってたんだよねぇ。実際に制作したのは先輩達だから、って。でも、東京まで行って学校の代表としてテレビドキュメント部門に参加してくれたのは貴女だからって説得したら、ようやく了承してくれた。

「よし、続いて書道部。代表は誰だ?」

「はい!私です。」

 大曾根さんが手を挙げて答えた。

「よし、次・・・。」

 うーん、夏休み中にこんなにも沢山表彰を受けてたんだなぁ・・・皆頑張ったんだな。

『始業式に先立って、表彰伝達を行います。表彰を受ける生徒は登壇してください。代表者以外の生徒は舞台前に整列してください。』

 おっ!?色々と考えている内に始まってしまったぞ。私は神倉先輩に続いて階段を登った。こんな風に先輩の背中を見るとは感無量だな。先輩は凄く姿勢が良い。私も見習って背筋を伸ばそう。

『表彰を受ける者。

 NHK杯全国高校放送コンテスト、アナウンス部門優勝、神倉千穂。同じく優秀賞、栗須入鹿。朗読部門入賞、三輪崎響子。同じく鵜殿紙織。テレビドキュメント部門入賞、放送部、代表神志山心愛。

 全国高等学校総合文化祭放送部門、アナウンス部門優秀賞、栗須入鹿。同じく朗読部門優秀賞、三輪崎響子。

 書道パフォーマンス甲子園、審査員特別賞、書道部代表大曾根皐月。

 全国高等学校総合体育大会、入賞、ハンドボール、代表入之波花音。

 ・・・・・・・・・・。」

 うむ。こんな風に仲の良い人達と揃って表彰を受けられる日が来ようとは・・・去年高校に入学した頃には思いもしなかったなぁ・・・。

『それでは、今読み上げた順に演壇中央に進み出て、校長先生から表彰を受けてください。』

 ☆

 始業式は無事に終了した。私達の代わりは1年生の部員が立派にやってくれた。始業式や終業式レベルの式典なら、もう私達が口を出さなくても大丈夫だな。

「さぁて、1年生の諸君!」

 放課後、1年生達にそう声を掛けると、何だ?って言う顔をしながら不審そうに私を見た。

 私は咳ばらいを一つしてから、言葉を続けた。

「諸君は県総文には出るのかな?そろそろ申し込みの締め切り日が近いのだが。」

 すると、1年生達の顔は、あっ!って風に変わった。そう、次のコンテストは県総文だ。新鹿さんがさっと手を挙げて聞いてきた。

「先輩達は出られるのですか?」

 私は響子ちゃんと紙織ちゃんと一度顔を見合わせてから新鹿さんに向き直って言った。

「私と響子ちゃんは出ません。」

 再び1年生達の顔が、えっ?って顔に変わった。

「で、出ないんですか?」

「な、何故ですか?」

 波田須さんと二木島さんが聞き返して来た。私達と一緒に東京に行った時にすでに話しているから神志山さんは冷静だった。

「理由はね・・・できるだけ沢山の部員に経験を積んで欲しい、からだよ。」

 私の返事を聞いても波田須さんと二木島さんは怪訝そうな表情を変えなかった。そりゃそうか。言葉足らずな返事だもんね。

「県総文は来年の全総文の県予選なのは知ってる?」

 再び、えっ!って表情をしながら二人は答えた。

「えーと・・・知りませんでした。」

「同じく・・・。」

 私は二人の返事を聞くと、軽く頷きながら答えた。

「私と響子ちゃんはこの夏に全総文に参加したからね。私達が参加しないことで、皆が予選突破する確立が高くなるでしょ?それが理由だよ。」

「そんな・・・先輩達はそれでいいんですか?」

 おっ!波田須さん、結構食いついてくるなぁ。

「うん、それでいいんだよ。今回の大会で私も響子ちゃんも優秀賞を獲ったしね。Nコンと違って、全総文はお祭り的なところがあって、一度参加すれば十分。私達にとって次の全総文に出る意味はもう無いんだ。」

 私の説明を響子ちゃんが補足した。

「お祭りだから参加する価値が無いって言う訳じゃない。全国から選ばれた人たちが集まって自分達の技術を披露する場だから凄く勉強になるよ。」

「だからこそ、是非皆には全国に行って欲しい、そう考えての辞退なんだ。」

 すると、それまで大人しく黙ってやり取りを聞いていた神志山さんが突然声をあげた。

「私、全総文も行ってみたい。だから、皆!頑張って全国を目指そうよ! 」

 二木島さんが納得した顔になって頷いた。

「そうだね。伝統を私達の代で途絶えさす訳にはいかないもんね。」

 えっ?で、伝統、って。いやいや、そんな大げさなものではありませんよ、お嬢さん達。うちの放送部が全総文に行ったのはこの2年間だけですよ。・・・まぁ、いいか。勘違いされても悪いことじゃないし、本人達のモチベーションが上がるのは良いことだ・・・。

「うむ!是非君達も私達に続いて伝統を守ってくれ給え。」

 すると、響子ちゃんが私の耳に顔を近付けて、小声で聞いてきた。

「ねぇ、ドルフィンちゃん。うちの放送部にそんな伝統ってあったっけ?」

 私はすぐに響子ちゃんに黙っているよう、口に人差し指を当てるゼスチャーをした。響子ちゃんはすぐに私の意図に気付いて黙ってくれた。

「あっ、そう言えば、紙織ちゃんはどうするの?県総文には出るの?」

 そう、今回の全総文には紙織ちゃんは行ってないのだ。私は気になったので聞いてみた。

「そうねぇ・・・二人の話を聞いてると楽しそうだったし、行けるなら行ってみたいかも。ドルフィンちゃんと響子ちゃんと一緒に行けないのはちょっと残念だけど、今の1年生達と行くのも楽しいかもね。」

 えっ!?と言う風に1年生の顔色が変わった。そりゃそうか。紙織ちゃんが参加するとなると確実に一枠減りそうだもんね。

「紙織ちゃんは朗読・・・だよねぇ?」

「ええ、勿論。今更宗旨替えするつもりはないわ。」

「聞いたか!1年生諸君!朗読部門が厳しい、と思ったならアナウンス部門に宗旨替えしたまえ!」

 私の発言を聞いた波田須さんがすぐに手を挙げた。

「ドルフィン先輩。来年のNコンには先輩は当然アナウンス部門で出ますよね?」

「勿論!」

「高倉高校の渋川さんも出るんですよね?」

「勿論!」

「だったら、私は宗旨替えなんかせずに朗読で参加します。」

 二木島さんも頷いている。

「私も。ころころと部門を変えるようじゃ到底先輩達には追い着けません。朗読に専念して技術を磨きます。」

 なるほど・・・二人とも良く考えてるなぁ・・・私の発言は迂闊だったなぁ。

「うん、ごめん・・・気軽に宗旨替えなんて言っちゃって・・・そうだよね。全国を目指すなら技術を磨かないといけないもんね。」

「はい。だから鵜殿先輩が出るからと言って臆してはいけないと思います。」

「頑張ります!」

 それを聞いた新鹿さんと神志山さんも決意を述べて来た。

「私はアナウンス部門で頑張ります!」

「私も、です!先輩に勝つのは難しいですが、それでも諦めません!」

 あぁ、この子達は私に追い着けるようにと、私を目標にして頑張ろうとしてるんだ。私は神倉先輩に追い着きたいって考えて頑張って来た。先輩が目標だった。ひょっとして、これが伝統の継承ってやつなのかなぁ・・・。


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