異様な光景
なんとか城内に潜り込めた三人は、そこで更に異様な光景を目の当たりにした。
「な、なぁ? ここ、城内だよな? なんでこんなに人の気配がしないんだ……?」
思わずそう呟くラミュニに、二人も同意する。
「ああ、ここまでねぇとなると……いないと考えた方が妥当だろうな」
「ええ、私もそう思います。ある程度サーチをかけてみましたが、人のひの字もありませんね。……そのかわり、魔術的な罠が幾つかあるようです。お気をつけ下さい」
セルアの話を聞いたルベラルバスは、舌打ちをすると、
「仕方ねぇ。魔術の解除はおっさんに頼むとして……ラミュニ、いつでも武器ぶっ放せるようにしとけよ?」
「アンタに言われなくても!」
そんな二人のやり取りを、微笑ましそうに見ながらセルアが罠を一つ一つ解除して、少しづつ進んで行く。
そして、妙な気配のする部屋に辿り着いた。
「なにこの……異様な寒気がするのは……?」
「どうやら、罠は無いようですが……ルベラルバス様、どうされますか?」
セルアにそう聞かれると、
「……入ってみるか」
「な……本気か!?」
珍しく怖気づくラミュニの肩を軽く叩くと、ルベラルバスを先頭に中に入る。すると、そこには__。
「……は?」
「こいつは……。なるほど、これが魔獣共の原料だったわけか。そりゃ、城に人なんざいないわな」
目の前に広がっていたのは、とてつもなく大きな部屋に所狭しと置かれた檻の中で、苦しみながら『魔獣』へと変貌していく人々の姿だった。
「……正直に申させて頂きますが、不愉快極まりないですな」
セルアの嫌悪を隠さない言葉にも、ルベラルバスは動じず言う。
「……ああ。おっさんに同感だな。見ろよ、あそこ。端の一角に……なりかけがいるぜ」
そう言われて見てみると、そこには今まさに魔獣になりかけている人物がいた。
恐らくもう自我など無いのだろう。ただ、うめき声を上げるだけ。
「……ラミュニ」
「……なに?」
珍しく少し悲しみと怒りのこもった瞳で言う。
「ここ、ぶっ壊せ」
先程までとの慎重さとは打って変わった言葉に、ラミュニは意外そうな顔をしながらも、
「……ああ」
そう言って、ラミュニはバズーカを構えると、室内に放った。