英雄のその後
ユスティティア王国内では、『英雄』の登場に湧いていたが、当の本人、ルベラルバスは気にすることなく、自分の待ち人、ラミュニの元へ向かう。
「ラミュニ!」
嬉しそうに向かって来るルベラルバスに、ラミュニは赤面しながら言う。
「ば、馬鹿! 声が大きいだろ!」
「そう言うなや! 俺達、夫婦なんだからよ!」
その言葉に、ラミュニの顔が更に赤くなる。実は、全てが終わった後、グーガスラヒ領で再会を果たした二人は、正式に婚姻関係になったのだ。
ルベラルバスがニヤニヤしながら言う。
「んで? この後のパレードはバックれるとしてだ……どこに行くよ?」
「バックれるの前提なのかよ? まぁいいけどさ……アタシは……マテロ村って所に行きたい。確か、そこには『科学』の先駆者がいると聞いたからな。アンタ、は、その……来るよな?」
おずおずと聞くラミュニに、ルベラルバスは無邪気な笑顔で返す。
「お前が行く所ならどこにでも行くぜ!」
その答えに、満足そうな笑みを浮かべると、ラミュニとルベラルバスは人目を避けて王都を後にした。
──その後、『英雄』として後世に名を残した彼は、名をルベラルバス・グレンベック・レッドと改め、後のマーテル共和国となる村で、ラミュニと共に平穏に暮らしたのだった。