決着
中は、たくさんの機械でいっぱいだった。
「おいおい、勘弁してくれや……俺は『科学』はまだ覚えきれてねぇんだよ」
そう愚痴ると、ルベラルバスは双剣で制御装置もろとも壊し出した。警告音が鳴り響くが、気にせずどんどん壊して行く。
すると、ヴレマヴロから出た黒い影が装置から吹き出して来た。
「おっと!」
それをかわすと様子を見る。と、黒い影から声がする。
「ああ……何故だ……何故会えない……ユリスティーナ……ユリス……ティーナ……ああああああああぁぁぁ!!」
黒い影は一度だけ大きく噴出すると、スルスルと制御装置の中へ消えて行き、同時に外から何かの軋む音が響いて来た。
「あの娘が何かしたか? とりあえず、出るか」
そう言って外に出ると、今まさに、少女を拘束していた大きな装置が壊れ、機能を停止していくようだった。
「……終わった……みたいだな?」
結局、何の装置だったか彼にはわからないまま、フェイラス帝国は滅亡した。
****
ユスティティア王国、城内にて。
金髪金眼の若い容姿に荘厳な衣装を身にまとった当世の王、イルデフォンソ・ブラゴヴォリン・セルシオ・ヨリ・ユスティティアが、謁見している、ルベラルバスとライハナサンに向かって言う。
「今回は良くぞ、悪帝ヴレマヴロを討ち取ってくれた。王国を代表して謝礼を出そう。望みはなんだ? 何個でも構わんぞ」
そう言われ、二人は顔を見合わせるとライハナサンが先に言う。
「陛下、此度は御依頼感謝いたみいります。望みは、私めは冒険ギルドの普及と……我が領地、グーガスラヒを一国として認めて頂きたいのですが?」
「ほう? いいだろう。我が国にとっても、冒険ギルドは利益がある。その先陣を切った貴殿の領地を、国として認めよう」
その言葉に、いつも通りの笑みを浮かべ、
「ありがとうございます、陛下。私の望みは以上になります」
そう言って頭を垂れた。それを満足げに見ると、王がルベラルバスに向けて聞く。
「さて、今回の最大の功労者である、ルベラルバス・グレンベックズよ。貴殿の望みはなんだ?」
そう聞かれたルベラルバスは、いつも通りの口調で言う。
「俺個人については好きにしてくれや。そのかわり……『科学』の発展を許せ。それだけだ」
「ほう。いいだろう。貴殿については、我が国より『英雄』の称号を与えよう。そして、『科学』については、こちらも我が国にとって有益であるのでな、存分に投資させてもらおう。以上で良いか?」
「ああ」
その答えを聞いたイルデフォンソ王は、謁見を終了させた。