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幕間 とある国
空が赤い。
僕の家が、燃えている。
……。
あれ、僕の家が……
「──!────!!」
誰かが僕の名前を呼んでいる。
「───!そこから逃げるのよ!早く!!」
分かってるよ、母さん。足が動かないんだ。
「──!!!!!!」
誰かが僕の手を引っ張る。
「逃げるよ、───!!」
そんな強く引っ張られると痛いよ、父さん。
これが、大人の人が言っていた「戦争」……。
僕の前には何もかもが無くなった。
家も、僕の好きな本も、母さんも。
全て、大人達に奪われた。
「…………お父さん、お母さんが……!!」
「分かってる……分かってるんだよ……でも……!!」
僕は、泣いた。
父さんも、泣いていた。
「お母さん、死んじゃったんだよ……!!!!」
僕は、信じられなかった。この現実を。この悲劇を。
今でも思い出す、あの日。