全総文二日目!いよいよアナウンス部門だ!まずは発声練習をして本番に備えよう!
結局、多治見名物は誰も知らなかった。
仕様がないので、寝る前に響子ちゃんと一緒にネットで調べてみた。すると、多治見市周辺では“ころかけ”と言うものが昔から好んで食されてきたらしいことが判った。
“ころかけ”???初めて聞く名前だなぁ・・・。具体的にどんなものなのかなぁ、と思ってさらに調べてみると、“冷たいつゆをかけて食べるうどん”のことだそうだ。
うどんに冷たいつゆをかける文化は、岐阜県をはじめ愛知県などでも一般的なんだそうだが、
多治見市にある“信濃屋”と言ううどん屋さんがその発祥のお店とされているそうな。前日から仕込んで一晩寝かせ、その後一時間も茹でてようやく出来上がるうどんの麺は、表面はとろりとしながらもコシが残るクセになる食感だそうだ。うどん好きな私としては一度食べてみたいけど、今回はタイトなスケジュールだから無理だろうなぁ・・・。
“ころかけ”以外に名物は無いのかと更に調べてみると、どうやらウナギ料理も名物で、数多くのウナギ屋さんがあるらしい。美濃焼の産地として栄えてきた多治見市では、昔から陶工さん達が窯の炎の熱さで消耗した体力を回復するために、高たんぱく質で消化の良いうなぎが重宝されてきたからだそうだ。・・・うーん、しかし値段がなぁ・・・高校生のお小遣いで食べられるもんでは無いなぁ・・・残念。
ちなみに、私が晩御飯に食べたのは味噌煮込みうどん。響子ちゃんは味噌カツ定食を食べてたけど、私は揚げ物よりもうどんの方が好きなんだよなぁ・・・。でも・・・美味しかったけど、私的にはちょっと味付けが濃かったかなぁ・・・。
☆
八月三日の朝。昨日と同じ時間に集合して多治見に向かった。二回目なので、ホームにもスムーズに辿り着けたし、電車に乗っている時間も短く感じた。
改札前には昨日と同様、案内看板を持った高校生達が立っていて、会場への道案内をしていた。
『全総文、放送部門に参加するみなさん!会場は、あちらです!』
「「「お早うございます!」」」
私達が大きな声で挨拶すると、彼女達は満面の笑みを浮かべながら、
「「「お早うございます!」」」
と、元気一杯の挨拶を返してくれた。
受付をすると、エントリーカードを渡してくれた。こう言うところはNコンと似てるな。私のエントリーナンバーは103番だ。予定表を見るとお昼休みの後だな。声出しの為に二階にある大会議室と練習室が自由に使えるようだ。ここのところ、しっかりと発声してないから、やっておくか・・・。
「すみません。私の出番は昼からなので、二階に行って発声練習をしてきます。」
そのように鷲頭さんと池田さんに断りを入れた。
「私も一緒に行くわ。出番の三十分前に待機席に行けばいいようだから。」
鷲頭さんが間髪入れずに私に同調すると、池田さんも同行の意を表明した。
「えっ?私だけ置いてけ堀?私も当然一緒に行きますよ。」
「あはは・・・じゃぁ三人で行きましょう。」
お二人ともすっかり私に馴染んでくれたようで、なんか嬉しいなぁ。初日の名古屋城観光がやっぱり良かったのかな。
大会議室に行ってみると、すでに多くの先客が大きな声を出していた。
「御船高校と丹鶴高校ではどんなメニューで発声練習してるんですか?」
学校によって違うかも?と思って、まずは二人に聞いてみた。
「うちでは、まず“あ・え・い・う・え・お・あ・お”から始めて、次にお口の体操かなぁ・・・。」
「うちもそのパターンですよ。」
概ね御船も丹鶴もうちと同じなのかぁ。いや、待てよ・・・お口の体操が同じとは限らないのでは?
「お口の体操は、やっぱり“合う、言う、馬、駅、オオカミ”ですか?」
「たぶん、栗須さんの思っているのと同じだと思う。」
「うちも。」
うーん、どうやら同じ様だけど・・・。
「取り敢えず、“あ・え・い・う・え・お・あ・お”をやりましょう!お口の体操については内容が同じかどうか、一度私がやってみますね。」
「うん、それでいい。」
「取り敢えず“あ・え・い・う・え・お・あ・お”をやりましょう。
では、私が音頭を取りますね!はいっ!声を合わせてー!」
「「「あ・え・い・う・え・お・あ・お。
か・け・き・く・け・こ・か・こ。
さ・せ・し・す・せ・そ・さ・そ。
た・て・ち・つ・て・と・た・と。
な・ね・に・ぬ・ね・の・な・の。
は・へ・ひ・ふ・へ・ほ・は・ほ。
ま・め・み・む・め・も・ま・も。
や・え・い・ゆ・え・よ・や・よ。
ら・れ・り・る・れ・ろ・ら・ろ。
わ・え・い・う・え・を・わ・を。
が・げ・ぎ・ぐ・げ・ご・が・ご。
ざ・ぜ・じ・ず・ぜ・ぞ・ざ・ぞ。
だ・で・ぢ・づ・で・ど・だ・ど。
ば・べ・び・ぶ・べ・ぼ・ば・ぼ。
ぱ・ぺ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ・ぱ・ぽ。
きゃ・きぇ・き・きゅ・きぇ・きょ・きゃ・きょ。
しゃ・しぇ・し・しゅ・しぇ・しょ・しゃ・しょ。
ちゃ・ちぇ・ち・ちゅ・ちぇ・ちょ・ちゃ・ちょ。
にゃ・ね・に・にゅ・ね・にょ・にゃ・にょ。
ぎゃ・げ・ぎ・ぎゅ・げ・ぎょ・ぎゃ・ぎょ。
じゃ・じぇ・じ・じゅ・じぇ・じょ・じゃ・じょ。
ひゃ・へ・ひ・ひゅ・ひぇ・ひょ・ひゃ・ひょ。
みゃ・め・み・みゅ・め・みょ・みゃ・みょ。
りゃ・れ・り・りゅ・れ・りょ・りゃ・りょ。
びゃ・べ・び・びゅ・べ・びょ・びゃ・びょ。
ぴゃ・ぺ・ぴ・ぴゅ・ぺ・ぴょ・ぴゃ・ぴょ。」」」
ふぅー。久し振りだから、思うように声が出てないや・・やっぱり発声練習をやって正解だったな・・・。
「すみません。今のは声が十分に出ていませんでした。もう一度やってもいいですか?」
「うん。私もそうだった。もう一度やりましょう。」
鷲頭さんはすぐに同意してくれた。よしっ、やるぞ!
「では、もう一度行きます!声を合わせてー!」
「「「あ・え・い・う・え・お・あ・お。
か・け・き・く・け・こ・か・こ。
さ・せ・し・す・せ・そ・さ・そ。
た・て・ち・つ・て・と・た・と。
な・ね・に・ぬ・ね・の・な・の。
は・へ・ひ・ふ・へ・ほ・は・ほ。
ま・め・み・む・め・も・ま・も。
や・え・い・ゆ・え・よ・や・よ。
ら・れ・り・る・れ・ろ・ら・ろ。
わ・え・い・う・え・を・わ・を。
が・げ・ぎ・ぐ・げ・ご・が・ご。
ざ・ぜ・じ・ず・ぜ・ぞ・ざ・ぞ。
だ・で・ぢ・づ・で・ど・だ・ど。
ば・べ・び・ぶ・べ・ぼ・ば・ぼ。
ぱ・ぺ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ・ぱ・ぽ。
きゃ・きぇ・き・きゅ・きぇ・きょ・きゃ・きょ。
しゃ・しぇ・し・しゅ・しぇ・しょ・しゃ・しょ。
ちゃ・ちぇ・ち・ちゅ・ちぇ・ちょ・ちゃ・ちょ。
にゃ・ね・に・にゅ・ね・にょ・にゃ・にょ。
ぎゃ・げ・ぎ・ぎゅ・げ・ぎょ・ぎゃ・ぎょ。
じゃ・じぇ・じ・じゅ・じぇ・じょ・じゃ・じょ。
ひゃ・へ・ひ・ひゅ・ひぇ・ひょ・ひゃ・ひょ。
みゃ・め・み・みゅ・め・みょ・みゃ・みょ。
りゃ・れ・り・りゅ・れ・りょ・りゃ・りょ。
びゃ・べ・び・びゅ・べ・びょ・びゃ・びょ。
ぴゃ・ぺ・ぴ・ぴゅ・ぺ・ぴょ・ぴゃ・ぴょ。」」」
うん!二回目は声が思うように出た。
「私は声が出るようになってきましたけど、お二人はどうですか?」
「私もエンジンがかかって来たわよ。」
「うん、私も。」
よしよし、良い感じだ。
「では、さっき言いましたように、うちでやってるお口の体操を一度やってみますね。」
「はい、お願いします。」
「では、行きます!
“合う、言う、馬、駅、オオカミ。
赤い色鉛筆で海の絵を大きく書いた。
青い家の上の屋根。
青い海へ行く。
カマキリ、菊、クヌギ、獣、駒。
紅葉の景色。
柿の木のくぼみを転ばないように蹴る。
きれいな菊の花は、この景色に溶け込んでいる。
さくら、島影、硯、世界、ソテツ。
水量の多い清流。
その人の背中の雀を指さす。
清潔な水流でそのさらをそっとすすぐ。
高い、ちくわ、机、手紙、床屋。
地上に高く作られた鉄筋の建物。
友の机の上のちりを畳に手で落とさないように。
近くの床の間の積み木を手で高く積み上げる。
仲間、日本、塗り絵、猫、野原。
仲間のぬくもり。
姉さんは、二枚の封筒の中側にのりを塗る。
庭の向こうの野原のネムノキを抜く。
袴、光、袋、平和、朗らか。
畑の方で、母が一人で笛を吹く。
晴れの昼間は日当たりのいい部屋で本を読む。
冬の寒さがひりひりとほおに指す。
豆、味噌、メモ、ムカデ、森。
見る見るとまめに働く森の村人。
燃える緑の牧場に目を向ける。
真向かいに見えるメダカの模様。
夜景、夜、夕立、良い夕日の山、雪の山の夕暮れ。
落語、リンゴ、瑠璃色、レンゲ、ろうそく。
楽な類語の例文を、隣室で録音練習。
留守の隣人に連絡を取る。
隣国の流浪の民。”
如何でしたか?」
「うん、所々違うところがあるけど。」
「うちは全く同じかなぁ。」
そうか・・・御船高校はちょっと違うんだ・・・。
「御船高校に合わせましょうか?」
「いえ・・・東和さんとこと丹鶴さんとこが同じなんだったら、私がお二人に合わせます。」
「えっ?いいんですか?」
「ええ、ほとんど同じだから、多分大丈夫。」
「では、お言葉に甘えて・・・お口の体操ぉー、行きます!せーのー!」
「「「合う、言う、馬、駅、オオカミ。
赤い色鉛筆で海の絵を大きく書いた。
青い家の上の屋根。
青い海へ行く。
カマキリ、菊、クヌギ、獣、駒。
紅葉の景色。
柿の木のくぼみを転ばないように蹴る。
きれいな菊の花は、この景色に溶け込んでいる。
さくら、島影、硯、世界、ソテツ。
水量の多い清流。
その人の背中の雀を指さす。
清潔な水流でそのさらをそっとすすぐ。
高い、ちくわ、机、手紙、床屋。
地上に高く作られた鉄筋の建物。
友の机の上のちりを畳に手で落とさないように。
近くの床の間の積み木を手で高く積み上げる。
仲間、日本、塗り絵、猫、野原。
仲間のぬくもり。
姉さんは、二枚の封筒の中側にのりを塗る。
庭の向こうの野原のネムノキを抜く。
袴、光、袋、平和、朗らか。
畑の方で、母が一人で笛を吹く。
晴れの昼間は日当たりのいい部屋で本を読む。
冬の寒さがひりひりとほおに指す。
豆、味噌、メモ、ムカデ、森。
見る見るとまめに働く森の村人。
燃える緑の牧場に目を向ける。
真向かいに見えるメダカの模様。
夜景、夜、夕立、良い夕日の山、雪の山の夕暮れ。
落語、リンゴ、瑠璃色、レンゲ、ろうそく。
楽な類語の例文を、隣室で録音練習。
留守の隣人に連絡を取る。
隣国の流浪の民。」」」
凄い!鷲頭さん、全くとちることなくついてきた。
「鷲頭さん、凄いです!」
「え?えへへ、そんなぁ・・・恥ずかしいから褒めないで。」
「では、問題なくできる、と言うことで、もう一度やりましょう!」
「そうね。だいぶ口が動くようになってきたわ。このまま万全の状態に持っていかなきゃね。」
「よしっ!やりましょう!」
こうして一時間ほど発声練習を続けると、何時もの調子で声を出せるようになってきた。
「あっ!そろそろ私は行かなくっちゃぁ。」
池田さんが時計を見て焦り出した。この三人の中では池田さんが一番エントリーナンバーが若いのだ。
「私達のことは気にせずに行ってください。」
「頑張ってね!申し訳ないけど、私達はもう少し発声練習を続けるから。」
「そんな、気にしないで!じゃぁ私は先にホールに戻るね。」
そう言って、池田さんは大会議室を出て行った。
「ようやく調子が出て来たわ。もう少し続けるでしょ?」
「はい!勿論!」
「それじゃぁ、最初からもう一度行くわよ!」
「はい!」




