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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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オープンキャンパスに行くぞう!・・・とは言うものの、どうしたらいいんだろう?・・・よし!進路指導部の先生に聞いてみよう!

「うわぁ・・・思った以上に広いなあ」

「活気があって楽しそう!」

 今日は、響子ちゃんと紙織ちゃんと一緒に祖蓮社大学の南山城キャンパスに来た。

 祖蓮社大学は関東でもその名が通用する有名大学だ。学部によって偏差値に違いがあるけど、松田塾基準で平均60ぐらい。私達が合格を狙って受験しても可笑しく無い大学だ。

 ☆

 “オープンキャンパスに行こう”と相談していたあの日、結局私達だけでは結論が出なかったので、翌日改めて登校して進路指導室を訪ねた。進路関係で判らないことがあれば、進路専門の先生に聞くのが早道だからね。

「「「おはようございます。」」」

 ノックしてから私達は元気よく挨拶をして進路指導室の扉を開けた。

「2年生の栗須です。進路についてご相談したいことがあって参りました。」

 部屋には数人の先生が仕事をしていたが、私が“2年生”と名乗ったからか、2年1組担任の喜田先生が対応してくれた。

「はい。何の御用?」

「済みません、お忙しいところ。一つ相談事、宜しいですか?」

「進路関係と言ったわね。なぁに?」

「実は、私達3人、大学のオープンキャンパスに行きたいのですが、どのような視点で大学を選べば良いのか判らなくて。そのことについて相談に来ました。」

「あぁ、そうなのね。それじゃぁ立ち話も何だから、隣の資料閲覧室でお話ししましょう。」

 喜田先生はうんうんと頷きながら隣の部屋を指差した。

「判りました。」

 私達は指示に従って閲覧室に移動した。先生は私達に椅子に座るように言い、自分も腰掛けた。

「さて。3人ともオーキャンには行ったことはあるの?」

「いえ、ありません。」

「そっかぁ。実際に目指している大学はあるのかな?」

「いえ、具体的なことはまだ考えていません。部活の先輩からオーキャンに参加することで行きたい大学や学部が見えてくるのではないかとアドバイスを貰いまして。」

「なるほど。それでオーキャンに行く気になったのね。」

 納得した、って感じで先生は頷いた。

「ただ大学見学に行くんじゃなくて、実際に自分が行きたい大学を探しに行くと言う訳ね・・・。それだったら、皆の偏差値に合った大学を見に行くべきね。ただし、勉強次第で偏差値は変わるだろうし、実際の大学受験では番狂わせが起こることも珍しくないから、少なくても偏差値の異なる2つのグループの大学を見に行けば良いと思うわ。」

「偏差値の異なるグループ・・・ですか?」

「そう。聞いたことがあるでしょう?“播吹祖立”とか、“産金六谷”とか。」

 うん、聞いたことはある・・・けど、良く知らないなぁ・・・。

「はい。聞いたことはあります。だけど、良くは知りません。」

 喜田先生は私の返事を聞くと、またうんうん頷いてから説明してくれた。

「そう、じゃぁ説明するわね。

 この言葉はほぼ同じレベルの大学を一括りにしたものなの。

 “播吹祖立”は、播磨学院大学、吹田法科大学、祖蓮社大学、立志館大学、4つの平均偏差値60の大学をまとめたものね。

 “産金六谷”は、洛中産業大学、金貴大学、六甲大学、谷竜大学、4つの平均偏差値55の大学をまとめたものよ。

 昔から偏差値の高い受験生は、“播吹祖立”を本命、“産金六谷”をその滑り止めにしてきたの。国公立を本命にしている受験生は“播吹祖立”を滑り止めにしてるかな。」

「なるほど・・・それが“偏差値の異なる2つのグループ”と言う訳ですね。」

「そう言うこと。貴女達、この間の松田塾の全国模試の結果はどうだったの?」

「はい。私は60でした。」

 私は響子ちゃんと紙織ちゃんにも答えるように促した。

「はい。私は56でした。」

「私は58でした。」

 私達の答えを聞くと、先生はまたうんうん頷いた。

「3人とも優秀ね。このままサボらずに勉強を続ければ、“播吹祖立”を本命に・・・いえ、国公立も行けるかもね。」

 先生、それは褒め過ぎですよ。・・・あっ!?そう言えば・・・。

「先ほど、先生は“大学受験では番狂わせが起こることも珍しくない”っておっしゃってましたが、あれはどういう意味ですか?」

 私はさっき先生が言ってたことで、気になったことを聞いてみた。

「ああ、昔から“受験は水物”って言葉があるの。“播吹祖立”は落ちたけど“産金六谷”には受かった、ってことなら普通でしょ?でもね、受験って不思議なもので、“産金六谷”は落ちたけど“播吹祖立”には受かった、ってことが結構あるのよ。」

「えっ!?そんなことがあるんですか?」

「それが良くあるのよねぇ。だから結果は受けてみないとどうなるか判らないから、受験では偏差値の異なる2つのグループを受けておくのがセオリーなのよ。」

 うーん・・・大学受験って奥が深いなぁ・・・。

「では、“播吹祖立”と“産金六谷”の中から選べば無難・・・ってことでいいですか?」

「そうね。でも“播吹祖立”“産金六谷”の中からどの大学を選ぶつもり?」

 うっ・・・そう言われても・・・どう選んだらいいんだろう・・・。

「うーん・・・判らないです。どう選べばいいですか?」

「条件から考えればいいのよ。家から通学するのか、それとも下宿するか。それでどの大学を受験するかが変わってくるわ。」

「そうなんですか?」

「ええ、そうよ。だって、毎日片道2時間とか、2時間半掛けて通学するのは大変よ。通学だけで毎日4時間から5時間消耗する訳だから、バイトをやる時間も無くなるし、そもそも勉強にも差し障るわよ。だから、通学に片道1時間半以上かかる大学に行くのであれば、下宿するのを前提に考えなきゃね。・・・あ!共同生活が平気って言うんだったら学生寮に入るって手もあるわね。」

 そっかぁ・・・大学をつい高校と同じように考えてた。高校は地元だから通学に1時間も掛からないけど、大学は必ずしも家の近くにあるわけじゃないもんね。

「なるほど・・・家から通学するか、それとも下宿するかが決まっていれば、自ずと絞れますね。・・・有り難うございました。それで選びます。」

「じゃぁ、他に何か聞きたいことはない?」

「そうですねぇ・・・実際のオープンキャンパスに参加する際に何か気をつけなきゃいけないことってありますか?」

「うーん、そうねぇ・・・実際にオーキャンに行った時に気を付けるポイントかぁ・・・。

 まずは、さっき言ったように片道どれくらいの時間が掛かるかの確認ね。特に最寄り駅からバスを使わなければならない場合は、本数や道の混み具合で思ったより時間が掛かるから。ホームページやパンフレットに書かれているアクセス情報は最短時間が書かれてる場合が多いから気を付けなさい。

 次に、オーキャンではキャンパスツアーをやってると思うから、必ず参加しておきなさい。在校生がキャンパス内のあちこちを案内してくれるから、図書館や研究施設、実験室、実習室なんかも隈なく見学すること。

 設備が整っているかどうかで、勉強できる内容が変わってくるわよ。特に研究施設や実験室を見学する時は、入学した後に設備をどう活用できるかを質問して確認しておきなさい。もし理系に進むなら、研究施設や実験室の有無は学びの内容に直結するからね。

 実習体験があるなら、積極的に参加して、実際に機器や設備を使ってみること。ただ見て話を聞くだけじゃぁ駄目よ。何事も体験してみないと判らないからね。

 図書館に行った時は、蔵書数、館内の明るさ、学習スペースの広さや数を必ず確認しなさい。このことは勉強しやすい環境かどうかを判断する材料になるから。

 ええと・・・他には、っと・・・そうそう、学食やカフェテリアとか、休憩スペースなんかの充実度も観察してきなさい。高校とは違って大学では講義と講義の合間が開いたりするから、意外と利用することになるわよ。それからメニューのチェックも大事よ。充実してないと飽きてしまって利用頻度が下がっちゃうから。

 ええと・・・それから・・・大学で学べることの内容を知りたいなら、模擬授業を受けるのが一番だから、必ず参加しておきなさい。」

 ここで私はさっと手を挙げて質問した。

「先生ぇ、どんな授業に参加すればいいですか?それともどれでもいいとか・・・。」

 私の質問を受けた先生は、少し考えてからゆっくりと答えた。

「模擬授業のタイムスケジュールは公開されているはずだから、それをチェックしてみて、少しでも気になるテーマの授業があれば参加しなさい。ポイントは必ず複数の学科の授業を受けること。比較することで、より自分に合った学びが何かわかるんじゃないかな。予め、どんな順番で授業を回るか、考えておきなさい。」

 なるほど・・・どの学部を選んでいいか判らない私にとっては、一番大事なチェックポイントかもしれないなぁ・・・。

「他に気を付けなきゃいけないポイントはありますか?」

 取り敢えず聞いておかねばならない事は全部聞いとかないと・・・悠長に構えている時間はないからね。

「そうねぇ・・・先生方やオープンキャンパスのスタッフとして参加している在校生の印象なんかも大事ね。そこから入学してなじめそうか、楽しめそうかが判断できるんじゃないかしら。学生と先生の距離が近いか遠いかも測りたいポイントよねぇ。」

 えっ?そんなこと判るもんなのか?

「先生ぇ、学生と先生の距離が近いとか遠いとか、そんなこと判るんですか?」

 喜田先生は小首を傾げると、少し間を置いてから言った。

「貴女達が普段私達教員に対してどう接しているかを基にして考えてみたら判るんじゃないかしら?余所余所しく接してるか、親し気に接しているか。そんなの見てたら判るでしょ?」

 うーん、なるほど。空気感から判断しろ、って訳か・・・確かにこういうことは理屈じゃないもんね・・・。

「判りました。まだ、ありますか?」

「そうねぇ・・・できるだけ多くの場所を見て回れるように、慣れた歩きやすい靴を履いてきなさい。それから・・・キャンパス内の清潔さとか、掲示物の内容も見ておくと良いかも。

 えーと、あと、メモを取ったり学校の資料をもらったりするから、大きめのリュックで行くのがお勧めかな。」

 うん!何となく判った!よし、この後は響子ちゃんと紙織ちゃんと作戦会議だな。

「有り難うございました。お聞きした内容を基に、三人で話し合って参加する大学を決めます。」

「そう。また聞きたいことがあれば何時でも来なさい。進路指導室は、平日なら必ず誰か居るから。」

「はい。判りました。」


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