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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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動画はできた・・・けど、より良いものにするために試写会兼検討会だ!おろっ?!編集中は気付かなかったことがどんどん出てくるぞ!

 あれから一週間。この間、私達は編集作業に追われていた。

 一番の難敵は、冒頭の書道パフォーマンスの説明部分だった。皆の意見がぶつかってコンテがなかなか完成せず、ここだけで三日もかかってしまった。

 その後も、フィルムのどこを切り取るかを決めるのに時間が掛かってしまったけど、それさえクリアしてしまえば、後は順調だった。

「じゃじゃーん!動画が出来上がりましたぁ!」

 皆から歓声と拍手が起こった。私はにやけた顔のまま、無言で“まぁまぁ”と言うように両手を上下にゆっくりと振ってそれを制した。

「ふふふ・・・それでは皆で視聴しよう!視聴後、改良すべき点があったら、遠慮なく言ってくれたまえ。」

「「「了解!」」」

 そんな訳で、一年生も交えて私達は完成したばかりの番組を視聴することにした。

 初めのテストパターンが終わると、モンタージュされたパフォーマンスの様子が映し出された。

『皆さんは、“書道パフォーマンス”、と言うものをご存じですか?』

 私が吹き込んだナレーションが流れる。

『“書道パフォーマンス”とは、複数人でチームを組み、音楽に合わせて演技を取り入れながら巨大な紙に書道をする演技のことです。』

 ここで書道部の皆が懸命に揮毫する姿が映し出される。

『元々は、愛媛県立三島高等学校書道部が、地元、四国中央市の活性化のために始めた活動でした。書道部員が音楽にあわせて大きな紙に歌詞を揮毫する“書のデモンストレーション”が、市内のショッピングモールなどで披露されていました。』

 うーん。やはり三島高校の画が無いとしっくりこないな・・・。

『当時、日本テレビ系列の南海放送が、ドキュメンタリー番組を制作するために三島高校書道部に密着取材をしていたところ、番組のディレクターが書道パフォーマンスの魅力に気付き、大会の開催を四国中央市に提案したことで、書道パフォーマンスの全国大会、“書道パフォーマンス甲子園”が始まりました。』

 やっぱり、ナレーションと合った画が欲しいなぁ・・・。そもそも、皆、四国中央市が何処にあるのか知ってるのかな?・・・しまった・・・地図を入れるべきだったか・・・地図ならフリー素材がいっぱいあるから、日本全域、四国全域、愛媛県、と地図を3カット連続させて、ここ!って矢印で強調したらどうかなぁ?・・・うん、後で提案してみよう!

『第1回大会では、まだ知名度が無かったため参加校は三校のみと言う寂しいものでした。しかし、この大会の様子がテレビで全国放送されると高い視聴率を記録しました。それを受けて、日本テレビが三島高校書道部をモデルにした“書道ガールズ!! わたしたちの甲子園”という映画を製作し公開した結果、書道パフォーマンスは多くの人々に周知されることになりました。映画が公開されてから大会への参加校が一気に増加しました。因みに、昨年度の予選に参加した学校は全国九七校でした。』

 やっぱり画が欲しいけど、テレビ局は著作権管理が厳しいからなぁ・・・使ってもいいけど使用料を払ってください、って言われたら詰むしなぁ・・・。何かいい方法はないかなぁ・・・。

『さて、私達の学校、東和高校の書道部も昨年度から“書道パフォーマンス甲子園”に応募を始めました。切っ掛けは、現在書道部の部長を務めている大曾根亜衣さんが、顧問の先生に対して大会への参加をお願いしたことでした。』

 ここで、大曾根さんへのインタビューが入る。

『どうして大会に参加したいと申し出られたのですか?』

『はい。私は中学生の頃、書道パフォーマンスの番組をテレビで見て感動したんです。高校生になったら私も書道パフォーマンスをやりたい、そして、大会に参加したいと思っていました。高校に入学して書道部に入り、すぐに顧問の三野瀬先生に参加をお願いしたんです。』

『それで参加はできたんですね?』

『はい。最初は戸惑われましたね。先生は書道パフォーマンスの事をご存じなかったようです。ビデオを見てもらって、それで許可が下りたんです。』

『初めて参加してみて、いかがでしたか?』

『はい!ドキドキしました。参加できるんだ、って凄く嬉しかったのを覚えています。でも、明らかに準備不足でした。自分でも情けないくらい出来は悪かったと思います。ですから、予選敗退の報を待たずに次の年に向けて練習を始めました。』

『他の部員さん達の反応は如何でしたか?』

『最初は皆戸惑っていたと思います。でも、録画した全国大会の様子や、映画を見てもらったら、皆俄然やる気が出て、積極的に練習してくれました。本当に得難い友に恵まれたと思います。』

 ここからは大曾根さん以外の書道部員へのインタビューだ。

『書道パフォーマンスに参加しようと誘われた時はどう思われましたか?』

『はい。書道パフォーマンスって何?って言うのが正直な気持ちでした。でも、ビデオを見て私もやってみたい、って思いました。誘われてラッキーだったと思います。』

『私は大曾根さんと中学校以来の付き合いなので、誘われて断る理由は無かったんですが、実際にパフォーマンスをやってみて、あぁ、やってよかった、って正直思います。』

『参加している部員さん達にとってもパフォーマンスはやって良かったと思えるものだったようです。』

 以後、今年度の大会への準備の様子が順に映し出される。まずは、参加者全員で今年度の作品に書く言葉を皆で相談し合って決めているシーンだ。

『繰り返し行われた話し合いの結果、今年度の言葉は“故郷”に決定しました。』

 次にメインの言葉に添える文章をどうするかが話し合われているシーン。

『やがて“故郷”と言う言葉を説明するには、チープな言葉を並べるよりも、弾正山にまつわる和歌を書く方が、私達の“故郷”をより的確に表現できると言う意見が出ました。この意見に皆が賛同し、有名な和歌二首を書くことが決まりました。』

 うーん・・・ここで和歌の静止画を入れても良かったかなぁ・・・検討課題だな。

『まずは個別の練習です。何も見ずに、そして何度書いても決められた大きさで書けるように繰り返し練習します。普段は机の上で揮毫していますが、パフォーマンスでは床に置いた半紙に揮毫しなければなりません。普段とは勝手が違うので、思い通りに書けるまで練習を繰り返しました。』

 書道部の皆さんが個人個人、自分の受け持ち部分の練習を繰り返している様子をカメラが追っている。

『半月後、ようやく納得がいく揮毫ができるようになったので、いよいよ全員が参加しての全体練習です。』

『舞台での動き方、書き始めるタイミングなど、皆で息を合わせなければならない事項は数多くあります。その様子はまるでダンス部の練習のようです。』

『一週間後、ようやく納得できるパフォーマンスになりました。いよいよ本番です。』

『“書道パフォーマンス甲子園”の予選はビデオ審査です。全国を七つのブロックに分けて審査が行われ、各ブロックから選ばれた合計二十二校が四国中央市で行われる本選に進みます。』

 うーん・・・この“七つのブロック”も字幕で表示した方が判り易そうだ。動きが無いと寂しいから、スクロールさせたらどうかなぁ?これも提案事項だな。

『今年は、書道部の顧問の先生から依頼されて、放送部が予選用のビデオを撮影し、編集も行うことになりました。さぁ、始まります!』

 パフォーマンスの全てを使う訳にはいかないから、ここはダイジェストだ。うん!テンポ良く出来てる。これは合格かな。

『予選の結果は六月中旬に発表される予定です。』

 最後に大曾根さんのインタビューが入る。

『昨年度とは比べ物にならないほど完成度が上がりました。予選を突破できるかどうかは判りませんが、現段階での自分達のベストは尽くせました。』

『これからもパフォーマンスを続けられますか?』

『もちろんです!今年駄目でも、まだ来年がありますから。』

 最後に大曾根さんのアップに学校名のクレジットを被せて番組は終了。

「さぁ、皆、見てみてどうだった?私自身も色々思うところが出てきたから、もし重複する意見が出なければ後で言わせてもらうね。」

 はい!と響子ちゃんが手を挙げた。

「頑張ったんだけど・・・やっぱり最初の書道パフォーマンスの説明部分、なんか物足りないんだよねぇ・・・。」

 私は聞きながら、響子ちゃんの意見をホワイトボードに書き付けた。

「他には?」

 はい!と新鹿さんが手を挙げた。

「はい、新鹿さん。」

「はい。えーと、全国を七つのブロックに分けている、と言う所なんですが、どういう風に七つに分けられているんでしょうか?具体的に挙げた方が良いかなぁ、って思いました。」

 新鹿さんの意見も、響子ちゃんの時と同様にホワイトボードに書き付けた。

 はい!と波田須さんが手を挙げた。

「なんて言う和歌を書いたんでしょうか?このビデオを見ているだけだと、判んなくて。」

 えーと、なんて言う和歌を書いたのか、判らない、と・・・。

「はい!」

「はい、神志山さん。」

「映画のポスターとかを出すのは難しいのでしょうか?やはり、具体的な画が無いとなんか物足りない気がします。」

 えーと、映画のポスターなど、具体的な画が無いと、物足りない、と。

「さぁ、他にもあるかな?」

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