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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?  作者: ゆみねこ
元厨二病に楽しい夏休みがやってきたってマジ?(前半戦)
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人間は可能性の塊?

──楓、ミオとプールに行った翌日。楓が久しぶりに体調を崩し、俺は家事仕事に奔走していた。


 怜音さんから家事を取り上げてからもう少しで二週間、元々やっていたのもあるが流石に慣れてきた……料理を除いて。

 床を磨くにしても、風呂を洗うにしても何処もかしこもピッカピカの最高の状態に出来るようになった。


 一見良いと思えるその技術向上(スキルアップ)

 しかしそれには難点があった。


 それは──効率が悪い。


 怜音さんの様に同時並行で全てを完璧に出来るのならば良い。

 だが、そうではない俺と楓は二人で行うという物量作戦でなんとかしてきた。


 故に、楓が抜けた穴を俺は埋め切れずにいる。

 楓が来ないという連絡を受け取ってから早五時間、俺は休みなしで家事に打ち込んでいた。


──だからちょっと……疲れていたのだろう。


「洗濯は楓に任せているから何気に久しぶりだな」


 なんでそういう分担になったのかは覚えていないが、洗濯は楓がずっと行っていた。

 何でだったっけなぁ……と思いながら洗濯機の扉を開いて、甘い洗剤の香りに迎えられた瞬間──その理由を思い出した。


「──わーお! これはパ・ン・ツ☆」


 どうぞお取りくださいと言わんばかりに、開かれた扉のド真前に女物のパンツが鎮座していた。


「これは……ミオのか」


 しかし、俺の心はぐらつかない。

 ほぼ毎朝、ミオはシャツとパンツだけで俺の部屋に突撃してくる。


 ぶっちゃけ、その時に何度も見てるし、この程度で俺の心がぐらつく訳が──


「──わ〜お……でっか」


 へっ、洗濯なんて楽勝だぜっ──と思った瞬間、俺を迎えたのは淡い紫色の巨大なブラジャー。

 そう、ブラである……怜音さんの。


 怜音さんにあまり大きいイメージがないが、着痩せしているだけであると一瞬にして理解した。

 そして──


「んんんッ!」


 俺は顔に被りそうになったのを鉄の理性で振り払い、ぺっとかごに入れた。

 ふう、危ない危ない。鉄の理性のお陰で耐え切った──鉄の理性なら行動にも起こそうとしないだろって? それなっ☆


 これ以上妙な事をしでかさない内に出してしまおうと、パッパと手を動かしていると再び俺の手が止まった。

 止まった俺の身体。その手に握られていたのは──


「ブラとシャツが一体化しているって言っていたけど、こういう事だったのか……」


──気に入っているのかよく着ているのを見るミオのタンクトップだった。


 しかし、タンクトップと言っても俺が普段着ているようなものではない。

 ミオのには、胸の部分にある程度の硬さがあるパッドが入っているようだった。


「ほへぇ〜、なるほどねぇ」


 男一人で生活してきた俺には今まで触れることのなかった代物。

 心底興味深いものを研究する研究者のように、パッドの部分をツンツン突いていると──


「──ピリオド〜♪ 私も手伝う……よ?」

「あ」

「…………」


 どれくらい熱中していたのか、或いは疲れが頂点(マックス)の所為か──ミオの接近に気付けなかった。


 ガラガラと脱衣所を仕切る扉を開いたミオはそこに広がっていた光景を見た瞬間、彼女は凍ったように固まった。

 しかし固まっていたのも束の間、次第にぷるぷると震え出し……顔がどんどんと赤くなって──


「変態ッ!」

「──グハっ……!」 

「うわーん、れいねええぇ!」


 全力の回し蹴りを放つと怜音さんの元へと走り去っていった。

 脱衣所に一人取り残された俺は──


「俺、悪いかな……?」


──はい、俺が完全に悪いですね、ごめんなさいっっ!



★☆★☆★☆★☆



「……ですから──柊仁様、聞いていますか?」

「はははは、はい!」


──脱衣所を出て速攻、俺は正座させられていた。


「私共は貴方を信頼してミオ様がこの家に滞在する事を許したのです。そうだというのに……」

「はい……すみません」


 ガミガミガミガミといつぞやの先生の様に説教をしてくる怜音さん。

 それを前に身を小さくして縮こまっている俺。そんな反省しているような身体に反して俺の頭の中では──


(俺、なんで俺怒られているんだ?)


 そんな事を考えていた。

 いや、確かに悪かったと思っている。悪かったとは思ってるし、反省もしている。


 だけど──怜音さんの言葉の端々に引っかかりを覚えていた。


 俺が反省しているのはミオに対してだ。しかし、怜音さんが言っているのは許可を出した(・・・・・・)という怜音さんや親父さんに対してだ。

 怒られている理由が、俺の思っているものとは少々離れているのだ。


 その原因が何なのか分からないが、怜音さんに説教を食らっている現状がちょっと受け入れられなかった。

 いや、第一は俺が悪いんですよ! それは間違いないんですけど!


──もしかしたら、『怒られる』という事にムカムカしてしまう……反抗期なのかもしれない。


 母親に反抗できないから、代わりに友人のメイドさんに反抗……か──やっだ、怜音さんにママみがあるってコト!?

 うへぇ、怜音ママぁ……抱っこぉ──こいつ、全然反省してねぇな?


 そんな馬鹿な事を考えていたら時が経ち、いつの間にか怜音さんのお説教は終わっていた。


「……このくらいで良いでしょうか。すみません、少し熱くなり過ぎてしまいました」

「いえ、悪いのは俺ですし……」

「以後気をつけてくださいね」


 そう言うと怜音さんは(オコ)モードを解いて、いつもの温かい笑みを浮かべた。


「お嬢様がああして強くなられたのは、柊仁様との出会いがあったからこそだと思っております。お嬢様のお付きとして、少なくない感謝の念を抱いているのですよ」

「えっ?」

「──故に、失望はさせないでくださいますように」

「はい……っ!」


 温かい声で褒めてきたと思ったら、冷たい声で突き刺すように忠告をしてきた怜音さん──どうやら強く釘を刺されてしまったようだ。

 しかし、上げて落とした怜音さんの巧みな話術は俺の気分を悪くさせるのではなく、寧ろ『頑張ろう』という気にさせてきたのだった。


「──ところで、ミオは何処に?」

「お嬢様であれば私に泣きついた後、家を飛び出していかれました」

「えっ、護衛もなしに大丈夫ですか!?」


 普段は普通だから忘れそうになるが、ミオは金持ちの娘。

 この辺の人はそれを知らないだろうが、それでも万が一がある。


 そう思って彼女の安否を尋ねたのが、怜音さんは自らの額に人差し指と中指を当てると大きく頷いた。


「今は……なるほど。大丈夫ですよ」

「えっ。なんですか、今の?」


 不可解な行動を取った怜ねさんにそう尋ねると、彼女からはさも当然とでも言いたげな表情で言ってきた。


「──お嬢様の『気』を探って、今何をされているのか探っただけですよ? 位置と状況は常に把握しているのですが、流石に行動はこうしないと探れませんので」

「いや、普通は位置と状況も探れねぇよ……」


 いや、『気』ってドラゴン○ールじゃないんだから!── え、怜音さんって本気出したら金髪になったり青髪になったりするの……?

 というか、今思ったけど、人差し指と中指を額にって……瞬間移動の時の仕草じゃねぇか! もういっそ、瞬間移動して見てきたって言われた方が信じられるよ!?


 そんな俺の驚きを全く理解していない様に、こてっと首を傾げる怜音さん。

 いや、そんな事してもヤバさは打ち消されないからっ!──いや、可愛いけど!


「ホント……人外なんですね」

「失礼ですね。これも全てお嬢様の為ですよ」

「それがヤバいんですよ……」


 この人、ミオの事どれだけ好きなの……?

 いや人間、好きだからって出来る事と出来ない事があるんですよ?


 え……何でも出来るの、かな?

 信じれば空も飛べるってやつ? 僕のティンカーベルってこと?


──可能性の塊、それが人間ってコト〜〜〜〜!?

謎の結論……

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