書道部が全国大会子に進出だぁ!幸先いいぞ!さぁ、私達もNコンの予選突破を目指すぞお!
明けましておめでとうございます。
新年最初の投稿となります。
読者の皆様!今年もうちの娘たちの活躍を、なにとぞ見守ってください。
よろしくお願いします!
「こんにちは。放送部の皆さんはおられますか?」
Nコン県予選を明後日に控えた金曜日の放課後、私は読みの出来具合をチェックするため、一年生を一人ずつ読ませているところだった。そこへ大曾根さんを始め、書道部の面々が物理室へ訪問してきたのだ。
「はい、どうぞ・・・ああ、大曾根さん、書道部の皆さんも。今日はどうなさったんですか?」
「はい。栗須さん達にお礼を言いに来ました。」
「お礼・・・ですか?そりゃまたどうして?」
「はい。実は、先ほどまで書道パフォーマンス甲子園の公式YouTubeチャンネルを皆で見てたんです。今日、予選の結果がYouTubeの生中継で発表される予定でしたので。」
「えっ!?結果が判ったんですか?」
思わず私は大曾根さんの方に身を乗り出して聞いてしまった。
「は、はい。それで、結果なんですが・・・。栗須さん!有り難うございました。貴女達のお陰で予選突破できました!」
・・・えっ!?思考が追いつかないぞ・・・大曾根さん、今、予選突破って言ったっけ・・・。
「今・・・予選、突破、って言いました?」
「はい!予選突破です!」
う、じんわりと実感が湧いて来た。涙が滲んできたぞ。大曾根さんの顔が歪んで見える。
「う、う・・・大曾根さーん・・・お、おめでとうございますっ!」
私は泣きながら、大曾根さんに抱きついていた。
「有り難うございます!有り難うございます!・・・そんなに喜んでもらえるなんて・・・私達も嬉しくて、本当なのか皆で何度も何度も確認しました!・・・でもこれも放送部が素敵なビデオを作ってくれたからです。有り難うございました!」
「何言ってるの!私達はお手伝いしただけ。書道部の皆が頑張ったからだよぉ・・・おめでとう!」
私があんまりにも泣くもんだから、うちの一年生も書道部の皆さんも泣き始めてしまった・・・ごめんね、涙脆くて。
一通り皆でおんおん泣いた後、書道部の皆さんはクラブハウスに戻って行った。私もすっきりした。これで後顧の憂いなくNコンに専念できる・・・って、大変!原稿の手直しをしなきゃ!
「よーし、幸先良いぞぉ。私達も書道部に続くぞぉ!」
「「「おーーーっ!!」」」
☆
日曜朝8時、私達は馴染みとなった社会福祉センターの前に集合した。
「おはよう!皆!」
「「「おはようございます!」」」
私の挨拶に一年生四人が元気に返事してくれた。そう、今日はNコン県予選の日だ。
「あら?もう揃っているのね。」
そこへ神倉先輩も到着した。
「おはようございます!先輩!」
「「「おはようございます!」」」
今度は、一年生だけじゃなく、二年生も声を合わせた。
「おはよう。皆張り切ってようね。」
「はい!この日の為にずっと頑張ってきましたから!」
「ふふ・・・皆の発表を楽しみにしているわよ。・・・あ、西町先生も到着なされたようね。」
西町先生が駅の改札口を出て来たのが見えた。先生は特徴的なので遠目に見てもすぐに判る。
「おはようございます。先生!」
「「「おはようございます!」」」
「おはよう。皆揃っているか?」
「はい!今日出場する者は全員集合してます!」
「では、アナウンスと朗読の原稿を。提出してくるから。」
「はい!ここに全員分あります!・・・あ!すみません!神倉先輩の原稿は持ってませんでした!」
1年生と2年生は、昨日物理室に集まって原稿を準備したんだよね。神倉先輩だけ生徒会の執務で忙しかったからその場に居なかったんだ。
「はい、これが私の原稿よ。これで全員分揃ったのね?」
「はい!揃いました!有り難うございます!先生、お渡しします!」
「うん。確かに。では受付に行ってくる。」
そう言って先生だけ先にセンターに入って行った。
「それじゃぁ、私達も中に入って声出しをしようか。」
「「「はい!」」」
私達の掛け合いを見て、神倉先輩がふふっと笑った。
「え?何でしょうか、先輩。何か変でしたか?」
「ああ、いえ、御免なさい。何も変なことは無いわ。ただ、栗須さんもすっかり部長職が板に付いたな、と思って。」
「ええっ?!先輩、私は部長じゃありませんよ?」
「知ってるわ。でも、三年生の役にも立っていない部長よりも、余程部長らしいと思うわよ。」
「あぁ、そうか・・・そう言えばドルフィンちゃん、まだ部長じゃなかったねぇ。」
響子ちゃんが忘れてたと言わんばかりに呟いた。
「ええっ?!栗須先輩、部長じゃなかったんですか?!」
「てっきり栗須先輩が部長だと思ってました!」
「ええっ?!じゃぁ、うちの部長って誰???」
一年生が一様に驚いている。そりゃそうか・・・一年生が入ってきた時から自然と私が部を仕切ってたからなぁ・・・。でも、誰かが仕切らないと部活は動かないし・・・。
「部長は三年生の上狛さんだよ。知らないと思うけど。何せ皆が入ってから一度も顔を出して無いし。」
「去年から部長がやるべき事務仕事はドルフィンちゃんが全部やってくれてたもんね。」
紙織ちゃんの言葉を聞いて、神倉先輩がため息をついた。
「御免ね。私が部長をやればよかったんだけど・・・。」
「何言ってんですか!先輩は生徒会長ですよ。忙しい先輩には甘えてられませんよ。部の事は私達でもできることなんですから。」
「そうですよ。私達もフォローしてますから。」
うん。そうなんだよね。響子ちゃんと紙織ちゃんが居たから私も部長代行をやって来れたんだよ。有り難う、二人とも。
「さぁさぁ、皆!そんなことよりも声出しの方が大事だよぉ。」
「そうそう。ちゃんと声が出るように整えないと。」
「よし!行こう!」
☆
声出しを終えて大ホールに入ると、私に向かってぶんぶんと手を振る子がいた。真帆ちゃんだ。
「きゃー、ドルフィンちゃーん!真帆だよー!」
うむ。実に真帆ちゃんらしい。私も返事代わりに手を振った。
「おはよう、真帆ちゃん。元気そうで何よりだよぉ。今日はお互い頑張ろうね!」
「うん!ドルフィンちゃん相手でも容赦しないよ!私、全力で行くから!」
「あははは、その意気、その意気。今日は神倉先輩がいるから、優秀賞の枠は実質的に二人分しかないからね。私と真帆ちゃんで取っちゃおうね。」
すると、真帆ちゃんはすっと真顔に戻って、私の眼をじっと見ながら声を潜めて言った。
「ドルフィンちゃんが、そんな大言壮語するなんて思わなかったよ・・・自信あるの?」
「あるよ!だって、私の目標は全国で上位に行くことだからね。県予選レベルで優秀賞を取れなきゃ、とてもじゃないけど目標を達成できないよ。」
すると、真帆ちゃんは目を見開いてこちらを見たかと思うと、ぶんぶんと顔を縦に振った。
「うん、うん!その通りだね!よーし、優秀賞を貰っちゃおう!」
「おーっ!」
うん?私達がハイタッチしている様を見ているうちの一年生の顔が何となく青白いけど・・・。
「先輩!そちらの方は?」
新鹿さんが尋ねてきた。
「あぁ、こちらは高倉高校の渋川真帆さん。番組制作ですっごくお世話になっているの。私のお友達だよぉ。」
「先輩。その方も先輩レベルのアナウンスをされるんですか?」
「そうだよ。私のライバルでもあるんだ。すっごく上手いんだからぁ。」
新鹿さんと神志山さんが一瞬顔を見合わせた後、二人そろって真帆ちゃんに向き直って丁寧なお辞儀をした。
「初めまして!私、東和高校一年の新鹿です。よろしくお願いします。」
「初めまして!私は、同じく一年の神志山です。よろしくお願いします。」
いきなり丁寧な挨拶を受けて、真帆ちゃんは戸惑っているようだった。
「あ、はいっ、こちらこそよろしく・・・。」
その様子を見て、思わず笑いが込上げて来た。
「あはははは。真帆ちゃん、うちの一年に気圧されてるようじゃぁ駄目だよぉ。あはははは。」
「うん、もう!笑わないでよう!」
「あはははは。御免、御免。」
お腹の底から笑えたお陰で、何となく感じていた緊張感がすっかり無くなったな。いい発表が出来そうだ。




