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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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52/119

次々と見学者がやってくる。みんな入部してくれると嬉しいな。そうすれば、今年も放送部は安泰だ!

「あのー・・・見学、よろしいですか?」

 新鹿さんとお話していると、新たな見学者がやって来た。

「あっ!はいっ!勿論ですよ。」

「どうぞ、どうぞ。お入りを。」

 私達の返事を聞いて、物理室におずおずと入って来たのは三人の新入生だった。

「おっ!三人連れかぁ。お友達どうしかな?」

 響子ちゃんの質問に対して、お互いの顔を見合してから、最初に声を掛けて来た女の子が代表して答えた。

「いえ、三人とも放送部の活動を見学するためにこの教室に来たんです。一緒になったのは偶然です。」

「そうなんだぁ。私は、放送部二年生、栗須入鹿!よろしくね!」

「同じく二年、三輪崎響子!よろしく!」

「同じく二年生、鵜殿紙織です。よろしくね。」

 こちらが先に名前を名乗ったので、三人とも慌てて名前を教えてくれた。

「私は、一年三組の波田須はだす真凛まりんです。よろしくお願いします。」

「私は、一年四組の二木島にぎしま杏那あんなです。よろしくお願いします。」

「私は、一年七組の神志山こうしやま心愛ここあです。よろしくお願いします。」

「では、お三人さん、放送部の何を見学したいの?」

 響子ちゃんがド直球で聞いた。

「えっと・・・具体的に毎日どのような練習をしているのかな・・・と。」

「私も・・・私の場合は、自分が付いていける練習なのかな・・・って思って。部活動紹介の時の栗須先輩があまりにもお上手だったので・・・日頃どんなハードな練習をされているのかなって思って。」

「私も同じです。自分が付いていける練習なのかどうかを見たかったんです。」

 ふむ。三人とも具体的な練習を見て入部するかどうかを考えよう・・・ってとこかな?

「それじゃぁ、日頃のルーチンを見せてあげるね。それぞれ、何故やるのかって言う理由があるんだけど、その説明はひとまず置いといて、取り敢えずどんな練習なのかを見てみてね。私達も最初からアナウンスが上手かった訳じゃぁないの。この一年間、毎日欠かさず練習を続けて来た結果、上達したんだよ。」

 そう言いながら、私は新鹿さんも含めた一年生四人にプリントを手渡した。

「このプリントに書かれてある言葉を順に発声するのが日課になります。よかったら、一緒に声を出してみてね。」

「それじゃぁ、発声練習、いきますよぉ!」

 響子ちゃんが音頭を取ってくれた。よしっ、いくぞ!

「はいっ!声を合わせてー!」

「「「あ・え・い・う・え・お・あ・お。

 か・け・き・く・け・こ・か・こ。

 さ・せ・し・す・せ・そ・さ・そ。

 た・て・ち・つ・て・と・た・と。

 な・ね・に・ぬ・ね・の・な・の。

 は・へ・ひ・ふ・へ・ほ・は・ほ。

 ま・め・み・む・め・も・ま・も。

 や・え・い・ゆ・え・よ・や・よ。

 ら・れ・り・る・れ・ろ・ら・ろ。

 わ・え・い・う・え・を・わ・を。

 が・げ・ぎ・ぐ・げ・ご・が・ご。

 ざ・ぜ・じ・ず・ぜ・ぞ・ざ・ぞ。

 だ・で・ぢ・づ・で・ど・だ・ど。

 ば・べ・び・ぶ・べ・ぼ・ば・ぼ。

 ぱ・ぺ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ・ぱ・ぽ。

 きゃ・きぇ・き・きゅ・きぇ・きょ・きゃ・きょ。

 しゃ・しぇ・し・しゅ・しぇ・しょ・しゃ・しょ。

 ちゃ・ちぇ・ち・ちゅ・ちぇ・ちょ・ちゃ・ちょ。

 にゃ・ね・に・にゅ・ね・にょ・にゃ・にょ。

 ぎゃ・げ・ぎ・ぎゅ・げ・ぎょ・ぎゃ・ぎょ。

 じゃ・じぇ・じ・じゅ・じぇ・じょ・じゃ・じょ。

 ひゃ・へ・ひ・ひゅ・ひぇ・ひょ・ひゃ・ひょ。

 みゃ・め・み・みゅ・め・みょ・みゃ・みょ。

 りゃ・れ・り・りゅ・れ・りょ・りゃ・りょ。

 びゃ・べ・び・びゅ・べ・びょ・びゃ・びょ。

 ぴゃ・ぺ・ぴ・ぴゅ・ぺ・ぴょ・ぴゃ・ぴょ。」」」

「はいっ!お口の体操はまだまだ続くよぉ!せーのー、はいっ!」

「「「合う、言う、馬、駅、オオカミ。

 赤い色鉛筆で海の絵を大きく書いた。

 青い家の上の屋根。

 青い海へ行く。」」」

「「「カマキリ、菊、クヌギ、獣、駒。

 紅葉の景色。

 柿の木のくぼみを転ばないように蹴る。

 きれいな菊の花は、この景色に溶け込んでいる。」」」

「「「さくら、島影、硯、世界、ソテツ。

 水量の多い清流。

 その人の背中の雀を指さす。

 清潔な水流でそのさらをそっとすすぐ。」」」

「「「高い、ちくわ、机、手紙、床屋。

 地上に高く作られた鉄筋の建物。

 友の机の上のちりを畳に手で落とさないように。

 近くの床の間の積み木を手で高く積み上げる。」」」

「「「仲間、日本、塗り絵、猫、野原。

 仲間のぬくもり。

 姉さんは、二枚の封筒の中側にのりを塗る。

 庭の向こうの野原のネムノキを抜く。」」」

「「「袴、光、袋、平和、朗らか。

 畑の方で、母が一人で笛を吹く。

 晴れの昼間は日当たりのいい部屋で本を読む。

 冬の寒さがひりひりとほおに指す。」」」

「「「豆、味噌、メモ、ムカデ、森。

 見る見るとまめに働く森の村人。

 燃える緑の牧場に目を向ける。

 真向かいに見えるメダカの模様。」」」

「「「夜景、夜、夕立、良い夕日の山、雪の山の夕暮れ。」」」

「「「落語、リンゴ、瑠璃色、レンゲ、ろうそく。

 楽な類語の例文を、隣室で録音練習。

 留守の隣人に連絡を取る。

 隣国の流浪の民。」」」

「よーし、ここで一区切りだね。どう?付いてこれた?」

 いきなりフルコースをやると、初心者だと喉が持たない。一旦休憩して、新入生の様子を窺うことにした。

「うっ・・・ごほごほ・・・声が涸れました・・・。」

「ごほごほ・・・先輩方は凄いです・・・こんなに大きな声で、しかも喉も涸れなくて・・・。」

「当たり前だよぉ。私達は一年間毎日欠かさず、これをやり続けてきたんだよ。運動部の練習と同じ。最初は出来なくても、続けていく内にできるようになっていくんだよ。ただし、正しいやり方でやらないと上達しないけどね。」

「私達も初めの頃は喉が涸れたよねぇ。」

「そうそう。でも正しいやり方を教えて貰って、毎日練習を続けてたら、何時の間にか喉が涸れなくなったんだよね。」

「先輩!正しいやり方って、どうやるんですか?」

 新鹿さんがすかさず聞いてきた。

「まず、大きな声を出し続けるためには、喉で声を出してたんじゃぁ駄目なの。・・・これから二回“あ”を発声してみるから、聞き比べてみてね。」

 そう言って、私はまず喉だけで“あーーー”と言ってみせた。続いて、お腹から“あーーー”と言う声を出してみせた。

「えーと・・・最初は声があまり響いてなかったんですが、二つ目は凄く声が響いて聞こえました。」

 小首を傾げながら、新鹿さんはそう答えた。

「うん!いい答えだね。一回目の“あ”は、喉だけで発声したもの。二回目の“あ”は、お腹から出した声なんだよ。」

「お腹から?」

「うん。腹式呼吸を利用して声を出してるんだよ。じゃぁ、私についてやってみて。まず、息は鼻から吸って口から出しまーす。

 まずは短く、“ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ”・・・はいっ!皆、やってみて!」

「「「“ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ”。」」」

「はいっ!では次、鼻から目いっぱい息を限界まで吸ってぇ・・・から、ゆっくりと“ふーーーーーーーーぅぅぅぅぅ・・・・・・”って、吐き切ってぇ。」

「「「ふーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぅぅぅぅぅぅ・・・”。」」」

「はいっ!では、同じ要領で声を出しまーす!息を吸ってぇー・・・ゆっくりと吐き出しながら、“あーーー”って発声します。」

「「「“あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・”。」」」

「どうだった?」

「えっと・・・喉が痛くありませんでした!」

「声も、何時もより大きかったように思います!」

 うん!この一年生達は呑み込みが早い!

「この要領で発声練習をするんだよ。そうすれば喉を傷めないし、声も大きくなるんだ。すぐにできなくても、毎日腹式呼吸のトレーニングを続ければ、基本的な発声方法が身につくし、一息で話せる量が増えていくんだよ。」

「凄いですっ、先輩!」

 新鹿さんだけじゃなく、他の一年生達も息荒く私に向かって身を乗り出してきた。

「せ、先輩!私、放送部に入部しますっ!!」

「あっ!私も!私も入部します!」

「私もです!是非、入部させてください!」

 おっ、おう。一気に四人も入ってくれるんだぁ。

「みんな入ってくれるんだぁ。嬉しいよ。それじゃぁ、これ・・・。」

 私は四人に入部届を手渡した。

「この入部届に必要事項を記入して提出してね。保護者のサインも必要だから、親御さんに説明して許可を貰ってね。」

「「「判りました!」」」

 こうして、放送部に新しい仲間が入ってきた。

 ちなみに、後で聞いたところ、鯨山君達メカ班の方にも新入生達が見学に来てやはり四人程入部してくれたらしい。やったね!これで学校行事運営の方も安泰だ。

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