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分岐点・2

「はぁ…ようやく終わったな…」

俺は最後の本を机の上に置きながら呟く。


「そんなやり遂げた顔して…ほとんど私が調べたじゃないですか。」


少し疲れた様子でシオンがぼやく。


「いやぁ、ほんとに助かったよ…」

「俺一人じゃそれだけで半月ぐらいは確実に無駄にしただろうからな。」


俺達はあれから、読むのに6日まとめるのに1日の計1週間程で全ての情報をまとめきっていた。


予定していたよりかなり早いペースだ。

と言っても彼女のおかげ。


俺とシオンの読んだ比率は、大体俺が2割彼女が8割程だ。


つまり彼女がいなければ、最低でももう一週間は確実にかかっていた事になる。


他にもここに通う時間がもったいないからとこの家に住まわせてもらっていた。


「それで…今からどうします?」


あれからずっと本を読みっぱなしだ、外に出てなまった体を動かすかゆっくり休みたい。


ただ今は少しでも時間が惜しい…


「そうだなぁ…出発の準備は今日中に終わらせたいな。」

「他は…」

俺は口に手を当てながら少し考えていると1つやっておきたい事を思い出した

「模擬戦でもやって見るか?」


その提案に対して彼女は小難しい顔をしながら悩む。


俺としては出来れば1度手合わせして置きたい。

集めた情報の通りなら装備を集める旅は、途轍もなく過酷な旅になる。

もし仲間の力量も知らず、連携も取れ無ければすぐに死ぬ事になる。


(まぁ、こいつからすれば俺の死に様さえ見届ければ監視役としては問題ないんだが…)


暫くの沈黙の内そんな事を考えていると彼女がゆっくりと口を開く。


「そうですね…これからの事を考えればそちらの方が良さそうですね…」


「それじゃあ…!」


「はい…やりましょう!」


どうやら思う所があったようで彼女も賛成してくれた。

正直かなり助かる。


「よし…ならどこでやる?」

「1番は冒険者ギルドの訓練施設だが…」


冒険者ギルドは依頼や魔物の情報、禁忌の管理の他に、冒険者に必要な身体能力や知識をつけるための育成施設としての顔を持つ。


だから並の戦闘じゃ傷1つ付かない訓練施設も幾かも持っている。

だが…


「いや、それはやめましょう。」

「あそこは人が多すぎます。」


返ってきた答えはノーだった


「…もしかして広範囲を巻き込む魔法を使う戦闘スタイルだったりするか?」


そう言いつつ。


人を巻き込む可能性があるなら実践でも使いにくそうだな、と俺は勝手に納得する。

冒険者ギルドの施設は頑丈だが余り広くは無いので仕方ない。


そんな風に勝手に納得する俺を見ながら


「いえ、そう言う魔法もありますが…」

「私のデータは人に知られたくないので…」


違うかったらしい。

思い込みで判断するのは悪い癖だ…


だが、そう言われればそうだ。


彼女は監視役…いくら表の顔で行動しているとは言え今は任務中、あまり表立って行動する訳には行かないだろう。


「あぁ…そう言う…」

「なら何処でやる?」


「ここの地下室でどう?」


「広さはそこそこだけど完全防音で耐久もしっかり魔法で補強してるから模擬戦にはうってつけだと思う。」



「へ?いや地下室もそうだけど魔法ってそんなことできるの?」


いや地下室があるのもびっくりだが、魔法で耐久や防音までできるのはもっとびっくりだ。


「できますよ。」

「レイさんが使っている身体強化、弱化の魔法あるじゃないですか。」


「あぁ…俺が唯一使える魔法だ。」


「防音や補強もそれの応用ですよ…」


「なるほど…そうだったのか…」


言われてみれば確かにそうだ。


魔法は一般的な物じゃない。

ただでさえ扱うのに才能がいる上、魔力量や魔法構築の理論が理解出来なければ使いこなせない。


まぁ感覚で扱う化け物みたいな奴も居るには居るのだが…

ミラがその筆頭、その上彼女はあの歳で理解もしている。


そして俺は今までミラやアリスが魔法を使ってる場面しか見た事が無かった。

だから魔法と呼べる物は派手な属性魔法しかないと勝手に思い込んでいた。


(もっと頭を柔らかくして周りを見ないとだな。)


ただ垂れ流すのと留めて応用に発展させるのは訳が違う。

それこそ上澄みの上澄みレベルだろう。

裏を返せばそれぐらい優秀じゃないと監視役でさえ任せられないということか。


ただ俺のは、ミラから少し特殊と言われたような…

いや、今はどうでもいい


「それで…どうしますか?地下でいいですか?」

沈黙を破る様に彼女が口を開く


「あぁそうしよう。」


俺はその申し出を快諾した。


「それで今からでも大丈夫か?」


さっき作業が終わったばかりで疲れてはいるが、俺は先に模擬戦をしたい。


なぜなら、お互いの戦闘スタイルによって準備しておくアイテムが変わる可能性があるからだ。


「今から…」

少し悩む素振りを見せる


「それでいいですよ…着いてきてください。」

そう言いながらゆっくりと椅子から立ち上がった。




「あぁ、頼む。」

それを聞いてシオンは、振り返るとそこへ案内してくれた。


それにしても、最初と比べてかなり接しやすくなった気がする。

最初は警戒されているようで余り会話をしてくれなかった。


ただ今は、ある程度会話できるようになっている。


監視役と監視対象と言う立場上、仲良くなる事は無いが信頼関係は築いておいて損は無いだろう。



――――――――――――――



そして俺は彼女が使っている寝室の床に作られた隠し通路に案内される。

そこには地下に伸びる階段があった。


どんどん進む彼女の後に続き俺も恐る恐るその階段を進む。


「思っより綺麗だな」

正直カビ臭いジメッとした荒れた道だと思っていた。

しかしその予想に反して道は綺麗で埃ひとつないカラッとした空気が漂っている。

1つ言うなら薄暗い事ぐらいか…


「まぁ一応手入れしていますから。」

「それに嫌でも手入れしないと家がダメになってしまいます…」


そう言う彼女の声音は少し寂しそうだった。


「それもそうか」


そんなこんなで進んでいると彼女が闇の中に消える。


「着きました」


その声と同時にパチッと言う音と共に一気に視界が明るくなる。


「すごいな…」



思わずそんな言葉がこぼれる。


さっきまで暗闇だった場所には広い空間が広がっている。

しかも入口から右手側の壁には、杖や刀、弓などのあらゆる木製の武器が2本ずつ。


左手側には小瓶に入ったあらゆる種類の薬類が完備されている。


「そこそこお金をかけましたからね。」


「広いだけじゃなくて障害物の配置や、環境の再現なんかもできますよ。」


「なるほどな…便利だな。」


使っていない別荘にここまで、しっかりした設備を作っているのは素直に尊敬する。

少しも手を抜かずに鍛錬を積んでいる証拠だ。


「それで…今回はどうします?」

「私はこのまま平坦でも大丈夫ですが…好きな環境があるならできるだけ合わせますよ。」


彼女はそう言いながら武器が掛けられたかべから杖を手にする。


「いや俺も大丈夫だが…」

「シオンは本当にこのままで大丈夫なのか?」


本来魔法使いというのは1人で戦うタイプでは無い。

理由は単純全力で魔法を使う場合詠唱をする必要があるからだ。


だから1人で…ましてや開けた場所での戦闘は不利な事この上ない。


だが彼女は…


「私なら大丈夫です。」

「一応この中なら1番性能が高いのは杖ですから…」

「あ、武器はこの中から選んでくださいね。」


なんの迷いもなくそう答える。


確かに武器という面では有利かもしれない。


ほかの武器は木製だが杖だけは魔力を増幅させる特性上魔力を帯びた石が埋め込まれているからだ。


ただそれでも、圧倒的に不利な条件であることは変わらない。


しかも俺はクビになったとは言え、元勇者パーティーのメンバー…

そこら辺の冒険者とは比べられるレベルじゃない。

かと言え舐めている発言とも思えない。


(余程の自信があるという事か…)


そんなことを考えつつ俺は武器を選ぶ。

槍に大剣、双剣や刀…


本当に色々あるがその中で1つ興味が引かれる武器があった。


「これは…」



それはロングナイフと言うには小さめの木製ナイフ。

愛用している物にそっくりだ。


思わず手に取る。


「良いな…」


そのナイフは良く手に馴染んだ。

めちゃくちゃ期間空いてしまった…

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