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30/57

30

「49点ですね。」


はっ?

何それ?中途半端っ!

半分なら50点でよくね?


「大変おいしゅうございます。」


おおーっ!エルミナからは高評価っ!

おのれ、リリアーヌ、あんた厳しすぎでしょっ。


「ご自分で採点してみてください。」


リリアーヌが挑発したように言う。


私は、一口、自分でいれた紅茶を飲む。


ぐっ、ぐぬぬぬぬっ・・・。


「よ、よんじう・・・きゅうてん・・・。」


いつも最高の紅茶を飲んでる私は舌が肥えている。

その私だからこそ、この点になってしまう。


半分には今一歩、到達していない紅茶。

それが私が、いれた紅茶だ。


「昨日は何点でしたか?」


エルミナが聞いてきた。


「17点よ。」


私はぶっきらぼうに答えた。


「たった一日で、30点以上も上達しています。さすがお嬢様です。」


エルミナが褒めてくれた。


そうだっ!たった一日で、この上達。

昔の偉い人は言いました。

ローマは一日にして成らずと。

ローマと私の紅茶を同列にするのは、どうかと思うが、そういう事じゃない?

うん、そういう事にしておこう。


「明日も楽しみにしています。」


明日も来るんかいっ!


エルミナが去った後、私は、リリアーヌに聞いてみた。


「なんで、エルミナは私がリリアーヌに紅茶をいれてるのを知ってたのかしら?」


「・・・。」


何も答えないリリアーヌ。


あ、あんた・・・自慢したのね・・・。





翌日、午前中は授業。

ダリアは、孤児院へと出向いていた為、一人でおやつを食べた。


いかん、ねむい・・・。


家族が利用する広いリビングでつい、うとうとと。

部屋に戻って、寝ようかなと考えていると。

リリアーヌがソファーに座った。

そして、膝をぽんぽんと叩く。


なるほど、膝枕してくれるわけね。


私はねむねむで、思考能力も低下していたので、遠慮なく、リリアーヌの膝枕で眠った。



「何をしているのっ!」

突然の大声で、私は、びくっとなった。

びくっとなったからには、一瞬で目が覚める。

眠気も吹っ飛んだ。


「そこをどきなさい。」


なんで、鬼になってんの?お母様・・・。

意味不明だ・・・。


お母様は徐にソファーに腰をおろし、膝をポンポンと叩いた。


えっ?

どういうこと?

完全に目が覚めた私に、また寝ろと?

いくらのび子さんの私でも、それは無理な相談だ。


だが、今、この状況で、断れるのか?

いや、無理だ。


私は、大人しくお母様の膝枕に身を沈めた。



何やら気配がする?

びっくりするくらい、私は熟睡してたようだが。

ゆっくりと目を開くと。


私を覗き込むように見ている顔が三つ。


「ほら、アウエリアが起きてしまったでしょう?」

その3人に向けて、お母様が言う。


「いやあ、寝顔が可愛かったもので。」


お父様だ。


「娘に会いたくなってしまったよ。」


叔父様だ。


「姉さん、かわいいです。」


いや、あんたの方が可愛いよ、弟よ。


私は顔を真っ赤にすることしかできなかった。

うん、次から眠い時は、部屋で寝よう。

私は、羞恥心から、そう強く思った。


自室で少し休もうと戻ると。

テーブルにリリアーヌが着く。


はいはい、紅茶でしょ?


どうせエルミナも来るんだろうと思って、部屋の扉を見ると案の定、ノックが。


エルミナとダリアが入室してきた。


何故にダリアまで?


私は、ダリアにも自慢したのかと非難の目でリリアーヌを見た。


「私ではありません。」


リリアーヌはキッパリと答えた。

ということは、犯人は、エルミナか。


「今日は、お嬢様とお茶会が出来ませんでしたので。」

とダリアが言った。


しかし、アレだ。

ダリアがいると緊張してしまう。

ダリアに習っているんだから、それはそうだろう。


平常心、平常心。


私は、いつも以上に緊張し、いつも以上に丁寧に紅茶をいれた。


「合格点です。」

そう言ってくれたのは、ダリアだった。


おおーっ!ダリアに合格頂きましたっ!


「これなら誰にでも出せると思います。」


うんうん、エルミナの評価はいつもいい。


して、リリアーヌは?

「80点です。」


お、おおおーーーっ!

高得点、高得点ですよ?

やりました、やったよ、私。


歓喜の中、一口飲む。


「うん、80点だ。」


満足するとともに、不安がよぎる。


えっ、これ以上何をすれば、いつも飲んでる紅茶に近づけるの?と・・・。


「ご安心ください、お嬢様。明日からも私がお教えいたしますので。」


私の不安を見越して、ダリアが言ってくれた。


うん、それなら安心だ。





翌日のお茶会は、私とお母様、ダリアの3人だ。

ダリアが傍に居ていれる紅茶は、普段の紅茶と遜色がない。

一体、何が違うのだろうか?

細かな違いだとは思うのだが。


「毎日の繰り返しの中、私と一緒の時と、一人でいれた時、何が違うのか考えながらいれてみてください。きっと理想の紅茶に近づけるでしょう。」


ダリアの言葉に私は頷く。


「繰り返しが重要なのね。」


「はい。」


その日の紅茶もお母様に絶賛してもらった。


「昨日は、言い忘れましたが、冒険者のパーシヴァルさんが、お嬢様に相談があるとか。」


ダリアが言った。


「へえ、パーシがねえ。」


ヒャッハーなボスが私に何の用だろ?

監禁中の私なので、相談に乗る事は出来ないのだが。


「その方は、確か、アウエリアを護衛してくださった方かしら?」


「いし拾いの時に、宿の警護をしてくださりました。」


お母様の問いに私が答えた。


「無碍には出来ませんね。等級は?」


なんだ?等級って・・・。


「C級です。」


私が答えあぐねていると、リリアーヌが答えてくれた。


「それでは、当家に出向いてもらうのも厳しいわね。」


「等級が関係あるんですか?」


気になったので、お母様に聞いてみた。


「貴族街に入るには、許可が必要なのよ。商人は商人用の入場許可証が、冒険者には、冒険者用の入場許可証が必要になるの。」


「なるほど。」


「冒険者で、許可証を発行するには、A級冒険者でないと厳しいわね。」


「A級冒険者って少ないんじゃ?」


「そうよ。そもそも冒険者が貴族街に用なんてないでしょ?」


確かに。


「お父様に相談しましょう。」


お母様が、そう言ってくれた。

何が何でも監禁って訳じゃあ、ないのだろう。

王宮にも行かないとだし。


「出来たら、レントン商会にも行きたいんですが。」


「そうねえ、アクセサリーの件もあるし、それもお父様に相談しておくわ。」


おおー、何か知らないが、要望が通ってしまった。


お父様に相談=決まったようなもの。

なんて、考えが私の中にある。


決してお父様を舐めている訳ではない。

うん・・・。


夕食時。


「うん、話しはわかったよ。貴族内に主だった動きはないようだし。構わないよ。」


お、おおーっ!監禁解除キタっ!


「それに、ドワーフ国で、大々的に展示も開催されるようだしね。」


(。´・ω・)ん?


「是非、見に行きたいわね。」


お母様が言った。


「無理を言わないでくれ。」


「何の展示が?」


気になったので聞いてみた。


「テセウスの涙の展示だよ。1カ月くらい開催されるようで、一部の貴族たちは、ドワーフ国へ行くようだよ。」


「へえ。テセウスの涙って何ですか?」


聞いた事あるような?ないような?


「「・・・。」」


何故かお父様とお母様に無言で見つめられた。


「お嬢様がテリーの涙と呼ばれているアレです。」


私の後ろで給仕をしてくれていたリリアーヌが教えてくれた。


「ああ、アレね。展示するのかぁ。行ってみたいな。」


「駄目だ。」


「駄目よ。」


うぉっ。

ダブルで、ダメ出しを食らってしまった。

しかも、お父様から、即ダメ出しを食らうのは初めてではないだろうか?


「テセウスの涙は、ドワーフのディグレットさんが見つけ、物はドワーフ国にあり、ドワーフ国の国宝になったという事を見せつける為の展示だよ。アウエリアは関わらない方がいい。」


「ドワーフ国へ行くなんてもってのほかです。そもそもあなたは、実物を見ているんでしょ?」


見てると言われてもなあ・・・。

見つけた時は、暗かったし、ディグレットさんの前に出したのだって、一瞬だったしなあ。


何よりも、ドワーフ国へ行ってみたいなあ。



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