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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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さぁ、講評と結果発表だ!果たして、審査員の先生と私の考えに相違はあるのか!?

『お待たせしました。審査が終わりましたので、各部門の審査員長から講評して頂いた後、表彰に移りたいと思います。まずは、アナウンス部門です。』

 今回も大事な所はメモしないと・・・準備、準備ぃ。ああっ、始まってしまうぅ・・・。

『アナウンス部門審査員代表の相賀です。アナウンス部門の講評を行います。ポイントに分けて、今回の課題を挙げていきます。

 まずは、原稿についてです。まず、これは総文祭の時にも言いましたが、一文目で、主題が伝えられるように工夫しましょう。』

 あぁ、確かに言っておられたなぁ。私は神倉先輩の指導のお陰で一文目にタイトルを書く癖がついているけど、確かに今回も半数ほどの人が内容を把握できないままアナウンスが進んでしまっていたなぁ。

『次に、作文の問題ですが、接続詞を多用しない方が良いです。』

 これについても、私は神倉先輩に随分と指導されてきたなぁ。最近はあまり言われなくなったけど・・・。聞き手は、聞くだけで内容を理解しなければならないから、文章が長々と続いていくと、途中で何の話なのか判らなくなる・・・だから、短い文章で的確に説明しなさい、って。

『インタビューの割合が長すぎるものがありました。だらだらとインタビューの内容を書き連ねるのではなく、内容を改変することなく的確に内容を抜き出して使って欲しいと思います。』

 先輩からは“インタビューの紹介じゃないんだから。アナウンス原稿はせいぜい四、五百字程度しか書けないんだから、一字一句無駄にしないように!”ってよく言われたなぁ。正に先輩の言う通りだ。

『取材が十分でないと感じられるものがありました。明らかに一人にしか取材していないものもあり、それではインタビュー内容の客観性が担保できません。取材は、客観性を得られるよう深く行ってください。』

 なるほど・・・客観性の担保かぁ・・・心しよう!

『次に、時間についてです。読み急いでいる感があるものがありました。一分三〇秒と言う短い時間の中に、どのように伝えたい内容を盛り込んでいくかを、原稿作成の段階で十分に考えませしょう。』

 うん・・・先輩が言う“一字一句無駄にしない”につながる内容だな。

『次に、読みについてです。声が出ていない人がいました。地声の強化、発声の訓練をしていますか?日頃の練習が大切です。』

 これに関しては自信がある。この一年間、神倉先輩に随分としごかれたお陰で、先生方並みの声が出るようになった!“ドルフィンちゃん、もう少し小さな声でしゃべって”とも言われるようになったけど・・・。とほほ・・・。

『文中のうねり、しゃくりあげ、助詞の伸びなどが気になりました。日頃の校内放送で、これらの点がきちんとできているか、確認しましょう!』

 これも私達は大丈夫!この一年間で、そんな下手な読みはしなくなった。

『文末が下がりきっていないので、文頭が上がらない。しっかりと文末を下げてください!また、間のとり方が一定過ぎます。ブツブツと切りながら読んでいる人もいましたね。切れば良いと言う訳ではありません!内容をしっかりと把握して、意味の区切れを考えて読みなさい。』

 ふっふっふ・・・これも、また私達は大丈夫!それにしても、今回の講評を聞いていると、神倉先輩の指導が如何に完璧かが良く判るなぁ・・・。

『文末の“~ました。”と言う部分が早口になった人がいましたが、一文は同じテンポで読んでください。また、課題原稿の読み間違いが多かったのも残念です。Nコンを意識するなら、初見の文章にも慣れておく練習が必要です。』

 うん・・・去年のNコンの時に思い知って以来、十分な鍛錬を積んできた。“失敗は成功の母”とはよく言ったものだ。・・・この一年で、私達は随分と上達できたんだなぁ・・・今回の講評では、新たに意識すべき点、改善すべき点は無かった。まぁ、私達には神倉先輩がいると言うのも大きかったんだろうけど・・・。逆に、四月になって、新入生が入部してきた時に、先輩と同じように指導してあげなきゃいけないんだなぁ・・・できるかなぁ・・・いや!できなきゃいけないんだ!うん!頑張るぞぉ!

『有り難うございました。では、続いて朗読部門です。』

『朗読部門審査員の瀬原です。朗読部門の講評を行います。審査をしていて、特に気になったのは、審査員席までどれだけ声が届くかと言うことでした。放送の大会ではマイクを通しますが、やはり生の声がどれだけ出せるかが重要です。それで表現の幅が変わるからです。毎日の発声練習を怠らず、しっかりとした声を出せるようになりましょう。』

 表現は違うけど、これはアナウンスの講評で言われていた内容と同じだな。やはり、基本中の基本は発声かぁ。

『発声練習で声を出せるようになったら、標準語の特性であるアクセント、イントネーション、鼻濁音、無声化に注意して読みましょう。特に、朗読の皆さんは、表現を重視するあまり、一文の中にうねりが見られることが多いです。』

 ふっふっふぅ・・・その点に関しては、我々はすでに攻略済みなのだよ。やはり、神倉先輩は偉大だなぁ。

『小説での地の文では、その場面の状況を聞き手に正確に理解してもらわねばなりません。聞き手が落ち着いて場面を思い浮かべられるような読みを心掛けましょう。』

 ここはアナウンスと違うところだよねぇ・・・。朗読特有のポイントだな。

『次に、表現は文章に書かれてあることと矛盾してはいけません。朗読では、キャラクターになりきるようなオーバーな表現を必ずしもしなくてもいいんです。“演技する”と“朗読する”の違いは、演者の解釈が声に乗るか乗らないかだと思います。

 最近、短い台詞において、本文の流れと相反するニュアンスを感じることがありますが、これはおそらくアニメなどで皆さんが聞いていて、無意識に“この台詞はこう表現するものだ”と音で記憶していることが原因かと思います。』

 うん。そうそう。朗読部門の発表を聴いていて、なんか違和感がある、気色悪いなぁって感じるときって、大概アニメっぽい台詞回しのときなんだよねぇ。きちんと小説の内容を理解して語っているんじゃなくて、好きな声優さんの物まねになってしまっているんだなぁ。

 『朗読の難しさは。どこを読むかを自分で決めなければならないことにあると思います。作品を精読し、その魅力を表現できる、さらに聞き手にも共有してもらい易い場所を切り取ることが大事です。例えば、終わりの位置に接続詞があったら、その先には未だ続きがあるだろうと誰もが思うでしょう。そう言うところで切ると、聞き手には上手く伝わりません。』

 響子ちゃんと紙織ちゃんがいつも言ってるなぁ・・・。“どこを切り取るか、それを決めるのが難しい”って・・・。やっぱり朗読は、私には向いていないなぁ・・・。

『有り難うございました。最後はショートムービー部門の講評です。』

『ショートムービー部門審査員の百目鬼です。ショートムービー部門に参加した皆さん、コンテストが終わった今、どのような感想をお持ちでしょうか?一分間と言う制限時間を、文字通り“制限”だと感じて、“大したことができなかった”“あそこをこうしたかったのに”と言う風に思っている人が多かったかもしれませんね。しかし、そんな“制限”などものともせずに見ごたえのある作品を見せてくれたことを嬉しく思います。全ての作品の講評をこの場で述べる時間はありませんので、皆さんも印象に残っているであろう二つの学校の作品について述べたいと思います。その他の学校に関しては、審査員の講評用紙をそれぞれの学校にお渡しするので、今後の活動の参考にしてください。』

 うーん・・・流石に全部の講評は無理かぁ。全部聞きたかったけどなぁ・・・。残念だ。

『まずは、高倉高校の“名産品を食べよう!”についてです。一分間を使って伝えたいメッセージをよくまとめていました。しっかりと取材ができていること、的確に場面転換を用いていること、グラフなどを効果的に用いていることなど、審査員からも非常に高い評価があがっていました。ドキュメント番組として、見本のような素晴らしい作品に仕上がっていました。』

 うんうん。私達の評価と同じだ。優秀賞は高倉高校で決まりのようだな。やはり、私たちの目指すべき目標は真帆ちゃんとこだな。

 『次に、猪垣高校の“彼の運命は?”です。この短い時間でサスペンスドラマを作ると言う挑戦的な取り組みでした。多くのカットの組み合わせでドラマを展開し、最後に見ているものをぞっとさせる仕掛けは見事でした。視聴していた審査員や生徒諸君からも、ラストシーンで“うわっ!”とか、“うーん”とか声があがったことを記憶しています。それだけ見る者の眼と心を惹きつけることができたのは見事でした。緻密な脚本、的確な場面転換など、大変な努力の跡が感じられました。』

 うんうん。これも私達の評価と同じだ。優れた番組は、誰が見ても文句無しに出来が良いと言うことなんだろうなぁ。

『以上で講評を終わります。続いて、各部門の表彰の発表です。

 まずは、アナウンサー部門です。優秀賞は、御船高校2年鷲頭浅茅さん、東和高校1年栗須入鹿さん、高倉高校1年渋川真帆さん、優良賞は、丹鶴高校2年池田阿須賀さん、猪垣高校2年高森香菜さん、丹鶴高校1年九鬼真司さん、奨励賞は、越路高校2年西向亜衣さん、猪垣高校2年市野咲花さん、御船高校1年川関雅也さん、以上の皆さんです。

 続いて、朗読部門の結果を発表します。優秀賞は、東和高校1年鵜殿紙織さん、高倉高校2年浜野宮優華さん、東和高校1年三輪崎響子さん、優良賞は、丹鶴高校1年鏡野月渚さん、御船高校2年二河玲佳さん、高倉高校2年荒船絢さん、奨励賞は、越路高校1年浦神耕太郎さん、猪垣高校2年橋杭海愛さん、丹鶴高校1年珊瑚美那さん、以上の皆さんです。

 最後にショートムービー部門です。優秀賞は、高倉高校“名産品を食べよう!”、猪垣高校“彼の運命は?”、優良賞は、丹鶴高校“冬来たらば春遠からじ”、以上です。

 それでは表彰を行いますので、只今名前の挙がった生徒さんは壇上に登ってください。ショートムービー部門は各校の代表者が登壇してください。』

 ☆

「やったね!遂に・・・遂に4人とも優秀賞だよぉ!」

「おめでとう!紙織ちゃん!真帆ちゃん!」

「有り難う!ドルフィンちゃん、響子ちゃん。」

 表彰式の後、私達は大はしゃぎだった。Nコンの時は、まだまだ初心者だった私達が賞を取るのは当然無理だったとして、総文祭では私と響子ちゃんだけが優秀賞だった。当時は凄く申し訳ない想いだったけど、今回は素直に喜び合えて嬉しくて仕方がない。

「ショートムービーは、やっぱり真帆ちゃんとこが優秀賞かぁ・・・高校生の間に追いつけるのかなぁ・・・。」

「“追い着くとか、勝ち負けとか考えるな。良い番組を作ろうと努力しろ。”」

 真帆ちゃんが、ぼそっと呟いた。

「えっ?それは?」

「桑畑先生がいつも言ってること。良い作品を作ろうと努力していれば、結果は後から勝手についてくる、って。」

「なるほど・・・深い・・・。」

 響子ちゃんが腕を組んでうんうん頷きながらそう言った。

「そうか・・・勝ち負けじゃないんだね。作品を作りたいから作る。良い作品を目指す。結果は勝手についてくる・・・かぁ・・・。有り難う、真帆ちゃん。目から鱗が落ちたみたいだよ。」

「あはは。私が言ってるんじゃないよ。先生の言葉だよ。」

「でも、真帆ちゃん達はそれを実践できてるんだよね・・・やっぱり凄いなぁ・・・。次のNコンでは、私達もそれを実践できるよう頑張るよ!」

「うん!楽しみにしてるね!」

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