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こちら、県立東和高校放送局です!  作者: 田鶴瑞穂


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神倉先輩は全国大会に出場!さぁ!結果は・・・・・・どうなったのさっ?!

『それでは、終業式に先立ちまして、この夏、全国大会に出場する生徒の皆さんの壮行式を行います。まず、全国大会に出場するのは、2年8組の神倉千穂さんです。神倉さんは先月のNHK杯全国高校放送コンテスト県大会で優秀賞を受賞し、来週東京で行われる全国大会に出場します。続いて、ハンドボール部です。5月の県大会を勝ち抜き、先月の地区大会でも見事ベスト4に入りました。ハンドボール部は、来月北海道で行われるインターハイに出場します。続いて・・・。』

 今日は、1学期の終業式だ。毎年、我が校では夏の全国大会に出場する生徒が何人もいて、式の前にお披露目と激励を兼ねた壮行式と言うものが行われるらしい。“らしい”と言うのは、私が1年生で、今年が初めての経験だからだ。

『・・・以上の皆さんです。今、名前を呼ばれた生徒とチームの代表者は登壇してください。代表者以外の選手の皆さんは舞台前に1列で並んでください。』

 あぁそうか。ハンドボール部は団体だから、多すぎて全員が舞台には上がれないんだな。おっ!入之波花音ちゃんだ。1年生ながら花音ちゃんもレギュラーなんだよなぁ。凄いなぁ。入学式の次の日に、“私はハンドボール!小学生の頃から続けているんだ!インハイに出るのが夢なんだ。”・・・って言ってたけど、本当に実現しちゃうんだもんなぁ・・・。

『まず、最初に校長先生からの激励です。・・・一同、起立!・・・礼!・・・着席!』

『皆さん、おはようございます。この度・・・・・・。』

 毎度のことながら、校長先生のお話は難しい言葉の連続で、いまいち頭に内容が入ってこないんだよなぁ・・・。校長先生のお話を聞くと、神倉先輩から言われた注意を思い出すなぁ・・・。

 “このような言葉を同音異義語って言うのよ。文章を読む場合は、漢字で書いてあれば、どの意味で使われているか一目瞭然よね?でも、耳で聞いただけだと意味が通じない場合もあるのよ。だから、アナウンス原稿は、極力“漢語”・・・漢字のみで書かれた言葉を避けて、聞くだけでも判る言葉を選んで書かなければいけないの。“

 うむうむ、本当にその通りだ!次にアナウンス原稿を書く時も注意せねば!

『一同、起立!・・・礼!・・・着席!・・・続いて、“生徒代表からの激励”・・・生徒代表、生徒会長宇久井君・・・一同、起立!・・・礼!・・・着席!』

『皆さん、おはようございます。生徒を代表して、全国大会に出場される皆さんに、僭越ながら激励の言葉を述べさせていただきます。皆さんはこれまで、全国を目指して日々厳しい練習を積み重ねて来られたことは、同じ学校に通う者として、良く存じ上げております。その努力を知るものとしては、軽々しく頑張れ、頑張って来てください、とは言えるものではありません。何故ならば、すでに皆さんは十分に頑張ってこられたのですから。そこで、“頑張れ”と言う言葉以外の言葉は無いか、ここ数日考え続けてきました。そこで、思いついたのが、“楽しんで来てください”と言う言葉でした。皆さんが全国大会に行かれるのは、私たちの為でも、学校の為でもありません。皆さん自身の為です。ですから、誰かの為では無く、自分の為なのですから、“頑張る”ので無く、是非“楽しんで”来てください。今年の夏は、今年だけのものです。同じ夏は二度とありません。人生で二度と経験できないひと夏を、思いっきり楽しんで来ていただきたいと思います。その権利を、皆さん自身のこれまでの頑張りで勝ち得たのですから。・・・以上、生徒代表の激励の言葉とさせていただきます。』

『一同、起立!・・・礼!・・・着席!』

 おぉ!流石、生徒会長!心に沁みるお言葉です。“頑張る”のでは無く“楽しむ”・・・かぁ・・・逆に、その心境にまで達したから全国に行けるようになれたのかもしれないなぁ・・・。私も、何時かその心境に辿り着くことができたらなぁ・・・。

 おろっ?神倉先輩が中央マイクの前に移動したぞ?何かしゃべるのかな?

『全国大会に出場する者を代表して、お礼の言葉を述べたいと思います。本日は、私たちの為に、このような盛大な壮行式を開いていただき、誠に有り難うございました。生徒会長のお言葉にあったように、“楽しむ”ことで、皆さんに喜んでいただけるような立派な結果を持ち帰りたいと思います。今後とも応援よろしくお願いします。』

 そう言うと、先輩はぺこりとお辞儀をして、全校生徒の拍手を浴びながら元の位置に戻った。ハンドボール部キャプテンやテニス部キャプテンと互いに目配せしているところを見ると、最初から先輩が代表してお礼を述べることが決まっていたんだな。

『では、舞台上の皆さんは降壇してください。舞台下の選手の皆さんも各自の席に戻ってください。・・・・・・それでは、引き続き終業式を行います。・・・・・・。』

 ☆

 今日は、放送部員全員が洛中駅に集合!神倉先輩のお見送りだ。我が県では、毎年Nコン全国大会の出場校はまとまって上京するらしい。だから、今駅のコンコースは、我が校だけでなく、高倉高校、丹鶴高校、御船高校、越路高校などいろんな学校の放送部員でいっぱいだ。

「「先輩っ!存分に“楽しんで”きてください!」」

「皆、今日はわざわざ有り難う。“楽しんで”くるわね。」

「「はいっ!良い知らせを待ってます!」」

 飛びっきりの笑顔で先輩は、引率の西町先生と一緒に改札の中へと消えて行った。何故だかちょっと寂しい・・・。

「ねぇねぇ、響子ちゃん、ドルフィンちゃん、折角だからアニメイトに寄ってみない?洛中なんて滅多に来れないからさぁ。」

 紙織ちゃんが何やらヲタクっぽいことを言ってきた。まぁ、確かに滅多にこんな都会には出てこないもんねぇ。

「私、まだ行ったことないし、一度行ってみるのもいいかな?」

「そうね。せっかくだし。あ!あと、都会のおしゃれカフェにも行きたいっ!」

「私の行きたいところだけじゃ不公平だもんね。皆の行きたいところを一つずつ行こうじゃぁないか!」

「「そうしますか!」」

 そういうことになった。

 ☆

 Nコン全国大会は、4日間の日程で行われる。初日は受付のみでコンテストは行われない。受付は午後からなので、出場組はこの日の朝に新幹線に乗ったのだ。2日目は開会行事と準々決勝、3日目は準決勝。ここまでは、全て東京代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センターで行われる。最終日は決勝。場所は紅白歌合戦で有名なNHKホールだ。

 神倉先輩は、普段から余計なことを言わない、どちらかと言うと寡黙な人だ。私たちが結果はどうなったんだと、一日中やきもきしていても、夜にLINEを使って結果のみをシンプルに知らせて来るんだ。あっと、これは個人的なLINEじゃなくて、放送部で部内連絡用に作られたものだからね。ちょっと残念だけど。

  "明日の準決勝に進出"

 "明日の決勝に進出"

 連日こんだけしか書いてくれないので、詳しいことは一切判らない・・・。最終日に至っては、『明日朝9時、物理室に集合。顧問西町』とだけ、送られてきた。いや、結果はどうだったんだよ!気になって寝れないじゃないか!もうっ!

 ☆

「おはよう、紙織ちゃん、響子ちゃん。」

「あっ、おはようドルフィンちゃん。」

「おはよう。」

 改札を出たところで、紙織ちゃん、響子ちゃんと合流し、学校へ向かった。

「ドルフィンちゃん、眼の下に凄い隈が出来てるねぇ・・・。」

「・・・うん、Nコンの結果が気になって、あんまし寝れなかったんだぁ・・・。ふわぁぁぁ・・・眠い・・・。」

「確かに。集合!ってだけでNコンについては何も触れてなかったもんねぇ。」

「西町先生、LINEで結果を教えてくれなかったってことは、皆の前で報告するつもりなんだろうね。」

「気になるなぁ・・・早く結果を知りたいよ・・・。」

 そんなことを言い合っている内に、校門が見えて来た。

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