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対面

「お前は?」


 ルベラルバスの言葉に、セルアが反応する。


「彼が恐らくヴレマヴロ・アスラフィルでしょう。資料にあった情報と姿が似ていますので」


「あ? そうだったか?」


 とぼけたように言うルベラルバスに、ラミュニがツッコむ。


「アンタ、資料見たの覚えてないわけ?」


「まぁいいじゃねぇか……。とにかく、お前の首、貰い受けるぜ?」


 そう言って殺気を向けるルベラルバスに、ヴレマヴロは感情のない目で、


「私の首を? 随分と物騒な侵入者なことだ。だが、私には目的があるのでね……消えてもらおうか!!」


 ヴレマヴロの周囲に黒い影のようなものが現れ、彼を包み込む。それを見たセルアが珍しく焦ったような声で言う。


「コレは……! まさか『闇魔術』では!?」


「『闇魔術』ってなんですか!?」


 驚いているラミュニとセルアに向けて、ルベラルバスが、


「お前ら! 驚いている場合じゃねぇ! 来るぞ!!」


「ふははは! 私の愛が産んだこの力で、殺して差し上げよう! アイツらのように!!」


 そうして、黒い影が一気に三人を襲って来た。


「カカ・シル・トース! お二方、こちらへ!」


 セルアが出した光輝く半円形の障壁の中に入る。すると、黒い影は中には入って来られないらしく、うようよと周囲を蠢いている。


「さすがですね! セルアさん!」


 感嘆するラミュニに対し、ルベラルバスは冷静に聞く。


「おい、おっさん! こいつの持続時間はどれくらいだ!?」


「恐らく長くて十分程度でしょう。ですが! この勢いでは……」


「もっと短いってことか! 了解したぜ、おっさん! このまま前進してくれ!!」


 ルベラルバスの言葉に、ラミュニは慌て、セルアは冷静に聞き返す。


「はぁ!?」


「何かお考えで?」


 二人に頷くと、ルベラルバスは、


「少しずつでいい、前進して接近したら……お前らはここから離脱しろ!」


 予想外の言葉に、ラミュニが噛み付く。


「アンタねぇ、何言ってるんだ! 一人で勝つ気か!?」


「ああ、そうだ!」


「なっ!?」


 あっさり言い切る彼に、ラミュニは二の句が告げない。それを見兼ねて、セルアが言う。


「ルベラルバス様、勝算はおありなので?」


「五分五分だがな……。それに……」


 少し言い淀むと、ラミュニの方へ向き、唐突に彼女の唇を奪う。


「!?」


 驚いて思わず硬直する彼女に、いつも通りの無邪気な笑顔を向けて、


「俺は──惚れた女を死なせたくねぇんだよ。だから、イイ子に、な?」


 そう言って舌を出すと、一変、真剣な表情に変わり、


「おっさん、離脱したらすぐに俺に、光系でも防御系でもなんでもいい! 魔術をかけろ!」


 そう指示を出し、双剣を構え直す。


「わかりました。ラミュニ様のことはお任せ下さい。では!」


 セルアがカウントを初め、十数える。


「三、二……行きます! カカ・マシク・ルーテ!」


 ルベラルバスに光の防御魔術をかけると、少し惚けたラミュニを連れて、セルアは戦線を離脱した。

 それを横目で確認すると、黒い影の中心部へ一気に突撃する。


「うおおおおぉ!!」


 叫びながら進むルベラルバスの身体に、黒い影が当たるのがわかる。セルアの魔術で防御されているとは言え、ダメージは入る。ジクジクとした痛みが走るが、歩みを止める事は無い。


(俺の存在意義は、戦う事だけ……だと思っているし、変わらねぇ……。だが、だが──ラミュニと共に生きられるなら、なんでもいいや)

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