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うちのダンナ詩集

春は名のみのか

作者: 陸 なるみ


零下に落ちた弥生(よる)

殯宮(もがりのみや)に籠って

吹きすさぶ風の()を聞く

虎落笛(もがりぶえ)の時季は終わっただろうに

氷雨は窓を叩き

眠らせてもらえそうにない


ソファの上で君の愛称を

翻訳ソフトに投げ込むと

「自分の鍵」と返ってきた

ならば相方の私は「錠前」

ずっしりとソファに沈み込み

「鍵穴は錆びるのね」と苦笑してみる


君の名をスマホに打てば

予測変換は楽しげな

カラオケの絵を上げてくる

君に音痴と笑われた私は

ソファの上に不貞腐れ

「もう困らせないよ」と口を尖らせる


雨が降ろうが寒かろうが

「いい天気だ」と笑顔を作った君

下手な書き物の誤字が後押しする

ーー春花の美の香ーー

夜が明けたら(あんず)の花の(もと)

君の影に出逢いに行こう




挿絵(By みてみん)




亡き夫の名前がわかりましたでしょうか?

クイズ代わりにどうぞ。

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i517735
バナー作成:秋の桜子さま。ありがとうございます。
― 新着の感想 ―
[良い点] 悲しいけれど美しい詩ですね。 最後の『君の影に出逢いに行こう』という一文がとても好きです。 名前は本人にとっても大切なものだけれど、その人を愛しく思う人にとっても大切なものなのだと思いま…
[一言] マイキー……マイケルさんのお名前は、まさに「名は体を表す」だったのですね。 錆びついてしまった錠前は、なるみさんの心。 錠前を緩ませることができるのは、きっと時間だけ。 杏の花は、甘い香…
[良い点] こういう素敵で情緒溢れる文章、自分ではなかなか書けないので憧れます。 旦那様への愛が、短い文の中に極限まで凝縮されたのを感じることができました。良い作品を読ませていただきました。 [一言]…
感想一覧
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