テレビドキュメントは駄目だったかぁ・・・しかし!アナウンス部門の決勝は、みんなの為にも頑張るぞぉ!
『続いて、ラジオドキュメント部門です。決勝進出は、・・・以上の4校です。』
『なお、優良賞は・・・以上の六校、入選は・・・以上の十校です。残りの準決勝進出校には制作奨励賞が送られます。』
『続いて、創作ラジオ部門です。決勝進出は、・・・以上の4校です。』
『なお、優良賞は・・・の二校です。入選は・・・以上の五校に贈られます。残りの準決勝進出校には制作奨励賞が贈られます。』
『続いて、テレビドキュメント部門です。』
お!?いよいよテレビドキュメントだ。これで、私達の作品がどう評価されたのかが判るんだ・・・楽しみのような、怖いような・・・妙な感覚だなぁ・・・。
『M県、県立飯高高校、「江戸時代の街道。その工夫と努力とは?」』
『N県、県立高倉高校、「視聴率を獲得せよ!校内放送大作戦」』
『H県、県立阿曽高校、「山地縦走。何故やるの?』
『K県、坊ノ岬高校、「触角女子は何故もてる?」。』
『以上の4校が決勝進出です。』
わっ、とあちらこちらで歓声が上がった。
まぁ、当たり前だけど・・・私達の決勝進出はやっぱりなかったかぁ・・・。
「渋川さん!決勝進出、おめでとうございます!」
神志山さんが真帆ちゃんにお祝いの言葉を述べている。
「あ、有り難う!あぁ、これで先輩達に顔向けできる・・・良かった・・・良かった。」
そうか・・・決勝常連校の高倉高校だ。プレッシャーは私達の比では無かったんだよね、真帆ちゃん。貴女はほんとに凄いよ。
「おめでとう、真帆ちゃん!流石だね!」
「有り難う、ドルフィンちゃん・・・ほっとしたよぉ・・・。」
真帆ちゃんが涙ぐんでる。ほんとに良かったね。
「・・・先輩・・・うちの学校の名前は・・・なかったですね・・・。」
神志山さんはがっくりと肩を落としながら絞り出すような声で言った。
「ははははは・・・仕方無いよぉ。初めて創った作品が準決勝まで来れたんだ。上出来だよ。うん、来年こそは決勝進出を目指して頑張ろう!」
私としては、それこそ全国に来れただけでも十分だと思っていたからね。準決勝まで来れたことが、ほんとに出来すぎだったんだよなぁ。
「そうだよ。今回はこれで十分だよ。」
響子ちゃんも紙織ちゃんも悔しいだろうけど、落ち込んではいなかった。そうだ。新しい目標ができた。来年はテレビドキュメントでも決勝に進出してやろう。高倉高校に追い付くんだ!
『なお、優良賞は・・・以上の六校です。また、入選は・・・、N県、県立東和高等学校「書道部の挑戦!行くぞ、“書道パフォーマンス甲子園”へ」・・・』
「えーっ!?」
突然、神志山さんが叫んだので、吃驚してしまった。
「先輩っ!あのっ、あのっ・・・。」
「はいはい、神志山さん、まずは落ち着こうね。」
取り敢えず神志山さんの興奮状態を鎮めないと・・・。
「は、はいっ!済みません!」
「さぁ!一緒に!ゆっくり息を吸って~・・・はい、ゆっくり吐いて~・・・もう一度、ゆっくり息を吸って~・・・はい、ゆっくり吐いて~・・・。どう?落ち着いた?」
私と一緒に深呼吸を繰り返した神志山さんはどうやら落ち着いたようだ。
「はい、落ち着きました~。」
「で、何だったの、さっきの叫び声は?」
はっ!?とした表情に戻って、神志山さんは身を乗り出しながらやや早口で言った。
「せ、先輩!なんで、そんなに落ち着いていられるんですか?!今、私達の学校の名前が“入選”で呼ばれましたよね!?」
えっ!?私達、呼ばれたっけ?絶対そんなことは無いだろうと思っていたから、良く聞いてなかった。思わず振り向いて、真帆ちゃんの顔を見た。すると。
「やったね!ドルフィンちゃん、響子ちゃん、紙織ちゃん、心愛ちゃん、おめでとう!全国のベスト20に入ったんだよ!」
満面の笑みを浮かべて真帆ちゃんがお祝いを述べてくれた。と、言うことは・・・え!?ほんとに私達がベスト20に入ったの?・・・ほんとに!?
「・・・ベスト20・・・かぁ。なんか実感が湧かないなぁ・・・。」
気の抜けた私の言い方に、神倉先輩が激しく反応した。
「何言ってるの!栗須さん!?初めての出場でベスト20まで行けたのよ!これが、これがどんだけ凄いことなのか、判ってるの?」
いやいやいや・・・こんなに興奮している先輩の姿は久し振りに見たよ。
「せ、先輩、落ち着いてください。ちょっと、まだ実感が湧かないってだけですから。」
「そう?それならいいんだけど・・・でも、凄いわね!全国11位ってことなんだから!」
いやいやいや、先輩の全国3位と比べたら大したことないですやん・・・って言葉が喉元まで出かかったけど、それは言わない方がいいよね。午後の結果次第では、私や真帆ちゃんもなれるかもしれないんだし・・・へへっ。真帆ちゃんはともかく、私は有り得ないかぁ・・・。
「私達は決勝を逃した時点で入選だってことは判ってましたけど、テレビドキュメントでも入選できたなんて・・・すっごく嬉しいです!あとは、先輩やドルフィンちゃんの活躍を祈るのみです!」
紙織ちゃんがすっごい良い笑顔で私達を見ながら言った。すると、突然、神倉先輩が響子ちゃんと紙織ちゃんをぎゅっと抱きしめた。
「えっ!?せ、先輩!」
響子ちゃんと紙織ちゃんが顔を真っ赤にして焦っている。
「気を遣わせてしまって、御免なさい。貴女たちの分も頑張るから・・・私達を見守っててね。」
「はい!頑張ってください!そして・・・念願の全国1位を勝ち取ってください!」
『・・・残りの準決勝進出校には制作奨励賞が送られます。』
皆で盛り上がっている内に各部門の賞状伝達が終わってしまった。
『この後、ロビーで優良賞、入選、制作奨励賞の賞状が贈られます。対象となる準決勝進出者と各学校の代表者は、各ブースに行き受け取ってください。』
『以上で、準決勝の結果発表を終わります。』
『なお、決勝進出者と進出校の代表者は、受付を行いますので、この後すぐにロビーにお集まりください。
開会式は10時に開始いたします。観客の皆さんは9時50分までに席へお戻りください。』
「さぁ、行きましょうか。」
神倉先輩が真っ先に立ち上がった。気合が入っているなぁ。
「そうそう!栗須さんと渋川さんに注意しておかなきゃいけないことがあったわ。」
観客席から廊下へと歩きながら、先輩が私達に向かって唐突に言った。
「えっ?何ですか?」
「決勝の課題についてよ。アナウンス部門の決勝課題は少し大変なのよ。」
えっ?先輩が“少し大変だ”って・・・それって私達にとっては“ものすごく大変”なこととなんじゃ・・・。
「な、何が大変なんですか?」
「課題はね、与えられた文章を読むんじゃなくて、これから自分で書かないといけないのよ。」
???自分で書く???どういうこと?
「どう言うことですか?」
「詳しくは、受付でプリントを貰えるから、それを見ながら説明するわね。」
???なんか、ピンとこないなぁ・・・。
そんな感じで首をひねっている間にホールに着いた。決勝進出者はアナウンス部門10名、朗読部門10名、ラジオドキュメント部門4校、テレビドキュメント部門4校、創作ラジオドラマ部門3校、創作テレビドラマ部門3校だ。なので、言うほどごった返す、と言う訳ではない。皆、きちんと並んで待っている。
「次の方、どうぞ。」
「はい。」
まずは神倉先輩だ。
「準決勝のエントリーカードを出してください。」
「はい、お願いします。」
「“東和高校、神倉千穂”さんですね。」
「はい。」
「では、決勝のエントリーカードと決勝課題、それと原稿用紙です。頑張ってください。」
「はい、有り難うございます。」
「では、次の方、どうぞ。」
私は、真帆ちゃんの背中に両掌を添えて前に押し出した。真帆ちゃんは私の顔を見て一瞬戸惑った様子を見せたけど、特に何も言わずに一歩前へ出た。
「準決勝のエントリーカードを出してください。」
「はい、お願いします。」
「“高倉高校、渋川真帆”さんですね。」
「はい。」
「では、決勝のエントリーカードと決勝課題、それと原稿用紙です。頑張ってください。」
「有り難うございます。」
「では、次の方、どうぞ。」
いよいよ私の番だ。
「準決勝のエントリーカードを出してください。」
「はい、お願いします。」
「“東和高校、栗須入鹿”さんですね。」
「はい。」
「では、決勝のエントリーカードと決勝課題、それと原稿用紙です。頑張ってください。」
「有り難うございます。」
ようやく実感が湧いてきた。決勝まで辿り着いたんだなぁ・・・。




