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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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球技大会は無事終了!次はNコンの準備だ!まずは原稿を作るぞぉ!

挿絵(By みてみん)

 体操服に着替えてグランドに出ると、すでに機材は組みあがっていた。

「なんか、放送室みたいだねぇ。」

「そりゃそうさ。仮設の放送室を作った訳だからね。あっ、アナウンス席はそこだから。」

 鯨山君が指差した所に、卓上スタンドに刺さった有線マイクが置かれていた。

「声を出してみていい?」

「どうぞ。」

 席に座って、マイクのスイッチをONにして、声を出してみた。

「あああ、只今マイクのテスト中。只今マイクのテスト中。テステステス。」

 うん?!何か凄く違和感があるぞ・・・???

「何だか凄くしゃべり難い・・・?

「そりゃあそうさ。ラウドから声が遅れて聞こえるからね。」

「ええっ?!どう言うこと???」

「自分のしゃべった声が、ラウドからワンテンポズレて聞こえてくるんだよ。」

「ええっ!?どうすればいいんだろ?」

 そこへ丁度神倉先輩がやって来た。これは、またしても女神さまにおすがりするしかないっ!

「先輩っ・・・ラウドから自分の声が遅れて聞こえるので、うまくしゃべれません!!」

「あら?そうね・・・初めてだと無理もないか・・・。」

「どうすればいいですか?」

「・・・そうねぇ。手本を見せたげるわね。」

 そう言うと、神倉先輩は私に代わって席に着くと、アナウンスを始めた。

「『只今より、開会式を始めます。まず最初に校長先生からの挨拶です。』」

 うんっ!?先輩は普段通りにしゃべっているぞ???何でっ?

「ええっ、どうして普通にしゃべれるんですか?」

「コツはね、自分のアナウンスに集中して、ラウドの声を意識的に聞かないようにする事よ。」

「ええっ?!そんなことができるんですかぁ?」

「できるわよ。やってごらんなさい。」

 あっさりと肯定されてしまった・・・。先輩と席を交代して、アナウンスしてみた。

「『只今より、開会式を始めます。』」

 ううっ・・・やっぱりしゃべり難い。ラウドから遅れて聞こえてくる自分の声に攪乱されてしまう・・・。

「ふふ・・・練習あるのみよ。ラウドの声を頑張って無視しなさい。」

「はいっ!!」

 その後、何度も繰り返して台本を読んでいるうちに、段々とラウドの声を無視できるようになってきた。

「・・・何となくコツが掴めて来たような気がする・・・。」

「ふふっ。本番の時間が近付いて来たわよ。じゃあ頑張ってね。」

 いつの間にかグランドには生徒達が集まってきていた。ええいっ!!ままよっ!やるしかないっ!!

「『生徒の皆さんは、クラス毎に整列してください。繰り返します。生徒の皆さんは・・・』」

 あれっ?!アナウンスできてるっ?!そうかっ、集中しているから、ラウドの声が聞こえて無いんだ。よしっ、この調子で頑張ろう!!

 ☆

 球技大会は無事終了。何とか最後までとちらずにアナウンスできた!機材操作班も失敗しなかったし、1年生部員の初仕事は大成功だ!

「ドルフィンちゃん、アナウンス上手だったね。」

 紙織ちゃんが褒めてくれた。へへへ・・・。

「私なんか、ラウドから聞こえてくる自分の声に戸惑って、なんか変なアナウンスになっちゃった・・・。」

 響子ちゃんは、次の試合に出るグループの呼び出しを担当していたけど、らしくなかった。そうか・・・ラウドから聞こえてくる自分の声に惑わされちゃったのか。

「私も最初は戸惑っちゃったよ。自分でも変なアナウンスだなぁって思って、始まる前に30分以上練習してたんだ。響子ちゃんも慣れれば大丈夫だよ!」

「へぇー、偉いなぁ。私も見習わなくっちゃぁ。」

「次は、Nコンだね。私はアナウンス原稿を書き上げないと・・・。」

「私は、抽出箇所を何か所かピックアップしたから、これから実際に読んでみて、時間がぴったしのものを選ぶよ。」

「私も。ドルフィンちゃんも頑張ってね。」

「有り難う!じゃぁ、また来週ね!」

 ☆

 土日を使って、アナウンス原稿を書き上げてみた。でも、私は自慢じゃないけど作文にはまるっきり自信が無いのだ。そこで、放課後恒例、女神さまのご意見を賜るため、生徒会室へと詣でるのだった・・・。

「こんにちわぁ。神倉先輩、おられますかぁ?」

「あら?ドルフィンちゃん、何か御用?」

 あぁぁ、何時もながら、なんて素晴らしい笑顔なんですか・・・。いやっ、見惚れている場合では無い!

「先輩っ!土日を使ってアナウンス原稿を書いてみました!添削お願いしますっ!」

 私は恭しく頭を下げ、持参した原稿用紙を両手で捧げつつ、女神さまに手渡した。すると女神さまは、真剣な眼差しで原稿を読んでいたかと思うと、赤ペンを取り出し、凄い勢いで添削を始めた。暫くして、私はまかっかになった原稿用紙を返されたのだった。とほほ・・・まぁ予想はしていたけどね・・・。

「きちんと調査したことが判るし、結果の分析も悪くは無い・・・良い原稿だわ。でもね、なんでこんなに赤塗あかまみれなのか判る?」

 う~ん、元の文章と添削された文章では、一体どこが違うと言うんだろう・・・あっ!?

「先輩が添削してくれた文章では、言葉が凄く判り易くなっていると思います。」

 女神さまはほんの少し頭を傾けて、暫く考えていた。うぅ、その所作もお美しい・・・。

「良い線は行ってるわ・・・でも、少し足りない・・・あのね、貴女の原稿は“書き言葉”ですべて書かれていたのよ。私はそれらを“話し言葉”に替えたのよ。」

「“書き言葉”?“話し言葉”?え、え、え???」

「“書き言葉”とは、文字で読まれることを前提に書かれた文言のことで、“話し言葉”とは、耳で聞くことを前提に書かれた文言のことよ。いい?漢字は素晴らしく良くできた文字なのよ。漢字を見れば、言葉の意味がたちどころに解るの。漢字は表意文字だから。でも、それは“見る”と言う行為があってこそなのよ。例えば・・・そう、“きこう”ってどういう意味?」

「えっ、えっ、お、お天気のことじゃないんですか?暑いとか寒いとか?」

「いいえ、私が今聞いたのは、“原稿を新聞や雑誌にのせるように送ること”よ。」

「えっ、えっ、えーーーっ!」

「じゃあ、“はっそう”はどう?」

「えーと、“思いつくこと”と・・・後、“荷物を送り出すこと”ですか?」

「はいっ、正解!このような言葉を同音異義語って言うのよ。文章を読む場合は、漢字で書いてあれば、どの意味で使われているか一目瞭然よね?でも、耳で聞いただけだと意味が通じない場合もあるのよ。だから、アナウンス原稿は、極力“漢語”・・・漢字のみで書かれた言葉を避けて、聞くだけでも判る言葉を選んで書かなければいけないの。判った?」

「判りました!早速原稿を書き直してきます!」

 なるほど!そう言う配慮が必要なんだ!

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