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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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二人とも練習あるのみ!繰り返し練習することが上手くなる唯一の方法だよ!皆で決勝進出を目指して頑張ろう!

「“大人気のシェフ山本のどら焼きは、どうしたら手に入るのか。

 皆さんは、東和市内で人気のケーキ屋、シェフ山本をご存じでしょうか?

 大変おいしいケーキを作るお店なので、東和高校の生徒の間でも、よく話題に上ります。

 しかし、東和生が問題だと感じているは、この店の人気商品である、洋菓子風どら焼きが手に入らないことです。

 どの生徒に聞いても、何時も売り切れていて食べたことが無い、と言う人ばかりです。一体、どうすれば手に入るのでしょうか。

 実際にお店のパテシエ、山本さんに、何故何時も売り切れなのか、その理由を聞いてみました。

 山本さんによれば、毎日作ってはいるが、人気商品なので午後1時には売り切れてしまっている、とのことでした。

 私達高校生は、夕方にならないと買いに行けないので、夕方まで買えるように、もっと増産できないか、と聞いてみました。

 残念ながら、山本さんのお答えは、無理だ、と言うものでした。その理由は、ご夫婦で経営している小さな店なので、一日で作れるお菓子の総数は三百個が限界で、今以上どら焼きの生産数を増やすのは無理だから、とのことでした。

 どうしても手に入れたい人は、休みの日の朝、開店時間の三十分くらい前から並ぶしか方法はなさそうですね。”

 ・・・どうだった?」

「えーと・・・えっ?!一分二十八秒、です!」

「うん、こんなもんだね。・・・私と新鹿さんのアナウンスはどこが違うか、判った?」

 新鹿さんと神志山さんは、しばらく考えてたけど、やがて神志山さんの方が先に手を挙げた。

「いいですか?」

「はい、どうぞ。」

「先輩の方が、全体的にゆっくり読んでました。それから、文章を要所要所で結構区切って読んでいたように思います。」

「はい!正解!新鹿さんは判った?」

「はい・・・確かに私が区切らなかった箇所を先輩はまるで句読点があるかのように区切ってました。」

「その通り!いい?文章に書かれている通りに読むだけじゃぁ、アナウンスも朗読も駄目なんだよ。聞いている人が文章の意味をちゃんと判るように、また解釈に間違いが起こらないように読まないといけないんだ。そのために、文章には句読点が書かれていない箇所でも必要だと感じたところは半テンポなり、ワンテンポなり間を開けて読まないといけないよ。そうすることで聞いているだけでも意味がちゃんと判るから。

 それから、読む速度は四〇〇字あたり一分掛けて読むこと。これが標準的な読む速度だから。普段の会話する速度と比べて、かなりゆっくりなんだけど、他人に聞いてもらうのには丁度いい早さだから。テレビのニュースでアナウンサーが原稿を読む速度がこれだからね。」

 新鹿さんも神志山さんも真剣な眼差しでこちらを見ながら、うんうんと頷いている。

「判りました。もう一度読んでいいですか?」

「うん。その前に原稿を読んで、どこをどれくらいの間を開けて読めばいいか、よーく考えてみて。・・・神志山さんも。自分の原稿に赤ペンで書き込みを入れたらいいから。提出用にもう一回原稿を写さなきゃいけなくなるけど、必要なことだからね。」

「はい!」

「判りました。」

 二人は原稿に赤ペンを一心不乱に入れ出した。・・・うーん・・・どう言うふうに書き込んでいるのか、これもチェックすべきだな・・・。

「出来たら見せてね。適切かどうか、チェックするから。」

「「はい!」」

 しばらくして、二人は原稿への書き込みを完了した。流石、新鹿さんと神志山さんだ。やっぱり頭がいいんだな。私の指摘を的確に把握しているよ。赤ペンでの書き込みに関しては、二人とも訂正する必要は無いようだ。

「うん。問題無いよ。はい、返すね。じゃぁ、今度は神志山さん、読んでみようか。」

「はい!」

「それじゃぁ時間も測るからね。・・・はい、何時でもいいよ。」

 そう言いながら、私はストップウォッチを構えた。

「はい!行きます・・・

 “落ちこぼれた生徒を一人でも多く救いたい。そう語るのは、個別指導の塾を経営している柳本茂さんです。

 柳本さんは、十年間有名進学塾の講師をしていました。しかし、塾の授業について行くことができない生徒が、次々に辞めていく姿に疑問を感じ、五年前に独立しました。

 彼が作ったのは、進学を目的とはしない、もっぱら小中学校の授業内容の復習や、定期考査対策を行う塾でした。

 塾の方針は、決して見捨てない、と言うこと。どんな子も時間を掛けて教えれば理解できる、と言う信念のもと、柳本さんは何時も根気強く、子供たちに向き合ってくれます。

 子供たちがつまづいているところは様々です。柳本さんは、子供たち一人一人を分析して、それぞれに合わせた方針を考えてから指導しています。

 受験の為の画一的な授業をすればよい進学塾と比べると、柳本さんの塾は、準備も指導も大変です。

 しかし、学校の勉強についていけるようになった子供たちの姿を見ると、そんなことは苦にならないそうです。

 柳本さんは、子供たちのために、今日も熱い授業を行います。”

 ・・・どうでしたか?先輩!」

 私はストップウオッチに示された時間を見た。

「時間は・・・“一分二十五秒”・・・うん。理想的な時間だね。お見事!」

「あ、有り難うございます!」

「読む速度も良かったし、随所随所に入った間も良かったよ。後は、何度読んでも同じ時間になるように反復練習だね。慣れてくると、どうしても読む速度が速くなってくから。」

「はい!判りました!」

「それじゃぁ、新鹿さん、もう一度読んでみようか。」

「はい!お願いします!」

 私がストップウォッチを構えると、新鹿さんは間を計って読み始めた。

「“大人気のシェフ山本のどら焼きは、どうしたら手に入るのか。

 皆さんは、東和市内で人気のケーキ屋、シェフ山本をご存じでしょうか?

 大変おいしいケーキを作るお店なので、東和高校の生徒の間でも、よく話題に上ります。

 しかし、東和生が問題だと感じているは、この店の人気商品である、洋菓子風どら焼きが手に入らないことです。

 どの生徒に聞いても、何時も売り切れていて食べたことが無い、と言う人ばかりです。一体、どうすれば手に入るのでしょうか。

 実際にお店のパテシエ、山本さんに、何故何時も売り切れなのか、その理由を聞いてみました。

 山本さんによれば、毎日作ってはいるが、人気商品なので午後1時には売り切れてしまっている、とのことでした。

 私達高校生は、夕方にならないと買いに行けないので、夕方まで買えるように、もっと増産できないか、と聞いてみました。

 残念ながら、山本さんのお答えは、無理だ、と言うものでした。その理由は、ご夫婦で経営している小さな店なので、一日で作れるお菓子の総数は三百個が限界で、今以上どら焼きの生産数を増やすのは無理だから、とのことでした。

 どうしても手に入れたい人は、休みの日の朝、開店時間の三十分くらい前から並ぶしか方法はなさそうですね。”

 ・・・先輩、どうでしたか?」

 私はストップウオッチに示された時間を見た。

「時間は・・・“一分二十七秒”・・・うん。今度はOKだ。間の取り方もしっかりできてたし。」

「あ、有り難うございます!」

「注意すべき点は、時間をオーバーしないようにすること。Nコンでは時間オーバーは失格になるから、絶対に一分三十秒を越えないようにね。今のは結構時間ギリギリだったから、ゆっくり読み過ぎると、時間をオーバーしてしまうよ。」

「判りました。気を付けます。」

「じゃぁ、新鹿さんも反復練習して、常に同じ時間で読み終えることができるようになってね。・・・後は、自作原稿の練習以外にも・・・そうだなぁ・・・新聞記事なんかがいいかなぁ・・・もし家で新聞を取っていないんだったら、ネット上のニュースでもいいよ。二人とも四百字程度の文章を読む練習もしといてね。こっちの練習では、毎回違う文章を読むように努めてね。」

「うん???先輩、それは何の為ですか?」

 新鹿さんが?だらけの顔で聞いてきた。そりゃそうだよね。疑問に思うのも無理ないか・・・。

「Nコンの決勝戦では、自作原稿の他に課題原稿も読まないといけないんだよ。課題原稿は決勝戦進出者の発表と共に配られるから、どんな課題が出るのかは、それまで判らないんだ。だから、初見の文章でもちゃんと読めるように練習を積んどく必要があるんだよ。私は去年のコンテストでは課題原稿のことを知らなくて、本番でテンパってしまって酷い発表になっちゃたんだ。二人には私の轍を踏んで欲しくないから・・・。」

「えっ!?先輩でもテンパったんですか?」

 新鹿さんが、意外だ、って顔をしている。やれやれ、私を何だと思ってるんだろう・・・。

「だって、私もNコン参加は初めてだったし、課題原稿が出るなんて知らなかったんだもん。そもそも決勝戦に出られるなんて、思ってもみなかったし・・・。」

 すると神志山さんが、ぎょっとした顔をしながら聞いてきた。

「先輩・・・今のお話だと、ひょっとして、初めてのコンテストで決勝に進出したんですか?!」

 あぁ、そうか。当たり前の話じゃないもんね。それでぎょっとしてたのかぁ・・・。

「実はそうなんだ。自分でも信じられなかったけどね・・・。」

「凄い!先輩!凄すぎます!」

 むむっ・・・二人がキラキラとした目で私を見てくるよぉ・・・なんか恥ずかしいな。

「い、いやぁ、結局全国には行けなかったし、大したことないよぉ。」

「一年生で決勝進出できるってだけで、十分凄いです!」

「凄い先輩に指導してもらって、私、とっても光栄です!」

 うーん、なんか二人の中で私の評価が爆上がっているみたいだ・・・神倉先輩に比べれば、私なんか本当に大した事ないんだけどなぁ・・・。

「と、取り敢えず、皆で決勝進出を目指して頑張ろう!」

「「おーーーーっ!」」

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