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ドキドキ、ワクワクのNコン県大会本番!まずは予選だ!とにかくベストを尽くそう!

今日も休日出勤でした。遅くなりましたが、第10話を投稿します!

 大ホールで開会式が始まったけど、自分の原稿を反芻するのに忙しくて、お偉いさんの有難いお話は全く覚えていない・・・ごめんなさい・・・。

『以上で開会行事を終わります。予選を開始しますから、アナウンス部門に出場する生徒の皆さんはこのまま大ホールに留まって下さい。朗読部門に出場する生徒の皆さんは大会議室に移動してください。番組部門に出場する学校の皆さんは、視聴覚室に移動してください。』

 いよいよ予選だ。今年は、アナウンス部門、朗読部門共八十人を超えているから、予選だけで昼を過ぎてしまうらしい。

「じゃぁね、ドルフィンちゃん!」

「頑張ってね!お昼ご飯は一緒に食べようね!」

 ここで紙織ちゃんと響子ちゃんとは暫しのお別れだ。先輩たちがいるものの、同学年のお友達がいないのは、何とも心細いなぁ・・・。

 ☆

 『それでは、アナウンス部門の予選を開始します。エントリーナンバー1番、2番、3番の人は舞台上に上がってください。1番の人は発表席に、2番3番の人は舞台袖の席に座って待機してください。発表が終わったら1番の人は降壇し、入れ替わりで2番の人が発表席に着いてください。その間に4番の人が登壇し、待機席に座ってください。以後、これの繰り返しです。スムーズに発表が進みますよう、皆さんのご協力をお願いします。』

 予選が始まった!違う学校の生徒さんのアナウンスを聴くのは初めてだ。楽しみだなぁ・・・などと思えていたのは最初のうちだけ。聴いている内にどんどん不安な気持ちが膨れ上がって、嫌な汗が出てきた。皆さん上手過ぎる!こんな中で、私なんかが発表してもいいのかなぁ・・・そう思うと心臓がバクバクして落ち着かない。

 ところが、皆さんの発表を聴いている内に、良いところ、悪いところが何となく判るようになってきた。あぁ、この人のここは凄く上手だな、とか、この人のここはこういう風にしゃべった方が良いのになぁ、とか。

 “Nコンに出てみれば、自分なりに目指すものが見えてくると思うわ。”

 そうか!これが神倉先輩が言ってたことなんだ!他人の良いところはどんどん真似て、悪いところは自分もそうじゃないかって振り返ってみる。そうすることで自分の技量を高めて行くんだ!そう納得した後は、他人の発表をより真剣に聴くようになった。

 ☆

 神倉先輩の発表は凄かった!贔屓目では無く、群を抜いて上手いと思う。決勝進出は間違いないんじゃなかろうか。などと自分のことの様にワクワクしていると、私の番が回って来た。ここまで様々な人の発表を聴いて来て、自分なんかまだまだなんだと言うことは嫌と言うほど判ったから、逆に最初の頃の緊張は無くなっていた。とにかく現時点でのベストを尽くそう!そう、後で神倉先輩に褒めてもらえれば、それでいいじゃない!そう思いながら、 舞台袖の席で自分の番を待った。

 前の人の発表が終わり、私は席を立って発表席に移った。目の前のマイクを自分の高さに合わせ、ふぅー、と一息入れてから発声した。

「『56番、栗須入鹿、“中間考査が無くなった!私たちの高校生活はどう変わった?”

 私たちの県では、新学習指導要領に合わせて、昨年度から中間考査が廃止されました。私は、そのことが高校生の生活にどのような影響を与えるのか気になり、まずは身近な1年生を対象にアンケート調査を行いました。ところが、1年生はまだ入学したてで、そのことがどのように影響するのか判らない、と言う意見ばかりでした。

 そこで、すでに中間考査の無い生活を経験している2年生を対象に再度アンケート調査を行いました。結果、“中間考査が無いから、楽になると思っていたら、その代わりに小テストが頻繁にあって、却ってテスト勉強が忙しくなった”と言うものや、“教科毎に小テストが行われるので、毎日何かしらのテスト勉強をしなければならなくなった”と言った意見が多く見られました。一方で、“細目に勉強する癖が付いた”“範囲が狭いので、テスト勉強はしやすくなった”と言う肯定的な意見も多く見られました。

 確かに私たち高校生の生活は変わったようですが、必ずしも悪いように変わった訳では無いようです。』」

 お、終わったぁー。私は席を立って降壇し、観客席に身を沈めた。・・・いやいや!ホッとして気を抜いている場合では無いぞ、入鹿!まだ、発表は二十人以上残っているのだ!きちんと発表を聴くのだ!気を引き締めろ!

 ☆

 お昼を随分と回った頃にようやく予選が終わった。紙織ちゃんと響子ちゃんと合流するため、大会議室の前に移動したけど、似たようなエントリー数でも、朗読の方が制限時間が長い分、時間がかかるようだ。半時間ほど待たされて、ようやっと扉が開いた。

「あっ!ドルフィンちゃん!どうだった?」

 私の顔を見るなり、紙織ちゃんが大きな声で聞いて来た。わぁ、恥ずかしいから止めてくれぃ・・・。

「しっー!紙織ちゃん、声が大きいよぉ。」

「あぁ、ごめんごめん。予選が終わったばっかりで興奮が冷めなくってぇ。」

「いやぁ、同じ高校生とは思えんねぇ。皆、凄く上手なんだよぉ。私たちなんかまだまだだよねぇ。」

 響子ちゃんの意見には賛同する。本当に上手い人が世の中にはたくさんいるもんだ。

「取り合えず、お弁当を食べようよぉ。お腹空いたぁ!」

 私のお腹は待たされてくぅくぅ鳴っていた。

「そうね。大会議室と研修室を使っていいそうだから、ここでお弁当を食べよう。」

 あぁ、一仕事終えた後のお弁当は美味い!夢中でご飯を頬張っていると、館内放送が流れてきた。

 『Nコン参加者に連絡します。14時30分から決勝を行います。14時20分になりましたら、決勝進出者の発表を行いますので、参加者は全員大ホールに集まってください。繰り返します・・・。』

 おぉ、審査員の先生方はお昼を食べる間もなさそうだ。大変だなぁ。一応、私なりに決勝に進出するのでは?と思う人にはチェックを入れている。果たして私の予想は当たるのか、楽しみである。

「紙織ちゃんと響子ちゃんは、決勝進出者の予想はしてみた?私はアナウンス部門については予想してみたんだ。予想が当たっているかどうか楽しみぃー。」

「えっ!?ドルフィンちゃん、そんなことする余裕があったの?」

「私は、自分の発表で精一杯。確かに上手い下手はあるとは思ったけど、チェックまではしてないわ。ドルフィンちゃんは凄いね!」

「えぇぇ・・・凄くなんてないよ。ただ、他の人の良いところは真似て、悪いところは自分もしていないか振り返ろうと思って、発表を聴きながらいろいろメモやチェックを入れてただけだよぉ。結果として、丸を多くつけた人が本当に決勝に進出するかどうかで、自分の評価が正しかったかどうかが判るから楽しみなんだよ。」

「いやいや、普通に凄いって!ドルフィンちゃんの熱心さを私も見習わないと。」

「よくそんなことしようと思ったね?」

「練習のときに神倉先輩に言われたんだ。“Nコンに出てみれば、自分なりに目指すものが見えてくる”って。実際に出てみて、私なりに出した答えがこれなんよ。たくさんの人の発表から良いところ、悪いところから学ぼうって。」

「そっかぁ・・・私は先輩の言ってたことを気に留めなかった・・・。ドルフィンちゃんに差をつけられちゃったかも・・・。」

「うん。次からは私もドルフィンちゃんを見習ってみるよ。」

「いやぁ・・・そんなに持ち上げないでよぉ。恥ずかしいよぉ。」

「恥ずかしがることなんてないよ!立派だって!」

 いやいや、友達にそこまで褒められると、背中がこそばゆい。私はただ上手くなりたいだけなんだけどなぁ・・・。

 そうこうしている内に時間になった。さぁ、大ホールに移動しよう!

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