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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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アナウンスにするか、朗読にするか。さて、一年生の選択は如何に?!・・・そう言えば三年生はどうするんだろう?

「さて、皆さん。これでテレビドキュメント部門への参加は目途が立ちました。そこで、今度はアナウンス部門と朗読部門の参加者の確認です。決まり次第、西町先生に参加申し込みをして貰いましょう。因みに、二年生は私がアナウンス、響子ちゃんと紙織ちゃんは朗読です。一年生はどうしますか?」

 はい!と、新鹿さんが手を挙げた。

「先輩は、私達がアナウンスと朗読、どちらに向いていると思いますか?」

 うん?私が決めるのか?それは違うよね。

「それは、私には判んないよ。向いてる、向いてないじゃなくて、自分はどちらの方がやり甲斐があるか・・・言い方を変えれば、やって楽しいか、なんだよ。それは個人個人の気持ちだから、他人には判んないよ。」

 すると、響子ちゃんが私の後を継いでしゃべりだした。

「私なんかは、最初原稿を書くのが嫌で朗読を選んだんだけど、やってるうちに“よし!こいつを極めてやろう!”って気に段々なってきて、今では朗読をやるのがとっても楽しいの。性別も年齢も違う登場人物の台詞を、どういう風に演じ分けるか、とか、この部分の文章はどんな雰囲気で読むのが正解なのか、とか、ただ読むんじゃなくて、綿密に読み方を組み立ててから読むのよ。それに、自分の解釈は審査員からはどう評価されるのかを聞くのも楽しみなんだ。どう?朗読って面白そうでしょう?」

 うん、流石は響子ちゃん。朗読の面白さを上手く表現している。新鹿さん達もうんうんと頷いている。響子ちゃんの説明に納得してるんだろうな・・・。

「じゃぁ、栗須先輩、アナウンスの面白さって何ですか?」

 えっ?!いきなり振られてしまった・・・うーん、アナウンスの面白さ、かぁ・・・。

「うーん・・・アナウンスは情報を伝えることを楽しむ、ってことでいいのかなぁ?自分が興味あることについて調べたり取材したりして、更にそれをどう表現すれば皆に伝わるのかを考えて原稿を書くんだ。その過程は、確かに大変そうに見えるんだけど、実はやってみると楽しいんだよ。他人からの伝聞や、自分の勝手な思い込みじゃ無くて、自分の眼と耳で確認した内容を正確に皆に伝える・・・これってマスメディアの基本中の基本だと思うんだけど・・・。」

 そこまで言って、自分ではたと気が付いた。そう、これこそが私がアナウンスを面白いと思っている理由なんじゃないのか!

「そう!アナウンスの面白さは、自分自身がマスメディアになれることだよ!そう、そう・・・そうなんだ!」

 うんうんと自分で納得して頷く私を見て、響子ちゃんも紙織ちゃんもちょっと引いてるようだけど、一年生達は感動しているようだ。

「判りました、先輩!返事は明日まで待って貰えますか?私達一人一人自分で考えてきます。皆、それでいい?」

 新鹿さんの呼びかけに、あとの三人も異論は無いようだった。

「それじゃぁ、返事は明日と言うことで。・・・響子ちゃん、紙織ちゃん、私これから生徒会室に行ってくるね。」

「うん?あぁ、先輩達がどうするか聞きに行くのね?」

「そう。三年生も参加する人がいるはずだから、神倉先輩に取りまとめて貰おうと思って。」

「そう言えば、神倉先輩と久しく会ってないわねぇ。私も行こうかなぁ・・・。」

 紙織ちゃんが、ちらりとこちらを見た。そんな遠慮がちに言わずに、堂々と“一緒に行く”って言えばいいのに・・・。まぁ、生徒会室には気軽に入れないって気持ちは判るけどね。

「じゃぁ、一緒に行く?」

「え?二人で行くの?私は?」

 今度は響子ちゃんが焦ったように反応した。

「もう!最初から二人とも一緒に行くって素直に言えばいいのに・・・はい、はい、三人で行きましょうね。」

「おう!」

「じゃぁ私達は生徒会室に行ってくるから。」

「「「はい!行ってらっしゃい!」」」

 ☆

 私も生徒会室は久し振りだ。ちょっと緊張しながら扉をノックした。

「はい、どうぞ。」

 中からすぐに入室の許可が返って来た。

「失礼します。」

 中に入ってみると、そこには神倉先輩を始めとした生徒会役員が揃っていた。私は去年からこのような状況には慣れていたけど、響子ちゃんと紙織ちゃんは初めてだったからか少したじろいでた。

「あ・・・今お邪魔してもよろしかった、でしょうか?」

「ええ、特に重要な会議を、って訳じゃないから大丈夫よ。」

「そうですか。有り難うございます。」

「それで、ご用は何かしら?」

「はい、Nコンの申し込みについてです。私達二年生と新入部員である一年生は申し込みの準備が整いました。そこで、三年生の方々の参加の有無を神倉先輩にまとめて頂こうかと思いまして。」

「そう・・・もうNコンの申し込みなのね・・・時間が経つのは速いわね。判りました。三年生の状況は早急にまとめて・・・えーと、栗須さんに報告すれば良いのかしら?」

「はい。私が全学年分をまとめて、西町先生に渡します。」

「御免なさいね。すっかり栗須さんに部長役をさせてしまって・・・。」

「いえ、とんでもない。別に負担でも何でもないんで、大丈夫です。私は部活しかしてませんから。」

「こうなると、貴女が生徒会役員になることを断ってくれて逆に良かったわ。ほんと、三年生の部員達は役に立たないんだから。」

「ははは・・・断った時は胸が痛んだんですが、そう言って貰えると救われます。」

「有り難う。貴女は得難い後輩だわ。・・・では、明日の放課後には報告します。少し待たせることになるけど、御免ね。」

「いいえ。お忙しいのに、勝手言ってすみません。よろしくお願いします。では、私達はこれで失礼します。」

「ええ、またね。」

 お辞儀をして、ドアを閉めた途端、緊張が解けたのか漸く二人がしゃべりだした。

「あー、緊張したぁ。」

 響子ちゃんが肩を揉みながら言った。

「まさか生徒会役員の皆さんがお揃いだとはねぇ・・・。」

 紙織ちゃんはそう言いながら、両手の指を交互に挟んだ状態でうーんと腕を頭上に伸ばした。

「いやいや、生徒会室なんだから、当然でしょう。」

 私はちょっと呆れ気味に答えた。

「ドルフィンちゃん、よく緊張もせずに、あんなにペラペラと普通にしゃべれるね?」

「いや、一応は緊張してるんだよ。ただ、去年に比べると全然マシだなぁ・・・。」

「去年?」

「うん。去年の今頃、Nコンの原稿のことで、しょっちゅう生徒会室に行ってたの。」

「「え?!何で?」」

 二人同時に聞き返された。まぁ、そりゃそうか。

「神倉先輩は、去年副会長だったでしょ?去年は私も未だ左も右も判らない状態だったから、原稿のことで先輩に相談しに生徒会室に行ってたの。それでね、二人には言ってなかったけど、去年の原稿に使ったアンケート、実は宇久井会長と書記の井鹿先輩に手伝ってもらったんだ。」

「「えぇーーー!?」」

 うん、予想通りのリアクション、有り難うございます。

「あのアンケート、ドルフィンちゃんが集めたものじゃ無かったの?!」

「どうやったら、そんな大胆なことができるのよ!?」

「別に私から頼み込んだ訳じゃないよ。神倉先輩に相談してたら、宇久井先輩が協力を申し出てくれて、で、実務的なことは井鹿先輩がやってくれたってことで。」

「何で断らなかったの?!」

「逆に断れるような雰囲気じゃなかたんだって!まるでそれが当たり前のように話が進んでいくんだもん!入学して間もない一年生にどうしろって言うのよ!」

「あ・・・うん・・・なんか御免・・・。」

「確かに・・・三年生で、しかも生徒会長に言われたら、ねぇ・・・。」

 私の剣幕に二人ともたじろいでしまったようだ。

「それじゃぁ、神倉先輩の返事待ち、ってことで。今日はこれで解散ね。」

「そうね。Nコン、どの本にするか、そろそろ決めなきゃいけないし。」

 響子ちゃんがちょっと焦ったように言った。

「ふふっ・・・私は決めたわよ。」

 むむっ!紙織ちゃんはもう決めたのか。早い!

「私も原稿を書かなきゃなぁ・・・。」

「ドルフィンちゃんは何書くかはもう決めたの?」

 紙織ちゃんが小首を傾げながら聞いてきた。

「うん。折角だから、書道パフォーマンスについて書こうかなって思ってる。」

「なるほど。テレビドキュメントの為にすっごく取材したもんね。」

「そう。折角だからアナウンスにも使おうと思って。」

 突然、響子ちゃんが手を振り上げて叫んだ。

「よーし!目指すぞ!全国大会!」

「「おーーーーーっ!!」」

 思わず紙織ちゃんも私も、響子ちゃんに合わせて叫んでしまった・・・は、恥ずかしい~。

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