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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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最後の作業!BGMとナレーションを入れまーす!・・・やったぁ!これで完成だ!

 真帆ちゃんがノリノリで説明を始めた。

「そ・こ・で、じゃーん!著作権フリー音源の登場でーす。フリー音源って言うのは、作者が著作権を主張せず使用許可している音源のことでーす。」

「著作権を主張しない・・・そんなことがあるの?」

「それが、あるんですよね。“自分の著作物を広く一般の人に利用してもらい、自分の考えや思いが広がってほしい”とか、“気軽に楽しんでほしい”と言った理由から著作権を放棄する場合があるの。」

 その時、桑畑先生が話に割り込んできた。

「ただし、注意しなさい。著作権フリーといえども、全ての著作権を放棄していない場合もあるんだ。だから、必ず利用規約を確認しなければならない。そうだな・・・よくあるのは、“利用する際には出典を記載すること”と言う条件が付けられているものが多いかな。」

 すると、今度は真帆ちゃんが割り込んできた。

「利用規約の確認は、必ずしなさいっていつも注意されてるよ。結構ね、細かい利用制限があるんだよ。えーとね・・・えーと・・・。」

「“すべて放棄”、“営利目的は不可”、“改変可能、ただし報告必須”、“改変不可”、“出典明記義務”、“利用可能、ただし報告必須”、“二次配布禁止”など、色々なパターンがあるからな。」

 そう言いながら、口頭だと判り難いと考えたのか、桑畑先生はホワイトボードに利用制限を箇条書きしてくれた。やはりちょっと難しいことになると、先生の方がすっと答えてくれるな。紙織ちゃんと響子ちゃんは必死にノートに写している。メモ取りは二人に任せておこう。

「あ、有り難うございます!先生!・・・つ、つまり、フリーだからって何でも有りって訳じゃないってことだから。ドルフィンちゃんも注意してね!」

「うん、よく判ったよ。それで、著作権フリー音源ってどうやって手に入れるの?」

 肝心なことを未だ聞いていなかったことを思い出して、私は真帆ちゃんに聞いてみた。

「おっと、そうでした。手に入れる方法は三つありまーす。一つはCDを購入すること。著作権フリーと明記されているCDは、定価の中にすでに著作権使用料が含まれているので、いちいち著作権処理をしなくていいし、使用料も支払わなくてもいいんですよ。

 二つ目は、インターネットで手に入れること。ネット上には著作権フリーの音源サイトがいっぱいあるから。例えば、YouTubeが公式サービスとして提供している“オーディオライブラリー”なんかが有名だよ。

 三つ目は、元々著作権の無い音楽を自分で演奏したり、パソコンのソフトで音源化して使用すること。著作権の無い音楽って言うのは、例えば、ハッピーバースデーの歌とかABCの歌なんかの“パブリックドメイン”の音楽だったり、すでに著作権が消滅しているクラッシック音楽のことだよ。 こういう曲については誰も所有権を主張できないから、使用料の支払いや法的な影響を気にする必要がないんだ。ただし、自分以外の誰かが演奏している音源だと著作隣接権が発生する場合があるから注意すること!」

「へえー、いろんな手段があるんだね。」

「今日のところは、うちの部活が保存しているフリー音楽から入れてみようよ。」

「ええ、お願い。」

「では、BGMの入れ方を教えるね。まず“タイムライン”ツールバーで、“オートミュージック”ボタン をクリックしてみて。」

「はいっ、クリックしました。」

「じゃぁ次に、オプションパネルに表示されるオートミュージックエリアで、ドロップリストの中から使いたいBGMを選択してみて。」

「えーと、どう選択したらいいの?」

「曲を一つ一つ再生して、自分が最適だと思った曲を選ぶのよ。」

 取り敢えず順番に聞いてみるか・・・。

「途中で曲調が変わるものは無いから、最初の十数秒を聞いてみればいいと思うよ。」

 私は、“選択したミュージックを再生”と言うコマンドをクリックして、順々に曲を再生してみた。曲にはそれぞれタイトルが付けられているけど、なるほど、と思った。曲の雰囲気を的確に表現したタイトルばかりだったからだ。例えば、“朝の散歩”と言う曲は、朝の爽やかな空気を感じられるものだったし、“南国情緒”と言う曲は、なんとなく聞いたことがあるような南国調のものだった。

「うーん・・・この“地域の話題”って言う曲が、タイトル通り合っているように思うな。」

「じゃぁ、その曲にしようか。“タイムラインに追加”をクリックしたら、選択した曲がタイムラインに入るよ。」

「・・・うん!入った!」

「曲の頭を、BGMが始まる場所に合わせるためにドラッグして。」

「えーと・・・今回はBGMを番組冒頭から入れたいから、そこに合わせるね。」

「ようし!次に、曲の方が番組よりも長いからトリムしようね。終点ハンドルをドラッグすればトリムすることができるから。」

「・・・はい!できました!」

「ようし!では、最後に曲をフェードアウトさせようか。番組の終わりと同時に曲が、ぶつっと切れるのは不格好だから。ここ!この“オートミュージック”の“フェードアウト”ボタン をクリックしたら、曲がフェードアウト状態になるよ!」

「ほんとだ!・・・これでBGMも完了だね。」

「じゃぁ、いよいよ最後の作業に移ろうか。ナレーションを入れなきゃね。」

「あっ!そうだ。未だ入れてなかった。どうすれば良いの?」

「うん!準備するね。ICレコーダーにマイクを接続して・・・と、マイクをスタンドに固定すればOK・・・はいっ!準備できました!それじゃぁ、アテレコみたいにやろうか。さっき完成したフィルムを再生するから、うまくカットに合わせて原稿を読み上げてみて。」

「了解!」

 真帆ちゃんが、親指と小指を折った状態の手を私が見えるようにモニター横に突き出した。そして、ゆっくりと、3・・・2・・・1と数えながら人差し指、中指、薬指を順に折り曲げていった。

「はいっ!キュー!」

 フィルムの再生が始まった。最初はテストパターンだ。2秒後、番組が始まった。タイミングを合・わ・せ・て・・・。

「“私たちの高校の裏山には、山上にある松永寺の山門まで続く千本桜並木道と言う遊歩道があります。・・・不思議な事にこの遊歩道は、山道にも関わらず真っ直ぐです。何故でしょうか?・・・実は昭和の終わりまで、ここには参拝客用のケーブルカーが走っていましたが廃線となり・・・跡地が遊歩道となったのです。・・・毎年春には満開の桜の中を数kmに渡って歩くことができます。・・・皆さんも是非一度訪れてください。”」

 うん!ばっちし!ちゃんとカットに合わせて言えた。

「・・・凄い・・・ドルフィンちゃん、凄いね!バッチしじゃん!」

「え?・・・いやぁ、それほどでもないよぉ。」

「流石は優秀賞受賞者だわ。まさか一発撮りできるなんて・・・。」

「お前も栗須さんを見習って、精進しなさい。」

 横で見ていた桑畑先生が真帆ちゃんにそう言ったので、真帆ちゃんは“えへへ”と言いながら頭をポリポリと搔いていた。うーん・・・私はまだ見習われるほどじゃないんだけどな・・・。

 そうこうしている間に、真帆ちゃんはテキパキと作業を進めていった。ICレコーダーをマイクから外すと、パソコンのUSB端子に差し込み、音声データを取り込んだ。

「ドルフィンちゃん。今のナレーションのデータはパソコンに取り込んだわよ。早速、フィルムに合わせましょう。」

「どうすればいいの?」

「基本、BGMと一緒だよぉ。BGMはタイムラインの“ミュージック”のところに追加したでしょ?今度は、“音声”のところに追加してやればいいのよ。」

「うーんと・・・あっ!ここね!・・・はい、入れました!」

「さっきと一緒で、出だしの所に音声ファイルをドラッグしてやるの。画と音声が一致するよう注意してね。」

「・・・ドラッグして・・・と。はいっ!できました!」

「ようし、じゃぁ、頭から再生して、ちゃんと出来ているか確認しましょう!」

 再生ボタンにカーソルを合わせて押してやると、テストパターンが現れ、やがてフィルムの再生が始まった。BGMもナレーションもちゃんと入っている・・・なんて言うか・・・作品が形になっている。感動だ!

「うん!ちゃんと問題なく出来てるね。ドルフィンちゃん、どこか気になるところとかあった?今なら修正できるよ。」

 真帆ちゃんはそう言ってくれたけど、特に不満なところは無かった。最初の作品にしてはよくできました・・・って気がする。

「うううん、特に無いよ。有り難う。これで完成だ!」

「そっか・・・良かった!じゃぁ、これで完了させるね。パソコンで編集した場合、最後の最後にレンダリングをしないといけないから忘れないでね。」

「レンダリングって、最後にコンピューターに計算をさせることだっけ?」

「そう、様々なデータを一つのデータに統一することだと考えればいいと思うよ。それじゃぁ、アプリケーションウィンドウの上部にある“完了”のタブをクリックしてみて。・・・そうそう。フィルムの拡張子は、コンテストへの提出形式・・・これ!MPEG-4にして!そうそう。そして、ファイル名を記入して。」

「“東和・・・高校・・・放送部・・・弾正山・・・千本桜・・・並木道”と・・・はいっ!入れました!」

「あとは、“開始”ボタンを押して、と・・・うん!無事にレンダリングが始まったよ。」

「・・・完了!・・・これでできたの?」

「はいっ!そうです!お疲れ様でしたぁ。これで終了でーす。えーと、ドルフィンちゃん、フラッシュメモリとか持ってきた?」

「あっ!?ゴメン。持って来てない・・・。」

「じゃぁ、DVD-ROMに焼くね。」

 真帆ちゃんは手慣れた様子で、パソコンにDVDをセットして、エクスプローラー上でファイルをドラッグしている。

「はいっ、焼けました!じゃぁこれを持って帰ってね。」

 そう言って、真帆ちゃんはDVD-ROMを渡してくれた。

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