いざ本拠地へ
数日後。
三人は、フェイラス帝国本土、旧フェイラス王国城門付近まで辿り着いた。
「どうにもおかしいですね」
セルアの言葉に、ルベラルバスも頷き、
「ああ。『魔獣』共が、不自然に多くなりすぎているな」
周囲を見渡しながら言う。二人の言う通り、魔獣達の群れが闊歩していた。
「どういう事なんだろう? まさか……『魔獣』とフェイラスには関係がある?」
訝しぶラミュニに、セルアが同意する。
「ええ。状況だけでの判断になりますが、関係あると見て間違いないでしょう」
「ま、なんでもいいがよ。問題は、あの城門付近に集中している魔獣共だな。強行突破してもいいが……」
そう言ってチラリとラミュニの方を見る。
「? 何さ?」
彼女の持つ武器『バズーカ』は、威力はあるが装填時間がかかるのだ。そして、セルアの使うエルフの『魔術』も詠唱時間がある。
そこまで考えて、ルベラルバスは、
「しゃあねぇか。セルアのおっさん、俺達の気配やら匂いやらを消せる魔術はあるか?」
そうセルアに聞く。
「ええ、ありますが、持続時間は短いですよ?」
「どれくらいだ?」
「およそ、三十分程でしょうか?」
そこまで聞いて、ルベラルバスはニヤリと笑うと、
「おし! 俺達に掛けてくれ! あ、もちろんおっさんも掛けろよな?」
「……アンタ、何を考えている?」
ラミュニに問われ、ルベラルバスは一瞬、真剣な表情をして答える。
「なるべく魔獣共と遭遇せずに、城内に入る。騒がれて、こちらの動きを知られたくねぇんからな」