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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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さぁて、キャンパスツアーの開始だぁ!・・・うーん、何もかも大きいなぁ。高校とは大違いだ!

 まず案内されたのは図書館だった。・・・図書室じゃない・・・“図書館”だった。

「ええー、建物一つが全部図書室なんですかぁ?」

「はい。ここには学生達が勉強するのに必要な専門書が揃えられてます。学科によって異なりますが、勉強に関係する書籍は軽く数千冊にもなります。ですから、学部一つで普通の高校の図書室の数個分が必要だったりするんですよ。更に教養用に一般書籍も揃えるとなると、その数は膨大なものになります。」

「なるほど・・・だから“図書館”になってしまうんですね。」

「そう言うことです。それと・・・ここを見てください。」

 案内役の治田さんが指差した所には、高校の教室なんか足元にも及ばない広大なスペースに大きなテーブルと仕切りのある小さな机が延々と並んでいた。

「ここは僕たちが勉強するためのスペースです。」

「えっ?図書館で勉強してもいいんですか?」

 思わず聞き返してしまった。公立の図書館では居座って勉強することは禁止されてるから。

「大学の図書館ですからね。学生が勉強するために本を置いてある訳ですから、“勉強禁止”なんてことは逆にできませんよ。」

「あっ!言われてみれば・・・。」

「お分かり頂けましたか?・・・他に質問がある人はいますか?僕が答えられる内容であればお答えします。」

 うん?皆さん、遠慮してるのか誰も質問しないぞ・・・ならば私が質問しちゃうぞぉ。

「すみません。あそこにモニターが並んでますが、あれは何のコーナーなんですか?」

「ああ、あそこはPCコーナーです。最近は論文もネット上で公開されているものが多いので、PCを使って検索したり閲覧したりする必要があるんですよ。」

「論文・・・???」

「はい。最新の研究成果が本として出版されるまでには、5年とか10年とか平気で掛かってしまうんです。大学の研究はリアルタイムで行う必要があるものも多いので、論文を読んで勉強する必要があるんです。発表されたての論文が最も新しい研究成果ですから。」

「なるほど・・・高校の勉強とは随分と違うんですね。」

「ええ。僕も大学に入学した時は、あまりにも違うので驚きました。」

 そっかぁ・・・高校では既に確定された事柄を習うのに対して、大学では現在進行形の研究を勉強するんだなぁ・・・当たり前、っちゃぁ当たり前なんだけど、こうして大学に来てみると違いを実感するなぁ・・・。

「他に質問はありますか?・・・なければ次の場所に移動します。」

 私達が次に案内されたのは、レンガ造りの素敵な建物だった。

「ここは僕が通う法学部の校舎です。明治時代に建てられたもので重要文化財に指定されています。まぁ、流石に内部は改装されていますが。」

 おおっ!?明治時代!歴史を感じさせるなぁ・・・うん?あっちにもレンガ造りの建物があるぞ・・・あれ?こっちにも!

「レンガ造りの建物が沢山ありますね。」

「はい。うちの大学が開校したのは1875年・・・明治8年ですが、これらのレンガ造りの建物ができたのは1912年、明治44年のことです。当時は今みたいに多くの学部は無く、政治経済学部、文学部、法学部の3学部だったそうです。・・・それでは、法学部の校舎に入ってみましょう。」

 えっ!?入って良いんだ。中には入れないと思ってたよ。

 さて、実際に入ってみると・・・廊下とか天井はどうやら建設当時のままのようで、現代の建物には無い何とも言えない雰囲気があった。とても素敵だった。治田さんが言ってた通り、部屋は今風に改装されていたが、これは仕方のないことだろう。デジタル化されている現代だ。部屋の中まで明治時代のままでは何かと不便だよね。

 一通り法学部の中を見学した後、今度は打って変わって現代風な建物へとやってきた。

「次はここ、“大学生活協同組合会館”です。」

 うん?大学生活協同組合会館?なんだそれ?私は早速手を挙げて聞いてみた。

「“大学生活協同組合会館”とは何でしょうか?」

 あぁ、そりゃ知らないよねぇ、って顔をして治田さんは答えてくれた。

「大学生活協同組合、学生達は略して“大学生協”って呼ぶけど、これは大学にある生活協同組合だよ。生活協同組合は知ってるかい?」

 はて?聞いたことがあるような無いような・・・。すると、いきなり響子ちゃんが手を挙げた。

「はい!知ってます!組合員の出資によって運営されている組織で、食材や消耗品を安く買えたりするものですよね?」

 治田さんはうんうんと頷いた。

「よく知ってますね。もしかして、保護者の方が組合員なんでしょうか?

 生活協同組合とは、消費生活協同組合法に基づいた組合で、消費者が出資して組合員となり、共同で運営・利用する非営利の協同組織のことです。

 大学生活協同組合は、それの大学版です。学生や教職員などの大学関係者が組合員となって組織され、実際の運営は、組合員から委託された生協の職員さん達がやってくれます。お金があまりない大学生にとって、とても有難い存在なんですよ。」

 へぇー、大学にはそんなものがあるんだ。

「この建物の中には大学生協が運営する数々の店舗が入っています。まぁ、“百聞は一見に如かず”ですから、実際に入ってみましょう。」

 私達は治田さんの後について会館に入った。そして驚いた。建物の中には、本屋、コンビニ、ショップ、不動産屋、旅行代理店、食堂、カフェテリアなど、まるでイオンのようだった。しかも、食堂は二つ、カフェにいたっては三軒も入っていた。

「す、凄いですねぇ。ここに来ればわざわざ大学の外に出なくても大概の事は済ませられますね。」

「ははは、その為の大学生協だからね。後でお昼ご飯を是非ここで食べて、どんな味か試してください。もっとも、値段は非組合員価格なので少し高くなりますが、それでも街中で食べるよりはリーズナブルですよ。」

 あ、学生じゃなくても食べれるんだ。よし、後でまた来よう。

 次は体育施設の見学だ。まずはグランドを見に来たんだけど、高校とは全然レベルが違う。4、5倍の大きさはあるんじゃないかなぁ。高校だと野球部とサッカー部、陸上部が譲り合って練習しているけど、ここではそれぞれが余裕を持って練習している。ここを見たら皆羨ましがるだろうなぁ。

 続いては体育館。これもまた広い!しかも一つじゃなく複数ある!

「体育館を使うクラブも多いですからね。バレーボール、バスケットボール、バドミントン、ハンドボール、体操、新体操・・・いくつあっても足りないくらいですからね。」

 なるほど・・・凄いなぁ、大学って・・・。

 さて、大学構内を隈なく周るのに2時間以上掛かった。

「これで本日のキャンパスツアーを終わります。うちの大学を気に入ってくれたなら、是非受験してくださいね。」

「「「有り難うございました!」」」

 私達は治田さんに対し、何時ものように声を揃えてお礼を言った。

 解散後、私は二人に向き直って問うてみた。

「さぁて、響子ちゃん、紙織ちゃん、お腹は減ってないかい?」

 すると、響子ちゃんはニヤリと笑った。

「ふふふ・・・ドルフィン殿、がっつり系とおしゃれ系、どちらが宜しいかな?」

 その問いに直接答えずに、私は紙織ちゃんに振った。

「紙織ちゃんは?」

「うーん・・・私は折角だからがっつり系がいいかな。どんな味なのか試してみたい。」

 おお!我が意を得たりだよ、紙織ちゃん!

「ふふふ・・・私もだよ。・・・じゃぁ、響子ちゃんは?」

 響子ちゃんに振ると、彼女は偉そうに胸を張って答えた。

「問題ない!では、生協の食堂に行ってみようじゃぁないか。」

 そこは時代劇風じゃないんかい!と、私は心の中で突っ込みを入れたのだった。

 ☆

 こうして私達のオープンキャンパス初体験は終わった。この後、私達は立志館大学、金貴大学、谷竜大学のオーキャンにも参加した。私としては国立大学にも行ってみたかったんだけど、残念ながら時間的余裕が無かった。そもそも8月になってからオーキャンに参加すること自体、行動するのが遅いと言われても仕方がないのだから、四つの大学に行けただけでも良しとしよう。

 さて、実際にオーキャンに参加してみた感想だけど、学生さんの雰囲気、先生方の雰囲気、何よりも大学そのものの雰囲気、それぞれに個性があって、人によって合う合わないがあるんじゃないかと感じた。なるほど、喜田先生の言った通りだ。大学進学を考えるに当たってオーキャンは大いに参考になった。参加して本当に良かった。

 谷竜大学のオーキャン参加を最後に私の、私達の高校2年生の夏は終わった。Nコンに始まって、全総文、4つの大学のオープンキャンパス参加と目まぐるしかったけど充実した夏休みだったなぁ。

 さぁて、明日からは2学期だ!夏休み気分を一掃しなければ。


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